おおさかナウ

2023年02月11日

反戦・平和の党 大軍拡阻止に全力
外交努力こそ平和を守る
共産党府委が緊急宣伝 山下参院議員・清水前衆院議員が訴え

 

「安保3文書」の危険性についてパネルを用いて訴える(左から)山下、清水両氏=4日、大阪市都島区内

 日本共産党大阪府委員会は4日、大阪市都島区の京橋駅前で緊急宣伝し、岸田政権が進める大軍拡・大増税の危険性を告発しました。宣伝は山下芳生党副委員長・参院議員と清水忠史前衆院議員との掛け合いトークで進行。敵基地攻撃能力保有など大軍拡の危険性を伝えるパネルを使い、山下氏が清水氏の質問に答えながら安保3文書の問題点を分りやすく解説するとともに、「反戦・平和を貫いた日本共産党の存在意義を懸けて大軍拡を止めるため全力を挙げる」と訴えました。

閣議決定「安保3文書」の危険性告発  

 「今、国のあり方が大きく変えられようとしています。戦争か平和かの岐路に立たされています」。山下氏は、そう語り始め、「反撃能力」の名で敵基地攻撃能力を保有し、そのために5年間で43兆円という空前の大軍拡に踏み出すと閣議決定した「安保3文書」の危険性を告発。「敵基地攻撃能力の保有は日本国憲法に照らして到底許されない」「『専守防衛』さえ投げ捨て米国とともに先制攻撃を行う安保政策の大転換を阻止しよう」と訴えました。
 山下氏の気迫あふれる訴えに、市民の足が止まり、二重、三重に聴衆の輪が広がりました。
 緊急宣伝を告知したSNSを見て来たという30代の女性ボランティアは、「国民みんなの大切な税金を戦争のための兵器に使うなんて許せない。絶対に反対したい」と署名集めに協力。JCPサポーターのメンバー2人も駆け付けてチラシ配布を手伝いました。

国会にも諮らず 専守防衛さえも
 清水氏が「国民に知らせず国会にも諮らず閣議決定した問題点」「安保『3文書』の危険性」「敵基地攻撃は憲法に違反しないのか」「政府が従来説明してきた『専守防衛』にも反するのでは?」などと問い掛けると、山下氏は用意した5枚のパネルを用いて分かりやすく説明。「日本が攻められてもいないのに、自衛隊が米軍と一体となって先制攻撃を行うのが敵基地攻撃だ。他国への脅威となる極超音速誘導弾を持つこと自体が、『専守防衛』を踏み外す大問題だ」と告発しました。

敵対と分断から 平和と協力へと  

 清水氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国が互いに友好協力条約を結び、東南アジアを〝敵対と分断〟から、〝平和と協力〟の地域へとつくりかえようとしていると語り、「大軍拡を進め、軍事対軍事の悪循環を作り出すことは許されない。平和を守るために外交努力こそ必要だ」と強調しました。

 山下氏は、軍拡路線をまともに取り上げないメディア各社の現状について、侵略戦争へと突き進んだ戦前と同じと語り、「反戦・平和を貫く日本共産党の存在意義を懸けてたたかいぬく」と力を込め、大軍拡を許さないために「一緒に頑張ろう」と呼び掛けました。
 短時間の緊急宣伝でしたが、20人近くが「大軍拡・大増税に反対する国会請願署名」に応じました。  大阪市在住の女性は「侵略戦争に明け暮れた痛苦の反省から、2度と戦争はしないと決めた憲法の精神を守ってほしい」と語りました。別の女性も「物価高で苦しみ、仕事もなく明日の食事にさえ困っている人がいる。軍拡よりも、貧困で苦しむ国民を助けることを考えるべき」と話しました。 

 

 日本共産党の山下芳生参院議員・副委員長と、清水忠史前衆院議員が京橋駅前で繰り広げた街頭トークを紹介します。

国会にも国民にも説明なく安全保障政策を大転換する

掛け合いトークで「安保3文書」の危険な内容を訴える山下、清水両氏=4日、大阪市都島区内

清水 岸田政権が昨年12月16日に閣議決定した「安保3文書」が大問題となり、国民の怒りが大きく高まっています。
山下 安保3文書は、まさに「戦争か、平和か」の分かれ目とも言うべき政策の大転換です。3つの文書の中心は「国家安全保障戦略」で、大きく2つのことが       書いてあります。
 1つは「反撃能力」という言葉で敵基地攻撃能力を持つこと。もう1つが今後5年間で43兆円に上る軍備増強、大軍拡をやると決めたことです。
清水 大問題ですよね。国会に報告せず、国民にも説明しないまま決めました。
山下 まず言いたいのは「国民に黙って勝手に決めたらあかんやろ」ということです。
 安保3文書には、「今度の方針はこれまでの日本の安全保障政策を大転換することになります」と書いています。
 大転換と言うならまず国民にちゃんと説明して国会に諮るべきです。場合によっては選挙で国民の信を問う必要も出てくるでしょう。

相手の攻撃範囲の外から攻撃するミサイルの導入狙う

清水 閣議決定で国会に諮らず決めるやり方は「国葬」の時と同じで、順番が逆です。「安保3文書」の危険な中身についてお話しください。
山下 「国家安全保障戦略」には、「反撃能力」つまり敵基地攻撃能力の具体的な中身は「スタンドオフ防衛能力を活用した反撃能力」だと書いています。「スタンドオフ」は敵の攻撃範囲外からミサイルを撃つことで、政府は長射程ミサイルを導入しようとしています。
清水 政府が導入しようとしている兵器を説明したパネルを用意しました。
山下 「12式地対艦誘導弾能力向上型ミサイル」は射程を大幅に伸ばした新型。「高速滑空弾」は迎撃困難な高高度から攻撃できる航続距離2千㌔に及ぶ長射程ミサイルです。「極超音速誘導弾」はマッハ5以上の高速で飛行し、3千㌔の航続距離があります。そしてイラク戦争などで米国が繰り返し使用した航続距離1600㌔のトマホークミサイルです。

他国に対するミサイル攻撃「専守防衛」は成り立たない

清水 航続距離2千㌔や3千㌔ですから北朝鮮や中国の主な都市はカバーされますよね。導入するミサイルで他国を直接攻撃することは憲法上認められるのでしょうか?
山下 急迫不正の侵害が行われ、他に代わる手段がない場合に敵基地を攻撃できると政府は説明していますが、これまでの国会答弁では、仮定の事態を想定して他国を攻撃する兵器を持つことは、憲法の趣旨ではないと国務大臣が明確に答えています。
清水 岸田首相は「専守防衛」は変わらないと言っていますが、おかしいですよね。
山下 こんな軍備を持って「専守防衛」という理屈はもはや成り立ちません。情勢が変わったと言いますが、なぜこれが「専守防衛」に反しないのか完全に説明不能に陥っています。
 もともと「専守防衛」は相手の国を攻撃することではなく、日本への侵略・侵犯を排除するため必要最小限のもので、「自衛隊は憲法違反ではない」と説明してきました。

日本の安全を守るどころか他国に脅威を与えることに

清水 この長距離ミサイルは、むしろ日本の安全を脅かすことになるのではないでしょうか?
山下 危険極まりない大問題です。
 先ほど紹介した「極超音速誘導弾」は、音速の5倍以上で標的へと発射され、迎撃されないよう途中で軌道も変えることができる新型ミサイルです。破壊力が抜群で、空母の甲板を貫いて破壊すると説明されています。
 日本がこんな軍備を持てば備える国もあるでしょう。日本がターゲットとなるリスクになります。
清水 他国に脅威を与える軍事大国にはならないと言っていたのに、脅威を与えることそのものですよね。
山下 その通りです。「脅威を与えなければ抑止にならない」「抑止とは脅威と威嚇だ」などと専門家は口を揃えて言いますが、従来の政府の説明と完全に矛盾しています。

先制攻撃繰り返してきた米とともに「ミサイル防衛」を

清水 通常国会開会前の1月13日、岸田首相がアメリカに行って、バイデン大統領に「安保3文書」を説明。同11日には外務大臣と防衛大臣が渡米し、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表で、「日本の敵基地攻撃の効果的な運用」のために日米間の協力を深化させることを決定すると合意。どう見ればいでしょうか。
山下 2プラス2共同発表は、「日米同盟の抑止力・対処力」強化の冒頭に、「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」を取り上げています。米軍が地球規模で空域を支配するため「ミサイル防衛」などを攻守一体的に駆使する防衛システムで、「安保3文書」で政府が導入を初めて表明しています。
 IAMDについて米国統合参謀本部の文書は、攻撃目標として「ミサイル・サイト」「飛行場」「指揮統制機構」「インフラ」があり、「敵の航空機やミサイルを離陸・発射の前と後の双方において破壊、または無力化する」と書いています。
清水 軍事拠点だけでなく、道路や鉄道、港湾なども攻撃対象に。志位委員長の国会追及で、岸田首相は「アメリカとて国際法違反の先制攻撃はするはずがない」などと答弁していましたが。
山下 説得力のない答弁です。米国統合参謀本部の文書は「対航空作戦は先制的にも対処的にもなる」と先制攻撃を明示しています。アメリカはベトナム戦争、イラク戦争など世界中で戦争を繰り返してきましたが、すべて先制攻撃でした。

政府は自衛隊基地を地下化 基地の街で反対の意見書が

清水 近畿、全国に自衛隊の基地があり、ミサイルを配備することになれば、基地も対象になる恐れがありますね。
山下 基地の街は危険性に気付いています。南西諸島の島々に今、ミサイル基地が造られています。石垣市議会は、他国の領土を直接攻撃するミサイル配備の動きに市民の間で動揺が広がり、「自ら戦争状態を引き起こすような反撃能力をもつ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認することはできない」との意見書を採択しました。
清水 沖縄の人たちの声を無視してミサイル配備を進めることは、絶対に許されません。
山下 岸田政権は、沖縄の基地整備だけでなく、各地の自衛隊基地の地下化を進めようとしています。九州各地や関西でも和歌山県内のレーダー基地を地下化すると。基地地下化の予算が新年度予算に盛り込まれています。
清水 国民の命を危険にさらしかねない大軍拡を絶対に止めるために、「安保3文書」の危険な内容を訴えていきたいと思います。
山下 日本の国土を戦場にしてしまいかねない大軍拡路線を許していいのかが問われています。
 国民の命と暮らし、子どもたちの未来を守るため、この大問題を知って、共に考え行動を広げていきましょう。党創立から1世紀、命懸けで反戦・平和を貫いてきた日本共産党の存在意義をかけて、岸田政権の大軍拡計画を絶対阻止するために全力を尽くします。一緒に頑張りましょう。

米国の枠組みに組み込まれ国土焦土化させる可能性も

清水 イラク戦争で米国などは「大量破壊兵器を持っている」と勝手に決めつけて戦争しましたが、「持っていなかった」と分かり、あの戦争が間違いだったことが大問題になりました。
山下 イラク戦争を真っ先に支持表明したのが日本の総理大臣でしたが、政府はあの時の判断を「間違っていた」とは決して言いません。アメリカのやる戦争にイエス・イエスと付き従ってきた日本政府が「アメリカは先制攻撃はしません」なんて言っても信じることはできません。
清水 結局、国際法違反の無法な戦争を繰り返してきたアメリカと一緒に、日本が「IAMD」に組み込まれてしまうのは本当に危険ですね。
山下 「国家安全保障戦略」には、集団的自衛権の行使と一体に、日本が攻められていない場合でも、敵基地攻撃能力を行使できると書いています。先制攻撃を行えば、相手国から報復攻撃を受けることになります。日本を守るどころか、日本の国土が焦土と化してしまいかねない危険な構想です。

(大阪民主新報、2023年2月12日号より)

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