おおさかナウ

2022年08月06日

カジノ住民投票条例を否決
維公自が反対 府民の願いに背向ける

 臨時府議会が7月29日に開かれ、21万人以上の署名(有効数19万人以上)で請求されたカジノ誘致の賛否を問う住民投票条例案は、日本共産党や民主ネットなどが賛成しましたが、維新と公明などの反対多数で否決されました。共産党の石川たえ・うち海公仁両府議は同日「断じて容認できない」とする声明を発表しました。
 請求者代表6人が意見陳述。多額の公金投入や民意をないがしろにするやり方への批判、ギャンブル依存症家族の苦しみを口々に訴えました。
 四條畷市で子ども食堂を運営する山本啓一郎さんは、「親がギャンブル依存症になると子どもは行きたかった学校に行けず習い事は諦め、塾はやめ、家は古ぼけた共同住宅に変わる。急激に生活が変わる子どもたちの腹を満たすことはできても、なくした夢を満たすことはできない」とした上で、「子どもたちの健やかな成長の妨げになるものは、どうか大阪から除いてほしい」と訴えました。

カジノは成長のエンジンと知事

 吉村洋文知事はカジノを核とする統合型リゾート(IR)について、「コロナ終息後の日本経済を牽引し、大阪・関西の持続的な成長のエンジンとなる」、「(誘致は)選挙で選ばれた議会での十分な議論を経て議決された」とし、住民投票に「意義を見いだし難い」と述べました。
 自民党は住民投票に賛成すると述べたものの、条例案の原案から外国籍の人などを投票資格者から除外する修正案を提案。否決されると原案に反対しました。またカジノ誘致に反対して自民会派を離脱した府議らが、質疑を求める動議を提出し、日本共産党などが賛成しましたが否決されました。

否決に一切の道理なし
日本共産党大阪府議団が声明

 日本共産党の石川たえ・うち海公仁両府議は7月29日、21万人が署名し求めた住民投票の実施をわずか数時間の審議で却下したことは、断じて容認できないとする声明を発表しました。「カジノNO!」で一致する広範な団体・府民と共同を広げ、大阪カジノ計画を断念させるために力を尽くすとしています。
 声明は、カジノが人の不幸を食い物にする賭博であること、「経済利益」をはるかに上回るギャンブル依存症などの社会的負担が生じること、約790億円もの夢洲の「土壌改良」追加負担を始め莫大な公費負担がのしかかり膨れ上がること、「日本人だけで年間1千万人が来場」など事業計画が過大、無謀であることなど、IR誘致の重大な問題は何一つ解消されていないと指摘します。
 また府と大阪市が開いた「公聴会」や「住民説明会」は、内容や時間、規模のいずれも説明責任を果たしたと言うには程遠いとし、吉村洋文知事がすでに議会でIR誘致が議決されていることを反対理由としたことに、「住民投票実施などの直接請求権は、多様な住民の利害の全てを反映することはできない代表民主制の欠陥を補うために地方自治法に定められた国民の権利」と指摘。住民投票実施を求める声が上がるのは当然であり、否決することに一切の道理はないと厳しく批判しています。

(大阪民主新報、2022年8月7日・14日合併号より)

月別アーカイブ