「消えた山下票」訴訟
〝集計間違えても問題なし〟
大阪高裁も不当判決
2019年の参院選で、堺市美原区の住民らが比例区の日本共産党・山下芳生氏(当選)に投票したのに、開票結果が「0票」だったのは違法だとして、同市に損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決が2月25日に大阪高裁でありました。冨田一彦裁判長は「人為的な誤りにより、投票した候補者と異なる候補者に対する投票と扱われることを、完全に排除する法的義務があったとはいえない」とし、住民側の控訴を棄却する不当判決を出しました。
原告「本当の開票結果」示して
昨年3月の一審判決では、「候補者の当落に関わらず、自らの投票が正確に得票に計上されること」を、憲法上保障された権利と解せないと判断し、住民らの訴えを棄却していました。
これに対し高裁判決は、「『投票』と『集計』を分断し、前者のみが保障されていると解することはできない」として、原告側の主張を一部認めました。
しかし高裁判決は、その権利は現行選挙制度の限界が前提になると判断。参院選では短時間に大量の事務処理が必要で、「憲法上の選挙権の保障も、このような限界を甘受せざるをえない」としました。
原告は山口義弘さん(78)ら10人。訴訟を通じて「本当の開票結果」の確認を求めています。 しかし判決は、投票が適正に取り扱われたかどうかについて、投票と開票結果との関係では判断されないとしました。「選挙の秘密」が保障されている下では、特定の投票内容を確認することは許されず、選挙事務全体が適正に行われているかどうかで判断されると述べました。
その上で、同選挙での開票事務が「手引に従って行われたことが認められる」と断じています。 判決後、原告と支援者らは大阪市北区内で集まり、「開票事務が適正に行われていなかったことは明らかだ」「選挙が信用できなくなる」など怒りを口にしました。山口さんは「上告を検討する」と述べました。
(大阪民主新報、2023年2月5日号より)