維新候補にダブルスコアで圧勝
4選の濱田高槻市長 市民と共に歩む市政
4月23日投開票の高槻市長選で、現職の濱田剛史氏(自民、公明、立民、国民推薦、日本共産党が自主支援)は9万9816票を獲得し、維新公認の松浪健太氏(4万2401票)に2・35倍の票差で4期目の当選を果たしました。
子ども医療費自己負担/小中学校の給食費
「2つの完全無償化」へ
「完勝や!」。市長選が投開票された4月23日夜、濱田氏の選挙事務所に集まった市民からは安堵の声と共に、「ここまで票差は想定外」「市長の人気は本物や」と驚きの声も聞かれました。
ある関係者は同月実施の府知事選で「大阪維新の会」の吉村洋文代表が得た11万票がスタートラインだったと語り、別の関係者も「接戦を予想していた」と振り返ります。ダブルスコアの選挙結果は松浪陣営にとっても衝撃の結果となりました。
市長選で維新は▽大阪府・市で導入済みの「政治活動条例」「職員基本条例」制定▽幹部職への民間人登用▽市バスの効率化▽安満遺跡公園をもうかる施設に――など維新公約〝高槻八策〟を掲げ、「僕とケンタさんに高槻の未来を任せて下さい」と書いた吉村知事の写真入りビラを大量配布。「市議会第1党へ」と9人の市議候補(当選8人)一体の選挙活動を展開しました。
対する濱田陣営は「子育て・教育」「防災」「健康医療」のトップランナーを掲げ、3期12年市民と一緒に成果を積み上げてきたと強調。▽子ども医療費助成18歳に拡充▽親子方式(小学校でつくった給食を中学校に届ける)の中学校給食導入、22年度に中学給食無償化▽市独自の小・中35人学級実現▽全国トップクラスの健診助成▽初期救急から3次救急まで安心の医療体制整備――など豊かな実績を示し、「2つの完全無償化」(①子ども医療費窓口負担の完全無償化②小中学校給食費の完全無償化)を含む107項目の選挙公約を打ち出しました。
開票結果が判明し、事務所に姿を見せた濱田氏は、「ひたすらに3期12年の歩みと今後のビジョンを語り続けた」と選挙戦を振り返り、「『高槻を何としても守ってほしい』との声が多く寄せられた。これからも市民皆さんの声をしっかり聞きながら市政運営を担っていく」と公約実現への決意を語りました。
統一地方選・後半戦の7市長選(吹田・高槻・寝屋川、八尾・藤井寺・大阪狭山・高石)で、吹田、高槻、寝屋川の中核市3市では、現職候補が維新新人に大きく差をつけ勝利し、吉村知事は敗因について「現職市長が実績を積んできたことに尽きる。それぞれの市で何が課題か判断していく必要がある」(4月25日付『毎日』)と語りました。
要求実現の先頭に日本共産党の姿が
日本共産党は、奥本務市長時代の2007年から自主的支援を開始し、濱田氏が初当選した11年以降も、是々非々の立場で現市政に対応してきました。
党高槻・島本地区委員会と議員団は、住民福祉の向上と市が公共の役割を最大に果たすことを探求し、広範な市民の要求実現の運動と共同してきました。
濱田市政は、前市政から進めてきた市バスの拡充や安満遺跡公園(いずれも別項)づくりの他、中学校給食、中学校35人学級を実現。コロナ禍や物価高騰の下では、関連支援策やプレミアム商品券発行など、市民生活をサポートしてきました。いずれも、共産党が、市民が主人公の市政発展のために探求してきた、要求に基づく市民との共同の成果です。
府内唯一の公営バスが重要争点に
〝市民の足〟を守る市政
4月の統一地方選ではこの公営バスのあり方が一大争点に浮上しました。
大阪府内で唯一の公営路線バス「高槻市営バス」は、1954年に7路線(営業距離73㌔)で運行スタート。現在は市内全域24路線(126㌔)に拡充され、1日5万人が利用し、年間輸送人員は1900万人に上ります。来年営業70周年を迎える「市民の足」は、南北に長い市内の移動手段として発展し、市民の暮らしを支えてきました。
市は1972年、高齢者の社会参加促進などを目的に無料で乗車できる「敬老パス」を創設。同様の制度を持つ全国の自治体で廃止・縮小の動きが広がる中、濱田市長は議会質問への答弁で、「府内唯一の市営バスを守る」と重ねて表明(2022年3月議会)。75歳以上の市民は全線無料で乗車でき、70~74歳は1回100円を負担します(今年度は72歳以上無料)。
府内でトップクラスの健康寿命
「敬老パス」の効果について市が2019年に実施した「市営バス利用実態アンケート調査」報告書は、買い物や飲食、娯楽、医療など年間32億円の経済効果を指摘。さらに高齢者の外出頻度は週当たり1・3日増、1日当たりの歩行数も増えています。
介護に頼らず過ごせる期間を示す健康寿命は府内で女性1位、男性2位。介護事業費も府平均より65億円以上少ないなど、公共交通網の整備が市民の健康に寄与しているとの指摘もあります。
市バスの民営化訴えた維新候補
大阪維新の会は過去にも市バスについて、「民間にできることは民間に任せるべき」(20年3月の市議会質問)などと発言し、便数削減や最終バスを午後9時台に早めるよう主張。吉村知事は松浪候補の応援演説で、大阪市営地下鉄民営化を実績に挙げ、「市営バス、いまの時代に本当に市営である必要があるのか」「古い政治を続けるのはリスク」などと訴えました。
この動きに対し、日本共産党高槻・島本地区委員会は、「維新の会の市バス民営化は困ります」と現市政の継続・発展を訴えるビラを発行。ビラを見た市民からは「民営化絶対反対」「運行本数削減は困る」と声が寄せられ、「濱田再選へ友人に訴えたい」「現市政を支える議員に投票します」などの意見も多くありました。
市長選で濱田氏を支持したという女性(40)は、「子ども医療費助成や学校給食無償化など、子育ての中で何度も行政に支えられてきた。敬老パスは市民に対する優しさの象徴。市バスはすべての世代にとって必要だし、公営バスとして守ってほしい」と話しました。
新規路線の開設も
高槻市は直営バスの優位性を最大限生かし、新路線の開設や割引制度などサービスを次々拡充してきました。
ますます便利になる「市民の足」
2013年4月には、市東部地域と市中心部の阪急高槻市駅やJR高槻駅を結ぶ上牧路線を開設。多くの住民が切望していた新路線で、当時のオープニングセレモニーで濱田市長は、「市民に愛される市バスとして発展させたい」とあいさつ。今年4月には21年に全面開園した「安満遺跡公園」と鉄道駅を直結する新路線もスタートし、「市民の足」としてますます便利になっています。
子育て世代を対象に、2018年10月、市内に住む妊婦と同伴者1人がそれぞれ全線100円で乗車できる「こうのとりパス」制度をスタート。さらに22年11月には、出産後から1歳の誕生日まで同伴者の運賃を100円に割り引く「かるがもパス」制度を導入しました。
妊婦や小中学生にも便利なパス
0歳児の運賃はもともと無料ですが、「こうのとりパス」は妊娠中から出産後の4カ月健診まで利用でき、「かるがもパス」は、4カ月健診から1歳の誕生日まで利用可能です。
母子手帳と一緒に「こうのとりパス」を交付された女性(20代)は、「赤ちゃんが産まれる前から行政に支えられているのだと嬉しく感じた」と言い、別の女性も「体調の変化の中で妊婦健診や買い物など安心して外出できた」とにっこり。「かるがもパス」を現在利用する母親は(30代)は「祖母と一緒にお出かけしたり、とても助かっています」と語ります。
夏・冬・春の休み期間中乗り放題となる小学生用の「U―12」、中学生用の「U―15」のおでかけパスも販売しています。
まちづくり、コロナ支援…
暮らし支える豊かな実績
濱田市政は3期12年、市民との約束を着実に実行し、実績を重ねてきました。(表参照)
2011年の初当選直後は、懸案とされた京大農場跡地へのサッカースタジアム計画を見直し、国宝級との評価から国史跡指定を受けた弥生時代の古代遺跡を含む周辺一帯を「安満遺跡公園」に整備し、21年に全面開園しました。
甲子園球場5個分の広さを誇る園内には、国の登録有形文化財にも指定された「旧京都大学農場」(1930年頃築造)の建物4棟を歴史展示館などに整備。年間40万人の来場想定を大きく上回り、140万人が来場する盛況ぶりで、サッカー教室、青空ヨガ、遺跡見学会など年間を通じてイベントが開催されています。
現市政の下で、大阪北部地震や西日本豪雨など自然災害による被害最小化を目指し、防災拠点やインフラ整備も加速しました。教育・保育環境の充実とも相まって、3年連続で子育て世代を中心に、転入数が転出を上回り、市民アンケートでは「高槻市に住み続けたい」が過去最高の85%に達しました。
新型コロナや物価高に対応する個人や小規模事業者向けの支援策など、手厚い市民サービスを進めながらも市の一般会計は、連続黒字の健全財政を維持しています。
濱田高槻市政12年の軌跡
1期 | 2011年 | 濱田剛史氏7万3701票を得て初当選 |
12年 | 子ども医療助成(入・通院)を「小学校」卒業まで拡充し、所得制限を撤廃 | |
小学校6年生で市独自に35人以下学級を実施(国・府基準は1・2年のみ) | ||
高槻ごみ処理施設「新焼却炉」で直営方針を表明(2012年7月30日) | ||
13年 | 市バス「上牧」新路線スタート | |
学童保育の開室時間を7時まで延長 | ||
市バスの夏休みの小学生に無料パスを実現 | ||
小学校全学年に35人以下学級を拡充(国・府の基準は1・2年生のみ) | ||
14年 | 子ども医療助成(入・通院)を「中学校」卒業まで拡充し、所得制限なし | |
中学校給食を全校実施(温かい親子式。一部完全自校式) | ||
2期 | 15年 | 建設残土処分の規制条例を制定 |
32年連続で市会計は黒字に | ||
16年 | 子どものインフルエンザ予防接種費用を助成、子育て家庭の負担を軽減 | |
多発するゲリラ豪雨対策で、雨水貯留施設を整備 | ||
消防・救急体制を拡充 | ||
水害・土砂災害ハザードマップ作製 | ||
17年 | 市バス「竹ノ内・番田」新路線がスタート | |
産廃焼却施設 自治会5分の4以上の合意義務付ける「規制条例」成立 | ||
18年 | 大阪北部地震、補助制度のない「一部損壊」への独自補助を実現 | |
子ども食堂(月2回以上開催)に1回7千円補助実施 | ||
「安満遺跡公園」が一部開園 | ||
市営バス検証結果、敬老パス(70歳以上無料)の経済効果32億円 | ||
3期 | 19年 | 「安満遺跡公園」が全面開園 |
子育て支援の拠点「高槻子ども未来館」が開館 | ||
市有地に合葬式の墓地を整備、供用開始 | ||
「市バス敬老パス」を維持した上で、対象年齢を70歳から75歳へ段階移行する議案成立 | ||
20年 | 子ども医療助成(入通院)18歳まで拡充 | |
市独自の新型コロナ支援策など実現 | ||
市有地にコンベンション機能付きのホテルを誘致 | ||
21年 | 21年9月から小・中学校の給食費を無料(4カ月間) | |
全世帯対象のプレミアム商品券2回目 | ||
中核市の権限を生かし高槻保健所で保健師10人増員、コールセンター設置 | ||
22年 | 中学校の学校給食費無償化 | |
国に先駆け中学校35人学級(1年生、23年度全学年) | ||
物価高騰支援事業で障害者手当受給者・就学前児童1人に2万円 | ||
物価・原油高で運送・社福施設・配食サービス・保育・農家に支援事業 | ||
市内公共施設の女性トイレに生理用品を設置 | ||
・「芥川城跡」国史跡指定。保存・活用、魅力発信へ | ||
コロナ関連支援策(65歳以上のインフルエンザ予防接種無料など) | ||
文化芸術の発信拠点「高槻芸術文化劇場」がオープン | ||
市バス「安満遺跡公園」新路線スタート | ||
4期 | 23年 | 濱田市長が約10万票を得て4選 |
18歳まで医療費ゼロ、給食完全無償化など公約 | ||
5回目のプレミアム商品券発行へ | ||
高槻島本夜間休日応急診療所が新築・移転 | ||
関西将棋会館が大阪市福島区から移転予定 |
(大阪民主新報、2023年5月28日号より)