柏原・羽曳野・藤井寺の３市のごみ焼却の余熱を利用し、温水プールなどを設置する「クリーンピア21」（羽曳野市市川向27）が、利用者や職員にも知らせず来年３月末の廃止が決められたことに怒りが広がっています。

多くの市民が利用する施設

　「クリーンピア21」は厚生年金や国民年金の積立金還元融資、柏原・羽曳野・藤井寺３市の税金で、１９９８年９月に建設されました。３市のごみ焼却やし尿処理を担う一部事務組合「柏羽藤環境事業組合」が運営し、３市の市長が正・副管理者を務めます。
　施設内には、温水プールや歩行者専用プール、トレーニングルーム、大広間、多目的室、浴室などがあり、安価で利用できます。健康増進やコミュニケーションの場として、多くの市民に利用されてきました。

リハビリ目的で使用されて

　ジュニアスイミングクラブやヨガ、ジャズダンスなど、多彩な教室も開催。休日には、多くの子どもたちでにぎわいます。
　珍しい歩行者専用プールも設置。高齢者や病後（脳こうそく、腰やひざの人工関節）のリハビリ目的で使用されています。
　利用している羽曳野市の女性は、「膝と腰の痛みで苦しみ、整形外科や整体院に通っていたが、約10年前からクリーンピアに通い出して元気になった。友だちもたくさんできた」と話します。

貼り紙一枚で閉館の知らせ

存続運動が起きているクリーンピア21＝11月24日、羽曳野市内

　施設には３市内から公共バスで通うことができます。免許を返納した高齢者や足の不自由な利用者は、施設の廃止を聞いて、「行けるところがなくなる」と困惑。プールやジムを利用している河南町の女性（72）は、「ここで知り合った人たちと山歩きをしたりと交流が楽しい。なくなると皆に会えなくなる」と不安を漏らします。
　突然、閉館予告が施設に貼り出されたのは今年２月。職員すら事前に知らされませんでした。直後から施設の投書箱に、「親と自分、子の３代で利用している。楽しみの場を奪わないで」などの投書が殺到しました。
　環境事業組合側は閉館の理由に、老朽化や利用者の減少、運営に多額の費用を要することなどを挙げています。年間利用者は、コロナ禍前が約７万９千人で、コロナ禍の中でも約５万５千人です。
　それまでは将来の大規模改修を予定し、雨漏り対策も計画的に進めていました。突然の方針転換は、昨年６月に３市の市長が集まる会議でなされました。

今からでも市民の声聞くべき
「市民の会」 存続求め運動

署名６千筆弱が１カ月半で

　利用者らは４月７日、「クリーンピア21の存続を求める市民の会」を発足。環境事業組合に存続を求める要望署名を、わずか１カ月半で５８５３人分集めました。また、３市の市長や市議会の各会派代表者と面会し、施設を残してほしいと要請。利用者らが存続の思いを書いた総数９００枚の要請はがき、市長と各市議に送付しました。
　議会内外で施設存続のために奮闘する３市の日本共産党にも、信頼が広がっています。

廃止に反対した日本共産党

　環境事業組合は「市民の会」と会合を重ねる中で、ごみ焼却施設はこの先15年間、プールも５年間は使用できることを明かしました。プールの管理を委託している会社との契約が、来年３月末で切れることも分かり、「市民の会」が再契約を求めました。
　しかし５月末の事業組合議会（３市から市議５人ずつ選出）で、「余熱利用施設設置条例を廃止する条例」を可決。「市民の声を聞くこと」「議決を急ぐ必要はない」などの意見が出ましたが、採決が強行されました。反対は日本共産党の２議員を含む３市議でした。
　廃止に賛成した議員は「限られた利用者に税金をつぎ込むのは、税の公平性から市民の同意が得られない」と主張。管理者側は「３市で費用を支出して運営しており、これ以上負担をかけられない」と答弁しました。

皆利用できる「市民の財産」

　「市民の会」の荒藤光夫代表は、「この施設は営利目的ではなく、市民の健康増進、介護予防などの福祉目的の公共施設。図書館や市民病院などと同様に、いつでも誰もが利用できる市民全体の財産だ」と話します。
　柏原市は、公共施設の改変や存廃を決める場合に市民の意見を聞くと定めた「まちづくり基本条例」を制定していますが、市民や利用者への説明は未だありません。施設存続を求めた「市民の会」の請願は、３市の議会や11月の組合会議で否決されました。
　柏原市議会から選出された組合議会議員の江村淳市議（日本共産党）は、「管理者の判断はあまりに急で乱暴だ。大規模改修に法外な費用がいるわけでもなく、経費の再検討など施設を継続するために知恵を出せるはず。今からでも市民の声を聞くべきだ」と話します。

(大阪民主新報、2022年12月11日号より）