おおさかナウ

2022年10月22日

カジノ予定地
評価額で談合の疑い
年間15億円の値引きに
井上浩大阪市議「評価やり直しを」

 2020年度の大阪市公営・準公営企業会計決算を審査する市議会決算特別委員会が14日開かれ、日本共産党の井上浩議員が、大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)のカジノ予定地の土地鑑定評価を巡る新たな疑惑などについて追及しました。


大阪府咲洲庁舎(旧WTCビル)の展望台から見た大阪湾の埋立地、夢洲。カジノ予定地の不動産鑑定評価を巡る談合や、賃料の大幅値引きの疑惑が浮上しています。

「赤旗」日曜版が報道

市議会決算特別委員会

35年の事業期間で500億円超

 疑惑は「しんぶん赤旗」日曜版(10月2日付)が伝えました。大阪市は夢洲の約49万平方㍍をカジノ事業者に賃貸する予定で、4業者に不動産評価額の鑑定を依頼したが、評価額の算定に談合の疑いがあるというものです。
 市が誘致を狙う統合型リゾート(IR)はカジノを核に、ホテルや展示場などを備えたものです。ところが市は、鑑定評価でカジノ計画を「考慮外」とするよう指示。4業者ともホテルより価値が低い、ショッピングモールなどの「大規模複合商業施設」として評価。正当に評価した場合の賃料に比べて年15億円、35年の事業期間で計500億円超を値引きしたことになると告発しています。

評価の前提が間違っている

 質問で井上氏は、4業者すべてが「大規模複合商業施設」として評価した理由をただしたのに対し、大阪港湾局は「それぞれが独自に判断した結果」と答弁しました。井上氏は、不動産鑑定士の見解も示し、「一つの土地を一律に同じ利用の仕方で評価するのは、常識的にはあり得ない」と強調。鑑定評価をやり直すよう求めました。
 1平方㍍当たりの更地価格の鑑定結果は、4業者のうち3業者が12万円で一致し、1業者が11万8千円です。井上氏は、鑑定士によって評価額にばらつきが出るのが業界の常識で、数字が合う原因は①依頼者から価格の指示・希望や誘導があった②業者間で連絡を取り合った――の2つしかないと指摘。市がカジノ計画を「考慮外」とするよう指示したことは、「鑑定評価の前提から間違っている」と批判しました。

評価の信頼性損なう事態だ

質問する井上議員=14日、大阪市議会決算特別委員会

 井上氏が「談合の疑いがある」として、鑑定評価のやり直しを求めましたが、大阪港湾局は「賃料は適正に設定したもの。やり直す必要はない」との答弁を繰り返しました。
 井上氏は、カジノ予定地は建設中の大阪メトロ夢洲駅(仮称)に隣接する〝駅前一等地〟だと指摘。実際のカジノ計画では全体面積の5分の1超がホテル用地なのに、「大規模複合商業施設」と不当に評価していることは、「鑑定評価の信頼性を損なう重大事態だ」と強調しました。

(大阪民主新報、2022年10月23日号より)

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