カジノ賃料鑑定疑惑
大阪市の指示で「IR考慮外」に
市の説明は虚偽の疑い
共産党大阪市議団・たつみ氏が会見
大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)のカジノ用地の不動産鑑定評価で、カジノを核とする統合型リゾート(IR)を「考慮外」としたことについて、大阪市は「鑑定業者の意見を踏まえたもの」と説明してきましたが、市から鑑定業者に依頼したものであることが判明しました。これまでの説明や議会答弁は虚偽の疑いがあります。日本共産党大阪市議会議員団が14日、記者会見で公文書を示して明らかにしました。
公文書で判明
IRはカジノのほか、高層ホテルや国際会議場、展示場、イベント会場などが一体になったものですが、不動産鑑定業者は、それより価値の低いショッピングモールのような「大規模複合商業施設」として鑑定しました。
カジノ事業者が支払う賃料は、正当に評価された場合と比べ年15億円、35年の事業期間で500億円超の値引きになるとの試算もあります。
業者の意見だと説明したが
「IRを考慮外」となった理由について、松井一郎市長や夢洲を管轄する港湾局は、IRは国内に実績がないので鑑定は困難だという鑑定業者からの意見を踏まえたものだと、繰り返し説明してきました(別項)。吉村洋文知事もテレビ朝日の討論番組(9日)で、「鑑定士が出した金額で、客観的だ」などと発言しています。
松井市長〝業者ができないといったから〟
別項 松井一郎市長「IRというのは日本にないということで、鑑定事務所からIRを基本とした鑑定額は出せないという話がありましたので考慮外とした」(2022年12月15日の会見)
市に損害、見過ごせない―山中団長
鑑定評価そのものが不当―たつみ氏
記者会見には山中智子市議団長、井上ひろし、長岡ゆりこ両市議と、「明るい民主大阪府政をつくる会」の、たつみコータロー知事候補が出席しました。「しんぶん赤旗」日曜版の情報公開請求に対して、大阪市が公開した公文書を示しました。
港湾局は昨年12月、鑑定を依頼した1社から「IR事業は国内実績もなく、評価上考慮することは適切でないと考えている」旨の意見を、2019年9月下旬に受けたと記者に説明していました。港湾局が4社に鑑定評価を依頼したのは2019年8月22日です。
ところが公文書によると、うち1社(有限会社arec)が依頼当日、港湾局に出した確認書にはIRを「考慮外」とすると明記しています。翌23日、別の1社(株式会社谷澤総合鑑定所)が出した確認書には、「依頼者指示に基づき…考慮外とした鑑定評価を行う」と、はっきり書かれています。「依頼者」は大阪市です。
山中氏は、最初からIRを「考慮外」として安く鑑定するために市が動いていたことは明らかだとし、「意図的に土地が安く見積もられ、賃貸されることになれば、市民に損害がかかり続ける。このまま見過ごすことはできない。鑑定のやり直しを」と述べました。
たつみ氏は、吉村知事らは「専門家の鑑定評価を経たので正当だ」などと説明しているが、今回の公文書は価格が安くなることを前提に市が評価を求めたことを示すものであり、「鑑定評価そのものが不当である可能性が高い」と語りました。
(大阪民主新報、2023年3月19日号より)