おおさかナウ

2022年09月24日

府民の命と暮らし守る府政へ
日本共産府議団の懇談会 石川府議団長の報告(上)
石川府議団長

 

 日本共産党の石川たえ・うち海公仁両府議が8~9日に、府的団体や同党市町村議員団との懇談会を開きました。石川氏の府政報告を紹介します。

保健所増設、暮らし守る対策を

物価高に苦しむ府民の実態

16年間で賃金47万円減った

石川たえ府議団長

 物価高騰が止まることを知りません。大阪市の8月の消費者物価指数は前年同月比2・7%の上昇で、上昇は7カ月連続です。「本格値上げは10月と言われる中で、生活が苦しくなった府民をどう支援していくか、政治の責任が問われている」と石川氏は強調しました。
 大阪の労働者の実質賃金(年間)は、2005年から2021年の間に、年間マイナス47万円(全国はマイナス39万円)です。
 これまでも物価上昇に賃上げが追いついていないのに、コロナ禍と物価高が追い打ちをかけています。シンクタンク・みずほリサーチの調査では、政府の物価高騰対策を講じても約8万円の負担増。特に低所得世帯では消費税率3%引き上げに相当します。
 「生活保護世帯を訪問すると、どこもエアコンをつけていない。今夏の府内の熱中症搬送は昨年の1・5倍に上る。高齢者や障害者施設も深刻な事態」と石川氏。
 母子世帯からは「NPOが配布する食料で弁当をやりくり」「母と子ども3人全員がコロナ感染。仕事に行けず食費がない」などの声があります。石川氏は「低所得世帯はコロナ前との比較で教育費を約15%減らしているという調査もある。学習教材が買えない事態に」と指摘しました。

府独自施策の支援策がない

 全商連の調査では、4月に商品・サービスの原材料・仕入れ値が前年から上っているとの答えが78%でした。石川氏は「消費税増税とコロナ禍、物価高騰の三重苦だ」と述べました。
 府は物価高騰対策として、子どもへのギフト券配布などを打ち出しました。しかし財源はほぼ全額国費で、府独自の対策はありません。
 中小企業への支援は融資が主で、返済を迫られる事業者への支援策はありません。

コロナ対策に明らかな問題

死者数全国一の本当の理由

 新型コロナウイルス感染の死者は府内6千人を超えました。9月7日までの累計死者数は人口100万人当たり、全国329人に対し大阪府は699人。第7波に限っても全国82・2人に対し大阪府は111・3人。感染者や致死率ともに全国2番目です。
 高齢者が多いことを死者数増加の原因とする声があります。しかし75歳以上の人口割合は全国で37位、3世代同居率も同44位です。石川氏は「高齢者が多いから死者が多いのではない。明らかに大阪のコロナ対策に問題がある」と述べました。
 「感染制御をしないことが最大の要因の1つ」と石川氏は指摘。検査体制に余裕が生まれるはずの感染収束期に、無症状者への無料検査を、大阪府は東京都の半分以下しか実施していません。これでは感染者の早期保護・感染制御はできません。また高齢者施設などでの頻回検査も、対象施設の55・3%の実施にとどまっています。
 高齢者施設関連のクラスター発生は、第6波の190日間で797施設でした。これが第7波では58日目時点で1037施設に上りました。
 施設への往診に協力する医療機関も増えていると報告されていますが、施設からは「1フロア全部陽性者。これ以上増えたら対応不能」などの声があります。石川氏は「高齢の陽性者を施設内に留め置き、まともな医療が提供できていない。死者数全国一の要因だ」と厳しく指摘しました。

罹患も療養も〝自己責任〟に

 自宅療養者と入院調整中の人は、8月4日時点で23万9262人に達しました。障害者施設や保育施設でも、対応は現場に丸投げされました。「コロナにかかるのも療養するのも自己責任だと押し付けている府の姿勢が、府民の命を危険にさらしている」と石川氏は怒りを込めます。


公衆衛生を大幅に強化して

医療逼迫は解消していない

 コロナ第7波で発熱外来が逼迫しましたが、府の対策は、軽症で重症化リスクのない20~40代の受診を控えるというものでした。保健所のファーストタッチは75歳以上と、40歳以上で重症化リスクを複数持つ人に限りました。
 しかし「逼迫は解消していないと多くの保健師が叫んでいる」と石川氏は述べました。

人口比全国最低の保健所数

 府内の保健所数は人口比で全国最低です。人口約270万人の大阪市はわずか1カ所。「保健所の保健師はじめ職員を増やすとともに、保健所そのものの増設に踏み出し、大阪の公衆衛生を大幅に強化しよう」と石川氏は訴えました。

病床削減を進める維新府政

 府はコロナ禍でも、コロナ重症者に対応できる急性期病床の削減を続けています。20年に232床、21年に104床を削減。今年度当初予算では急性期・慢性期病床など934床が削減・回復期病床などへの転換の対象です。「23万人も自宅に放置して、『将来の高齢化を見据えて削減』などと言っている場合ではない。医療スタッフと病床の確保こそ大事」と石川氏は指摘しました。

命守る対策を求める共産党

府民の願いに応える共産党

 共産党府議団は保健所の増設をはじめ、全世帯へ検査キット配布▽国民健康保険料の負担増につながる府内統一料金化はいったん中断▽福祉労働者の処遇改善制度を創設――などで、命を守る対策を提案しています。
 また非正規労働者への暮らし支援緊急給付金制度(1人5万円)の創設や自営業者の固定費補助制度、時短協力金の再申請を認めるなど営業と暮らしを守る対策を府に求めています。
 石川氏は「府議会は定数88だが、病床削減反対や高齢者施設の無料検査などを訴え、府民請願136万人分(19年度以降)全ての紹介議員になったのは共産党の2人だけだ」と訴え、「府民の要求を取り上げ、命と暮らしを守るために頑張る」と決意を述べました。

府民の命と暮らし守る府政へ日本共産府議団の懇談会 石川府議団長の報告(下)

(大阪民主新報、2022年9月25日号より)

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