集団的自衛権はアカン!アカン!
憲法なくして職業・使命あり得ない
大阪弁護士会の集会に4千人
「集団的自衛権はアカン!アカン!」と、大阪弁護士会(松葉知幸会長)が7日午後、大阪市北区の扇町公園で「なし崩しの海外派兵を許すな」(日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会の共催)を開きました。集団的自衛権の行使容認や秘密保護法に反対して同会が昨秋から取り組んできた市民集会「日本はどこへ向かうのか?」の第3回目で、約4千人が参加。終了後3コースに分かれ、「立憲主義を壊さんといて!」「憲法違反はアカン!アカン!」などと唱和しながらパレードしました。
開会あいさつで松葉会長は、「弁護士は基本的人権の擁護、社会的正義の実現を使命とする職業。憲法なくしてわれわれの職業も使命もあり得ない。政府の解釈で集団的自衛権の行使を認めることは立憲主義の国家においてあってはならない」と強調。解釈改憲を許さず、安保法制(「戦争法案」)を断固許さない声を高らかに上げようと呼び掛けました。
「戦争法案」と呼ぶべきもの
各界からは4氏があいさつ。社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子さんは、「大阪市民の皆さん、おめでとうございます」と切り出し、5月の住民投票で橋下・維新の会の「大阪都」構想の野望を打ち破った大阪のたたかいにエールを送りました。「日本の政治はいまや“危険水域”に入った。安保法制は違憲・戦争法案と呼ぶべきもの。審議して採決に持っていくこと自体、許せない。憲法審査会(4日)で学者全員が違憲だと言った。学者の言うことを無視していいのか」と力説しました。
大阪国際大学准教授で「全日本おばちゃん党」代表代行の谷口真由美さんは、安倍首相が「戦争法案」を国会に提出する前に米議会で「夏までに決める」と約束したことを「立法機関をないがしろにするもの」と厳しく批判。同時に「憲法を読んだことがない」という人もいる中で、憲法そのものを広げる「知憲(ちけん)」が大切だとし、「大人の責任として憲法の条文を最初から最後まで読むことから始めよう。憲法で政治をコントロールすることが立憲主義です」と語りました。
憲法9条は“世界への約束”
「ピースボート」共同代表で集団的自衛権問題研究会代表の川崎哲さんは、「憲法9条は、日本は二度と戦争をしないという世界に対する約束。その憲法の基本の考え方を骨抜きにする動きに、世界の人々が心配している」と述べました。さらに「戦争法案」の背景にはアメリカの要求があると指摘し、「アメリカは軍事費にお金をかけられない。ならば21世紀に生きる私たちは、9条を持つ日本として、軍隊ではなく、話し合いで国際関係をつくろうと言おう」と話しました。
日本弁護士連合会の憲法問題対策本部長代行の山岸良太さんは、憲法審査会で与野党の合意で参考人として招致した憲法学者が、そろって集団的自衛権の行使は違憲だと主張したことを紹介。「後方支援」についても武力行使と一体であり違憲の疑いがあり、憲法解釈を法律で変えてしまうことは立憲主義に反するという声も出たとし、「こういう法律(「戦争法案」)を通していいのか。皆さんと一緒に考え、弁護士会は成立を阻止したい」と力を込めました。
勝手に解釈を変えるなんて
14日に大阪市中央区内でイベント「止めんとヤバイ!戦争立法」を開くSADL(サドル・民主主義と生活を守る有志)のメンバーもドラムを打ち鳴らしながらパレードに参加。先頭で横断幕を持った大阪商工団体連合会事務局の林辻直さん(25)は、「憲法は権力を縛るものなのに、勝手に解釈を変え、法律を変えて『戦争する国』にするのは許せない」と話しました。
岸和田市から参加した薮洋子さん(64)は、Tシャツの前面に「憲法違反」、背面に「殺さない・殺されない」と手書きし、「国の宝・9条」の文字をあしらったうちわを振りながら行進。「『戦闘地域』で武器を使えば撃ち返される。その繰り返しで必ず戦死者が出る。そんな簡単なことを脇に置いて『戦争法案』を議論していいのか」と話していました。
集会には日本共産党の宮本岳志、清水忠史両衆院議員、わたなべ結府政策委員(参院大阪選挙区候補)も参加しました。
(大阪民主新報、2015年6月14日付より)