大阪府議会本会議
子ども医療費無償化・保健所増設を
物価高・コロナから府民の命・暮らし守れ
日本共産党の石川たえ府議は7日の府議会本会議で一般質問し、物価高騰や新型コロナウイルス感染症から府民の命と暮らしを守る対策強化や、支援学校の過密・過大の解消、DVや性暴力などの被害女性への支援強化を求めました。子育て支援では、「子ども3人が病院へ行くと家計が厳しい」「親が受診を控えている」などの声を示して、吉村洋文知事に子どもの医療費無償化を求めました。
石川たえ府議団長が質問
子どもの医療費助成は沖縄県は中学卒業まで無償化。東京都は就学前までを無償化、来年度から18歳までに拡大します。一方で大阪府の助成制度は就学前までで、自己負担も1回500円、1医療機関当たりの上限2500円。子どもが複数の医療機関に通うと別途、上限まで子育て世帯の負担が増します。
石川氏は無償化した群馬県での議論を紹介しました。県の担当者は「虫歯治癒率が全国平均より5~10%上回った」「時間外受診は減少傾向にある」と述べています。石川氏は実行を迫りましたが、吉村知事は「持続可能性や『受益と負担の公平』の観点から困難だ」と繰り返しました。
石川氏は「自己負担をなくすのに必要な予算は約11億円。できない金額ではない」と迫り、無償化と18歳までの拡充を強く求めました。
事業支援を提案
府はこれまでに200億円を超える物価高騰対策費を予算化しましたが、ほとんどが国費です。府独自の支援策を求めた石川氏。シングルマザーや非正規雇用世帯に一定期間、5万円を給付する制度や中小・小規模事業者の事業継続支援として固定費補助などを提案しました。
「低所得世帯に対しては、経済的自立を図り安定した生活が送れるよう、貸し付けを行っている」と吉村知事は答弁しました。
石川氏は「貸付は返済が必要。コロナ感染や濃厚接触などでパートやアルバイト収入が途絶える。『貸し付けがある』という姿勢は、あまりにも冷たい」と批判し、「困窮者自立支援にいくまで放置せず、いまの段階で支えることが重要だ。府民の暮らしを支えなければ経済は循環しない」と主張しました。
子育て支援強化を
府立学校の給食費を、府は今年度に限り無償としています。しかし来年度、継続する見通しを示していません。物価高騰の影響を受けて全国では83%の自治体が保護者負担軽減を実施・予定していると、9月に文科省が発表しています。
無償化継続を求める石川氏に対し、吉村知事は「物価高騰対策は国が実施すべき」「国の財政措置を踏まえて検討する」と答弁しました。
石川氏は、小・中学校の給食費無償化や中学校での全員喫食化を進める市町村を財政支援し、子育て支援を強化することを提案しました。吉村知事は「市町村が実施・判断すべき。府として財政措置は考えていない」と述べました。
消費税の減税を
石川氏は「食事の回数を1回に減らした」という高齢者や、その子や孫世代となる子育て世帯の「子どもに満足に食事をさせられない」などの声を示し、「消費税減税は最も効果的。5%の緊急減税を国に提案しては」と吉村知事を促しました。
吉村知事は「国が判断する」と応じました。石川氏は日本維新の会が消費税減税を公約していることを指摘し、「物価高騰から府民を守る立場に立ち切り、減税を強く求めるべきだ」と述べました。
国は消費税を財源とする給付金を使って病床削減を進めています。府は先陣を切って、2020年に326床、21年は218床、急性期病床を含む病床を削減・回復期病床への転換を進めてきました。
「消費税を財源に、コロナ対策に必要な病床を減らす。高齢者に重点を置くと言いながら、入院制限をかけ、入院できない高齢者があふれる。府の対策こそが多くの死者を出した原因だ。抜本的見直しを強く求める」と石川氏は訴えました。
保健所の増設を
石川府議は、保健所職員の増員と保健所の増設を求めました。
府の保健師数は、全国平均と比べて極端に少なくなっています。人口1万人当たり、全国平均4・4人に対し、府は2・8人。「人口当たりの保健師数が多い都道府県は、コロナの罹患率が低い」。石川氏は奈良県医大の調査を示し主張しました。人口当たりの保健所数が全国一少ないのが大阪府です。100万人当たり、全国4・7カ所に対し府は2カ所。「感染症対応に弱い街になってしまった大阪を、立て直すために増設を」と石川氏は訴えました。
吉村知事は「大阪は非常に狭い面積の中に人口が集中していることから、人口当たりの比較をもって保健サービスの水準が低いとは言えない」と強弁しました。
子どもを守れ
感染制御について石川氏は、感染収束期の無料検査が、人口当たりの実施数で大阪は東京の約半分と指摘。「収束期こそ検査し、感染を広げない体制が弱い」として、全世帯に検査キットを一定期間分、配布することを提案しました。現在のキット配布は有症状者を対象にしています。
石川氏はまた、急速に増えている子どもたちへの感染を防がなければならないとし、東京で実施されている保育園や幼稚園、学校などでの定期・頻回検査を提案しました。吉村知事は「重症化リスクが低い」として拒否しました。
石川氏は生後11カ月の乳児が重症化し、入院できず亡くなった例を示し、「20歳未満の感染が家庭内や高齢者に広がっていくのは、これまでに分かっている」「子どもたちに感染を広げない努力に、背を向けていいのか」と問い掛けました。
特別支援学校「新校急いで」
石川氏は府立支援学校の過大・過密解消のため、新校設置を求めました。橋本正司教育長は「教室不足が生じている知的障害支援学校の教育環境を改善するため、その手法の一つと認識している」と答弁。「新たな学校整備のほか、さまざまな手法を検討している。できるだけ早く計画的に整備が進められるよう、作業を急ぐ」と応じました。
石川氏は「この間の教室転用で、特別教室や食堂、更衣室、検査室などがなくなっている」と指摘。「グループ学習が困難」「クールダウンを廊下でしている」「倉庫転用のため、荷物を置く場所がなく、災害時の避難経路を確保できない」などの声を紹介し、「新校設置に約6年かかるという。市町村教育委員会と連携し、仮設校舎や分校設置なども検討を」と求めました。
(大阪民主新報、2022年10月16日号より)