おおさかナウ

2023年07月29日

全党を挙げて世代的継承へ
日本共産党府委員会が世代的継承学習交流会
ベテラン党員・党機関の役割重大

世代継承運動の学習交流会であいさつする柳利昭府委員長=22日、大阪市都島区内

 日本共産党大阪府委員会は22日、大阪市内で「世代的継承をテーマにベテラン世代と党機関の役割を考える学習交流会」を開きました。世代的継承に取り組む職場と地域を代表して5人が報告し、質疑応答も交えて活発に交流しました。

 開会あいさつで柳利昭府委員長は、この学習交流会は8中総が提起した「第29回党大会成功・総選挙躍進を目指す党勢拡大、世代的継承の大運動」成功のために企画したと述べ、50代以下の党員倍加など「大運動」の目標達成へ府党の総力を挙げると強調。党全体の8割を占める60歳以上のベテラン世代の力を集めることが不可欠で、党機関の役割発揮が重要だとし、「青年・学生、労働者、真ん中世代の中で実際につくり出された豊かな経験を学び合い、確かな手がかりをつかみ、明日からの前進につなげよう」と呼び掛けました。

党への信頼に自信と生きがい持って

中村正行さん

 党大阪中央地区委員会・損保対策委員会副責任者の中村正行さん(72)は、退職後すでに何年も経つOB・OGが、どうやって現役社員に接近するのか真剣に討議と努力を重ねてきたと述べ「対象者がいない」「知らない人に訴えられない」「入党してもらえる自信がない」――の3つの壁を乗り越えることが不可欠だと語ります。
 議論と実践を通して確信したのは、「職場の仲間が日本共産党に信頼と関心を寄せている」こと。ある仲間が「職場では表面的な業務の会話だけ。社会や国民の役に立つ仕事とは何か? そんな話ができるのは皆さんだけです」と語ってくれたと紹介。「仲間は共産党をそんなふうに見てくれている。ベテラン世代の党員は、ここにもっと自信と生きがいを持ってよいと思う」と力説しました。
 コロナ禍もあり、金融業界の職場は、分断と孤立化が深まっています。その中で、現役の仲間とつながる場を求めて開かれている、手料理を楽しむ〝おしゃれな居酒屋風呑み所〟があります。他にもさまざまな趣味やニーズに合わせた行事が企画されています。その場に自らを置いて、日々の暮らしや仕事、時事ニュースから〝恋バナ〟まで気軽に語り合える人間関係を築いてきたと中村さん。今年に入って現役世代を党に迎えたことを報告し、「生活や仕事の悩みとつらさを親身になって聴き、『力になりたい』と訴えて応えてくれた。党活動は『まずは楽しく』の精神で仲間たちと頑張る」と決意を語りました。

議員の世代継承で議論と学習を重ね

田立恵子さん

 1991年から泉大津市議を8期務めた田立恵子さん(71)は、統一地方選で32歳の松本真麗市議へのバトンタッチを成功させ、森下巖さんと共に現有2議席を守り抜いた経験を報告しました。
 「20年前から後継者問題は深刻でした」と語る田立さんは、初当選時4人だった議員団が、07年に後継者が決まらず3議席に、11年市議選で2人が引退し、候補者探しは困難を極めたと述懐。「後継者問題が行き詰まり、議席減と党勢後退を招く悪循環から抜け出せなくなった」と語り、解決に向けて、5年前から毎月1回「党泉大津市委員会世代継承対策会議」を開き、阪南地区委員会の手厚い援助を受け、▽つながり名簿作成▽若者向け情報紙活用▽駅頭や学校前での対話宣伝―を継続し、取り組みの中で『しんぶん赤旗』電子版青年向け無料キャンペーンに応募した松本さんと出会ったと語りました。
 「彼女はいかにも議員になりそうな人として登場した訳ではありません」。同じ世代の若者同様に資本主義社会の矛盾の中、〝生きづらさ〟を抱える普通の青年だったと言い、民青同盟での学習や学生向け食糧支援活動、新型コロナのPCR検査拡充を求める署名、市長選や総選挙事務所スタッフとして活動する中で政治的自覚を高め、自ら候補者になる決意を固めていったと語りました。
 6月議会閉会後、「私を支え、希望を託してくれた方々のため、現時点での力を出し切った」とあいさつした松本市議の言葉を紹介し、世代継承の運動成功へ引き続き力を尽くすと田立さんは語りました。

労働者の激励続け党派超え一致点が

上農清美さん

 北・福島地区・職場支部援助委員会責任者の上農清美さん(75)は、 17年前からOBを中心に毎週1回、上場企業本社や官公庁がある地域で、職場門前などの早朝宣伝を、清水ただし前衆院議員・近畿比例候補の応援も得て続けていると発言。党支部のある職場での門前宣伝は、労働者への激励となり「励まされている。感謝している」と喜ばれています。
 日本共産党として10年以上実施してきた労組訪問では、ナショナルセンターの違いを越え「内部留保を取り崩し、賃上げと消費税引き下げを」「日中国交の平和的回復の提言は非常に大切」など政策上の一致点も多くみられると指摘しました。
 観光・宿泊、物販や商社などの職場では、国際紛争解決と平和外交への期待が強く示される他、大企業労組でも「賃上げ結果は厳しい」「物価や憲法反対で共産党頑張って」との反応が返ってくるなど、協力・共同の発展で、入党対象者が生まれている。ベテラン世代の労組訪問に、現役党員から「うちの労組にも来てほしい」と大変歓迎されています。
 上農さんは、50歳以上の希望退職募集や人権無視の「隔離部屋」扱いによる事実上の指名解雇▽職場での性犯罪・暴力事件多発▽メンタル不調に伴う長期休養と離職増――などを挙げ、「労働者の生活と権利を守るため、ニュースを発行したい」「革命家であることを肝に銘じ、『130%の党づくり』に挑戦したい」「年内に1人を党に迎えたい」と決意が広がっていると発言。「職場支部の存在は、労働者の生活と権利に大きな影響を与える。ベテラン党員として絶対に諦めず、全ての職場支部で入党者を迎えるよう力を注ぎたい」と語りました。

選挙勝利と継承へ互いにリスペクト

倉澤恵さん

 吹田市議を2019年まで務めた倉澤恵さん(74)=吹田摂津地区副委員長=は、石川たえ府議再選と市議7人全員当選を勝ち取った統一地方選の教訓について、「ベテラン党員と真ん中世代が互いにリスペクトし合い、前進への大きな力になった」と強調し、「SNS作戦」「折り入って作戦」の2つの方針が鍵だったと述べました。
 ネット活用では、真ん中世代による「SNSチーム」が、石川氏の街頭演説や実績を伝えるショート動画を作成し、ベテラン世代が拡散する役割を担ったとし、「折り入って作戦」では、東京都党の教訓にも学び、支援者に依拠し、その力を最大限に引き出す活動を重視。1万6千の後援会員訪問に挑戦したベテランの奮闘が、若い幹部の成長に火をつけ、得票目標達成をやり切る構えになったと語りました。
 休日の公園で気軽に対話する「パークでトーク」を行うなど、若い世代の発想や多彩な要求を選挙戦に生かすことも、重要な教訓だと語りました。
 新自由主義の矛盾や自己責任論の中で、若い世代は学習と交流の機会を切望していると指摘。真ん中世代の党生活を支える「れんこんの会」(3地域支部の真ん中世代の集まり)の経験を2014年以降、地区全体に広げてきたと語りました。
 地方選後、報告会などできていなかったので、議論したら〝楽しいことをしたい〟と意見が出され、山田地域のJCPサポーター祭りを開催。真ん中世代が大活躍し、新たな息吹を吹き込んでいると述べ、「引き続き一人一人の青年・真ん中世代党員の思いに寄り添う党づくりを進めたい」と語りました。

つどいを日常化し入党の働き掛けを

吉田豊さん

 党木津川南地区委員会の世代的継承責任者で地区青年学生部長の吉田豊さん(67)は、大阪市住吉区でこの間14回開催してきた真ん中世代の「つどい」の教訓を紹介しました。
 「賃金の格差」「働き方」「男の生きづらさ」「同性婚」「カジノ問題」など、自分たちが抱える問題をテーマにするのがポイントと語り、援助するベテラン党員が〝聞き役〟に徹することが、企画成功の教訓だと指摘。「つどい」を通して5人が選挙ボランティアになり、女性1人を党に迎えたと語った吉田さん。「〝政治を変えたい〟と動き出すパワーは、双方向の対話の中で生まれる。8中総が提起した〝入党働き掛けの日常化〟のために、〝つどい〟の日常化を進めたい」と語りました。
 地区委員会に加え、4つの各行政区にも「世代継承委員会」を構成し、▽有権者台帳に基づく青年名簿作成▽夕方宣伝や高校・大学前でのシール対話▽地区発行「ワカモノ」後援会ニュースの配布――など、若い世代への対話と働き掛けを広げる努力を一貫して追求してきたことが成果につながっていると語りました。
 アンケート対話で、「特に関心はない」と答える青年など、ベテラン党員には「何を考えているのか分からない」などのとまどいもあると指摘。それでも「ベテラン党員が青年の苦しみに寄り添い活動できるのは、仲間との連帯と信頼関係の中で成長し、困難を乗り越えてきたから。ベテラン党員は世代継承運動の主人公です。不屈性を発揮して、〝新しい時代を一緒につくろう〟とメッセージを届けたい」と語りました。
 参加者を交えた交流では、「訪問対話の話題づくりのコツは何か、禁句はあるか」「若者の中に広がる『自己責任論』の実態と影響は」「政党として労組訪問する苦労や悩みは」「青年向け党内ニュースはどうやって作っているのか」など活発に質問が出されました。報告者5氏がそれぞれ回答しました。
 党中央委員会の岡嵜郁子常任幹部会委員、宮本たけし衆院議員・大阪5区候補も参加しました。

真ん中世代とタッグ組んで
能勢副委員長がまとめの発言

 学習交流会の最後に、能勢みどり党府副委員長(世代的継承・党建設委員会責任者)がまとめの発言に立ち、次のように述べました。

まとめの発言をする能勢副委員長=22日、大阪市都島区内

 すべての報告が、〝この党を必ず次世代に引き継ぎたい〟〝若い世代が生き生き活動できる党をつくりたい〟という情熱にあふれ、私自身こんなベテラン党員になりたいと感動する内容でした。
 失敗してもそこから学び、苦労しながらも決して諦めず、一人一人を大切に、願いに寄り添う姿勢に学ばされました。ベテラン世代の皆さんの力こそ、強く大きな党を実現する〝自力〟そのものです。
 私たちが目指しているものは、世代交代ではなく世代的継承です。ベテラン党員と真ん中世代が互いにリスペクトし合う関係を築き、タッグを組んで新たな党づくりに挑戦し、「130%の党」を実現し50代以下の倍加に全力を挙げ、青年・学生分野の「特別決議」実践に挑戦する決意です。

(大阪民主新報、2023年7月30日号より)

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