おおさかナウ

2022年08月06日

国は認可するな②
――検証・大阪カジノ誘致
公約に違反 際限なき公費負担へ

税金使わないと発言を繰り返し

 大阪へのカジノ誘致を狙う維新の歴代知事・大阪市長は、カジノを核とする統合型リゾート(IR)は民設・民営の事業だから、基盤整備の費用も事業者が負担し、税金は使わないと繰り返し発言してきました(別項)。
 ところが昨年12月、大阪府・市は副首都推進本部会議で、カジノを誘致する大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま)の土壌対策に約790億円の公金を投入することを決定。ことし3月の大阪市議会で、土壌対策費の議案を維新、公明の賛成多数で可決しました。
 公約や説明を覆すやり方に、府民・市民の新たな批判や不安が広がりました。松井一郎大阪市長は、夢洲などの埋立地の売却・賃貸収入で成り立つ「港営事業会計」から支出するから、「税金を使うわけではない」と強弁。しかし、公金投入に変わりはありません。

790億円では済まない恐れが

 790億円といえば、大阪市の介護保険料を1万円引き下げるのに必要な予算(97億)の約8倍、府内全小中学校の35人学級実現に必要な予算(68億円)という大きな額。しかも、大阪市の負担はさらに膨らむ恐れがあります。
 松井氏自身も、公金投入を決めた昨年12月、記者団に積算の根拠を聞かれて「概算であり、(土壌対策の)工事をするようになれば詳細な見積もりを出していく。今の時点では出せない」と説明しているほどです。
 790億円の内訳は、液状化対策410億円、土壌汚染対策360億円、地中埋設物撤去20億円。夢洲には、発がん性物質であるダイオキシンや、さまざまな健康被害をもたらすPCBはじめ有害物質が大量に含まれる土砂が1億㌧も埋められており、土壌対策費が360億円で済む保証はありません。

地盤沈下対策も大阪市の負担で

 カジノ事業者の「大阪IR株式会社」と府・大阪市がことし2月に締結した「基本協定書」では、790億円の内訳には含まれていない、夢洲の地盤沈下対策も、大阪市が負担することに。しかも、地盤沈下はじめ「土壌に関する事象」が生じていない・生じる恐れがないという条件を満たさなければ、カジノ事業者は撤退できるとしています。
 カジノ問題を考える大阪ネットワーク代表で阪南大学の桜田照雄教授は7月20日、大阪市都島区内の街頭宣伝で、大阪湾の地盤は世界でも稀だと強調。関空は1期島の造成後13㍍、2期島は埋め立て開始から16㍍も沈下しているとし、「夢洲の地盤沈下対策を市民の税金で面倒をみるという、とんでもない契約を交わしている。これが私たちの生活向上のために働く自治体のやる事か」と、厳しく批判しました。

カジノを巡る知事・大阪市長の発言(いずれも肩書は当時)

橋下徹大阪市長

事業費、事業規模、内容など未確定ではありますが、このIR施設のために必要となる埋め立てや鉄道、道路などの基盤整備については、基本的にはIR事業者に負担を求めるべきもの

(2015年2月27日、 大阪市議会本会議での日本共産党の山中智子議員への答弁)

吉村洋文大阪市長

IR、統合型リゾートについては…民間事業として投資していただく…民間事業のために必要になる、そういった鉄道、道路などの基盤整備、これについては基本的には民間事業者に負担を求めるべきもの

(2016年3月15日、大阪市議会都市経済委員会での日本共産党の小川陽太議員への答弁)

松井一郎知事

ある特定のそういう政党はよくカジノに税金使うと言いますけど、カジノに税金は一切使いません。これは民間が投資する話…これだけはっきり言っときます。IR、カジノには一切税金使いません

夢洲

 

 産業廃棄物、しゅんせつ土砂や建設残土の処分場。1982年に護岸が完成し、85年から廃棄物を受け入れ、現在も埋め立て中です。松井市長らは夢洲を「負の遺産」と決め付け、カジノ誘致で「成長の起爆剤」にするなどと主張。しかし、コンテナターミナルもある物流拠点であるとともに、今後も廃棄物を受け入れることができるなど、市民にとって貴重な最終処分場です。

 

(大阪民主新報、2022年8月7日・14日合併号より)

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