命を守れ、尊厳を守れ
入管法改 悪 必ず廃案に
500人が集会・デモ
参院法務委員会で審議中の入管法改悪案の廃案を求め、約500人が20日、大阪市北区内でデモ行進しました。主催は難民支援者らでつくる実行委員会。音楽に合わせて「命を守れ」などコールしました。
維新議員は恥を知れ
廃案法案と同様
同法案は難民申請に上限を設けて、3回目以降は申請中の送還を可能にするもの。世界でも異常に低い難民認定率、在留資格のない人を全て収容する全件収容主義などの非人道的な入管・難民行政を改めず、外国籍の人への人権侵害をより深刻にするものです。2021年に世論の批判を浴びて廃案になった改悪案とほぼ同じです。
政府案への対案として、日本共産党と立憲民主・社民、れいわ新選組、沖縄の風の野党4会派は、難民等保護法案と入管法改正案を共同提出しています。
政治を動かそう
デモ前の集会では、支援者が「国際条約・国際規範に反する改悪に反対を」「入管が抑圧・差別しているのは在留資格がないだけで、同じ人間だ」と訴え。日本共産党の宮本岳志衆院議員や清水忠史前衆院議員、辰巳孝太郎元参院議員、立憲民主党の辻元清美参院議員、櫻井周衆院議員、社民党の大椿裕子参院議員、れいわ新選組の山田紗保豊中市議も発言しました。
宮本氏は「悪法を止めるため、みんなで力を合わせなければならない。人間の尊厳を守るには、市民と野党の共闘しかない。一人一人の声で政治を動かそう」と呼び掛け。清水氏は「身体の危険の及ぶ国に無理やり送還することは、日本も加盟している難民条約に違反。外国人の人権を守らない政府は、日本人の人権も守らない。改悪をなんとしても阻止するため、党派を超えて力を合わせよう」と訴えました。辰巳氏は「私たち日本人が問われている。世論を喚起し、今度も改悪をストップさせよう」と力を込めました。
初めてデモに参加した人もいました。作家の女性(28)=京都市伏見区在住=はツイッターで情報を追う中で初参加。「人が死なない方向へ向かってほしい」と話していました。
根拠のない妄言
デモで参加者が一際声高く叫んだのは、「維新の議員は恥を知れ」でした。
参院大阪選挙区選出の日本維新の会の梅村みずほ議員は、2021年に名古屋出入国在留管理局で医療にアクセスできず亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)について、入管行政ではなく本人や支援者を問題視する質疑を行いました。12日の参院本会議で、「支援者の一言がウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況につながった恐れも否定できない」と述べました。
さらに梅村氏は「支援者の必死の手助けや助言は、場合によってはかえって、被収容者にとって見なければよかった夢、すがってはいけない藁になる可能性もある」とも発言。16日の参院法務委員会でも、「ハンガーストライキによる体調悪化によって亡くなったのかもしれない」と述べ、18日の同委員会でも梅村氏は、「支援団体をつぶさにチェックする必要がある」と声を張り上げました。
入管庁の調査報告書には、ウィシュマさんが詐病だった可能性についての記載はありません。入管庁はウィシュマさんのハンストに関し、昨年3月の同委員会で「事実は把握していない」と明言しています。
梅村氏の質疑に遺族側は猛抗議。与野党から「党の人権無視の体質が表れている」(共産)、「事実に基づいて発言すべきだ」(公明)など批判の声が上がりました。維新の音喜多駿政調会長は、本会議での質疑は事前に原稿をチェックしており、党を代表してのものだったと認めた上で、「問題提起。間違ったことはしていない」と述べていました。しかし18日、維新は梅村氏を法務委員会から外すと発表しました。
政府の責任問う
20日の集会でも、梅村氏と維新への批判の声が多く上がりました。また「入管法改悪に反対し大阪に集った人民一同」名義で抗議声明を決議。維新の、党としての責任を指摘すると同時に、「梅村発言を生み出した最大の責任者は、政府与党と入管当局」と断じました。
声明は、「入管行政の真の問題は、入管当局が保持する絶大な裁量と権限、第三者機関によるチェック機能の欠如、外国籍者を監視の対象として扱う差別的姿勢にある」と指摘し、入管行政の本質的な問題の究明を徹底し、その上で、真の意味での問題の解決につながる改正案について国会で審議を行うべきと述べています。
梅村氏は議員辞職を
府保険医協会 政策調査部長が談話
大阪府保険医協会政策調査部の斉藤和則部長が19日、談話「ウィシュマさんの死を根拠なく当人責任、支援者のせいにした日本維新の会梅村みずほ議員の辞職を求める」を発表しました。
談話は、梅村氏の発言は、国民としても医療に関わる者としても容認できないとしています。
日本維新の会が法務委員を更迭したものの梅村氏は発言を撤回せず、「国会議員の適性そのものが問われる」と指摘。根拠はないが「可能性は否定できない」死因を基に入管法改正の議論をする議員は、もはやその責任を果たせないと断じています。
(大阪民主新報、2023年5月28日号より)