カジノ用地夢洲 土壌汚染が深刻
山下参院議員らが現地調査
ダイオキシン類含む860万トンの焼却灰や
環境基準28倍ものPCB検出した土砂も
日本共産党の山下芳生副委員長・参院議員らが10日、カジノを核とする統合型リゾート(IR)の予定地である大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)の土壌汚染問題を調べるため、現地を視察しました。
大阪市の土壌調査は不十分
大阪湾底で長期に検出
夢洲は淡路島のような「島」ではなく、大阪湾や河川のしゅんせつ土砂や産業廃棄物、建設残土などの最終処分場です。夢洲1区は、ダイオキシン類などの有害物質を含む焼却灰が860万㌧も埋め立てられており、立ち入り禁止区域。ところが2025年の大阪・関西万博の会場の一部に。2区は万博用地、3区がIR用地です。
国際的に廃絶すべき有害物質が
山下氏は1日の参院環境委員会で、夢洲の土壌汚染問題について質問しました。大阪湾の底質からは発がん性のあるPCB(ポリ塩化ビフェニール)が長期に検出されていると指摘。「PCBはストックホルム条約で国際的に廃絶すべき有害物質とされ、検出された場所の浄化が義務付けられている。夢洲での浄化は済んだのか」とただしました。
環境省は、「大阪市の調査でPCBは検出されていない」と答弁しました。山下氏は、市が調査したのはIR用地(60万平方㍍)に隣接する1地点だけで、埋め立て層の最深部にも達していないとし、「IR用地にPCBがないと結論付けるべきではない」と強調しました。
1カ所だけでいいのか
視察では、2020年に市が行った土壌調査地点や、ダイオキシン類の脱水処理区域などで、大阪港湾局の担当者から説明を受けました。
山下氏は「夢洲には、いつ、どこから、どこへ、しゅんせつ土砂を投入したのか、埋め立ての履歴はあるのか」と質問。IR用地の3区については、深い層から浅い層までの立体的な履歴を提出するよう求めました。
港湾局が「厳密に把握することはできない」と回答したのに対し、山下氏は、「1カ所だけの調査でIR用地全体にPCBがないとは言えない」と強調。IR用地の「安全の確保」「健康・衛生の確保」は、政府による誘致計画の認定審査にかかわる重大問題であり、引き続き国会で追及したいと述べました。
視察には日本共産党の辰巳孝太郎元参院議員(党府カジノ・万博問題プロジェクトチーム責任者)、カジノに反対する大阪連絡会の中山直和事務局次長、おおさか市民ネットワークの藤永延代代表も参加しました。
集客施設造るのは世界の非常識
藤永氏は、夢洲へ投棄されたしゅんせつ土砂の「濃度計量証明書」を入手しています。大阪湾のしゅんせつ土砂の成分を検査した会社が港湾局に提出したもので、環境基準値の28倍ものPCBが検出されたことが明記。藤永氏は「有害物質が埋め立てられた夢洲で人を集める施設を造るのは、世界の非常識だ」と話します。
(大阪民主新報、2022年11月20日号より)