故萩尾千里さん(元関西経済同友会常任幹事・事務局長)に
元関西経済同友会常任幹事・事務局長、元大阪国際会議場社長の萩尾千里さんが4日、亡くなりました。萩尾氏を悼んで、日本共産党大阪府委員会副委員長の中村正男さんから、次の一文が寄せられました。
故萩尾千里さん(元関西経済同友会常任幹事・事務局長)に
萩尾千里さん。2000年5月18日、初めて関西財界からあなたを迎え、志位和夫書記局長(当時)と語り合った「関西経済の発展を語る日本共産党との経済懇談会」は大反響でした。1200人が集い、メディアは50数人がかけつけました。
萩尾さんは経済問題に続いて、「最近非常に影響力を持っている共産党も変わっていただきたい」「綱領を変えてほしい」と遠慮なく注文をつけ、これに志位さんが正面から答えました。
あるテレビ局の方が「〝水と油〟かと思ったが、話がかみあっていて新鮮な驚き」と語ったのが印象的でした。
「大阪民主新報」特集号をお持ちした際、「都合のいいところだけ載せられるかと思ったら、私が発言した通り。共産党を見直した」とおっしゃいましたね。
萩尾さんが遺された『新聞記者のち財界人』でも、懇談会のことを、私との行き来も交え11ページにわたって記されていました。
初めてお目にかかったのは98年、「関西財界セミナーの資料を」と中之島センタービルをフラッと訪ねた時でした。「共産党の人がきた」と萩尾さんに取り次ぐと、珍しかったのか、応接室に迎えてくれました。「最近の共産党は変わった。徳田球一みたいに『阪神高速道路は軍用道路』といわなくなった」(笑)と。
以来、2006年に大阪国際会議場社長に就任されてからも、何度足を運び、「関西財界ご意見番」のお話を伺ったことか。日本経済の前途、維新への危惧などでは、一致点がたくさんありました。
昨年6月14日、大門みきしさんの『やさしく強い経済学』をお渡しすると、「いまの資本主義はだめです。大企業が内部留保ばかり貯め、還元しない。経営者が失敗しても、非正規を調整弁にして責任を取らない。格差社会はおかしい」。そのあと「共産党も独裁を許さないために役割を果たしている」「プーチンは覇権主義でしょ。同じに見られて困るから、名前を変えたら?」とおっしゃるので、「いや、こちらが本家本元の共産党で、中国、旧ソ連がおかしい」というと、「本家! それはいい!」と笑顔で返してくれました。
これが最後の機会になるとは思いもよらぬことでした。志位さんの「日中提言」へのご意見もぜひ伺いたかったし、一度清水ただし元衆院議員もまじえ食事をした際、プロはだしで熱唱された「イヨマンテの夜」もまた聞きたいと願っていました。
四半世紀に及ぶ得難い交流。ありがとうございました。どうぞ安らかにお眠り下さい。(なかむら・まさお 日本共産党大阪府委員会副委員長)
(大阪民主新報、2023年7月16日号より)