来年夏の参院選 近畿で活動
現場感覚で政治を前に
他党議員も一目の論戦
日本共産党参院議員(比例代表候補) 大門みきしさん
来年夏の参議院選挙で勇退する日本共産党の市田忠義副委員長・参院議員の後を継ぎ、近畿2府4県を主な活動地域にすることになった比例代表候補の大門みきし参院議員。国会議員としての活動や共産党との出会い、抱負などを聞きました。
戦争法案・改憲阻止へ全力
――次期参院選で近畿を主な地域として活動されることになりました。
〝繰り上げ〟で財政金融委に
大門 これまで東日本を拠点に活動してきましたが、もともと生まれが京都。近畿は党の活動が活発で相談もよく受けてきたし、大阪は、カジノ問題の集会や先の都構想をめぐる大阪市の「住民投票」などでも応援にうかがいました。「住民投票」は素晴らしい共同による勝利でした。
来年の参議院選挙は、憲法をめぐる大変重要なたたかいになるでしょうし、改悪を必ず阻止するために全力を尽くしたいと思います。
――大門さんの国会論戦は、歴代の首相を相手にした経済論戦など、他党や専門家からも注目され、貧困と格差を生みだした小泉首相の構造改革なども当初から追及されてきました。
大門 一応、大学は経済学部に入ったのですが、学部に進む前に中退してしまい、経済は全然やっていませんでした。
ところが2001年に繰り上げ当選して参院議員になり、財政金融委員会を担当した時、ちょうど小泉・竹中構造改革が問題になっていた。竹中平蔵氏の本をいっぺんに十数冊読んだりして論戦に挑んでいったのが勉強になりましたね。
他党議員も質問を楽しみに
当時、自民党の中にも、市場原理主義や規制緩和、強い者が勝てばいい、いわゆる新自由主義路線に懐疑的な意見がありました。だけどその何がおかしいか、どう言えばいいかが分からない。そこで新人議員の私が小泉、竹中両氏に、こんなやり方おかしいじゃないかと問い詰めると、自民党席からも「よっ、竹中の天敵!」という掛け声が飛んだりして(笑い)、私の質問を楽しみにしてくれるようになりました。
構造改革にしてもアベノミクスにしても、経済学うんぬんというより、現場の感覚からすると、どう考えてもおかしいんですね。
アベノミクスは金融が中心なので分かりにくいけれど、日銀の「異次元緩和」による円安、株高政策は、出てきた当初から、金持ちはより金持ちに、貧困と格差をいっそう広げる「二極化」政策だと問題点を追及しましたが、その通りになってしまいました。
――カジノ問題でも今国会での法案反対の先頭に立っておられます。
〝賭博で復興〟は被災地愚弄
大門 2011年、民主党政権の時に東日本大震災が起きて、民主、自民、公明などの議員がカジノで被災地復興といいだしました。国会で「賭博で復興とは被災地を愚弄するもの」と追及し、当時の野田首相が「私の内閣ではカジノはやりません」と答え、この構想はつぶしました。現在、国会に出されている「カジノ解禁」法案も、全国の反対運動と力を合わせ、絶対廃案にしなければなりません。
――現役の国会議員としてこの14年間で1千件以上の個別相談に乗ってこられたのもすごいですね。
相談の中で問題点鋭く暴く
大門 地方議員の皆さんもたくさんの相談に乗っておられますが、私も個別相談を大事にしています。
国会までくる相談は生活相談というより、国政がらみの重いテーマが多いのですが、秘書さんまかせにせず対応しています。また直接相談に乗ること自体が私の大変勉強になります。
サラ金問題が表面化した時も、最初は本人の責任もあるのではと思っていましたが、具体的に相談を受けると、高金利のために普通の人が食い物にされていく仕組みが分かりました。
大銀行が、中小企業を相手に貸金の見返りに金融商品を買わせる問題を、国会で取り上げてやめさせた時も、当事者から話を聞く中であこぎな仕組みが分かりました。
――日本共産党との出会いも面白いですね。
ノンポリ青年 3カ月で変化
大門 エッセイ(3面に掲載)にも書きましたが、大学中退後、演劇を目指して上京しました。たまたまアルバイト先の食堂のおばちゃんから、「しんぶん赤旗」を勧められて毎日読んでいくうちに、世の中の仕組み、出来事、背景などいろんなことが分かってきたんですね。
事実が分かると何を変えなければならないのかも分かる。「赤旗」を読み始めて3カ月ほどして、自分から共産党に入れてほしいと頼んだんです。ノンポリの演劇青年をたった3カ月で変えてしまった「赤旗」の力って、今でもすごいと思います。
共産党だからできる対案を
――日本共産党の国会議員としての値打ちややりがいはどんなところにありますか?
大門 よく私の質問に対し他党の議員から、「面白い」とか「共産党じゃなければいいのに」(笑い)とか言われたりします。だけど、この世の中がこのまま固定したものではなく、いずれ資本主義は乗り越えられるという確信を持っている日本共産党だからこそ、基本的な矛盾をつき、相手の論拠を崩す質問ができるし、国の経済や財政についてもしっかりと現状分析をして対案を出せるんだと思います。
――安倍政権の「戦争する国づくり」とのたたかい、参院選勝利に向けての抱負をお聞かせください。
戦争する国は経済も歪める
大門 「戦争する国づくり」というのは、軍事面だけではなく、経済面でも進みます。
たとえば戦争法、憲法改悪を許せば、いずれ自衛隊員だけでなく、一般の若者も戦場に駆り出されることになる。そのとき、徴兵制でなくても、若者たちを不安定雇用でワーキングプア状態に追い込んでいくと、命の危険はあるが、とりあえず安定した正社員の仕事である自衛隊に誘導できる。
「戦争する国づくり」は、いまの労働者派遣法の改悪も含め、社会保障の切り捨てや戦争増税(消費税)と表裏一体で進むと見る必要があります。こうした経済面も含め、私も国会で大いに論戦し、憲法改悪の動きとたたかっていきたいと思います。
わたなべ候補と共に全力で
大阪選挙区候補のわたなべ結さんは、私も何度かお会いしましたが、演説はクリアーでまっすぐ、それでいて庶民的で親しみやすい、本当に魅力的な女性です。若い世代として国会で必ず活躍してもらえるよう、一緒に全力を尽くしたいと思います。
だいもん・みきし 1956年、京都市生まれ。本家は大阪の造り酒屋。神戸大学を中退し、喜劇作家を目指して上京。23歳で日本共産党に入党。東京土建本部書記長、全建総連中央執行委員を歴任し、98年参院選立候補。党中央政策委員を経て01年、参院議員に繰り上げ当選以来3期目。国会では雇用、中小企業、消費者問題などを数多く取り上げる。党参議院国対副委員長、予算委、財政金融委、地方・消費者問題特別委委員。党中央委員。著書は『新自由主義の犯罪』(新日本出版社)など。趣味は絵本集めで670冊収集。うち約300冊を東日本大震災被災地に寄贈。
(大阪民主新報、2015年7月5日付より)