国は認可するな――検証・大阪カジノ誘致④
住民合意なき誘致計画
カジノ誘致の法律に照らし
カジノ誘致の法的根拠であるカジノ推進法(特定複合観光施設区域整備法)は、都道府県などが誘致のための区域整備計画(誘致計画)を作成・申請するには、「公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない」(第9条の7)と明記しています。
ところが、大阪府・市の誘致計画は、「住民の意見を反映させる」どころか、府民・市民へのまともな説明すら行わずにつくられてきました。
住民説明会は途中で中止に
誘致計画案が公表されたのは昨年12月23日。同じ日、住民説明会と、府民が直接意見を表明する公聴会、パブリックコメントの実施が発表されました。住民説明会は全11回で各回の定員はおおむね100人。公聴会は全4回で、定員は公述人が20人、傍聴が60人と、880万府民に誘致計画案を知らせ、意見を聞く場としては、あまりにお粗末なものでした。
しかも第1回の住民説明会は年明けすぐの1月7日で、参加申し込みは1月5日に締め切り。公聴 会の締め切りは4回とも1月8日、パブリックコメントの期限は1月21日というという、年末年始をはさんだあまりにも急なスケジュールです。
さらに年明けから新型コロナの感染急拡大が「第6波」に突入し、1月27日には大阪府に「まん延防止等重点措置」が適用。府内の新規感染者数が初の1万人超となった翌28日に公聴会の3回目、29日に4回目が強行されましたが、住民説明会は2月5日以降の4回分は中止となりました。
反対や批判が多数を占めた
住民説明会では誘致計画案に反対する意見が続出。しかしIR推進局は参加者からの質問にまともに答えず、発言を求めた人々の多くが指名されないまま質疑が打ち切られ、怒りの声も飛び交いました。
公聴会では公述人計40人のうち37人が反対し、計画の撤回を要求。夢洲の土壌対策での790億円の公費投入などへの批判が相次ぎましたが、IR推進局は「聞き置く」だけ。「形だけの5分間(の公述)でみんなの意見が分かるのか」「スケジュールありき。まったくおかしな手続きだ」などの声も出ました。
パブリックコメントは1497件中、反対意見が1492件(99・7%)を占めました。
どこに意見が反映されたか
カジノに反対する大阪連絡会は、誘致中止を求める吉村洋文知事と松井一郎大阪市長宛ての署名を、ことし3月末時点で計11万5090人分を提出しました。
誘致計画が府市両議会で強行された後、市民団体「カジノの是非は府民が決める 住民投票を求める会」が取り組んだ直接請求署名は、短期間で、法定数である有権者数の50分の1(約14万6千人)を大きく上回り、約21万人分(有効数19万2773人)を集約しました。
直接請求を受けて7月29日に開かれた臨時府議会で吉村知事は、誘致計画案作成後は、「説明会やパブリックコメント手続き、公聴会などを経て成案化し、府議会、大阪市議会の同意を得た」などとして住民投票の実施に背を向けました。しかし、どこに府民・市民の意見が反映されたのか、ことの経過から明らかです。
国は大阪カジノ認可するな
反対9団体懇談会 ネット署名呼び掛け
大阪カジノに反対する9団体懇談会が、大阪カジノ誘致計画を国が認可しないよう、岸田文雄首相と斉藤鉄夫国交相宛てに求める個人署名を、インターネット上で呼び掛けています。「大阪カジノ誘致計画を認可しないでください」で検索。
(大阪民主新報、2022年8月28日号より)