おおさかナウ

2023年09月02日

夢洲は危ない
台風21号直撃から5年
万博開催・カジノ誘致狙うが…

 2018年9月に大阪や近畿地方を直撃し、甚大な被害をもたらした台風21号の襲来から4日で5年になります。当時、2025年の大阪・関西万博や維新府市政がカジノ誘致を狙う大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)でも甚大な被害が出たことを忘れることはできません。

コンテナが崩れ

 台風21号は2018年9月4日、非常に強い勢力で徳島県に上陸し、午後2時前には神戸市付近に再上陸しました。近畿地方や四国では猛烈な風雨や高潮が発生。府内の被害は死者8人、重症者6人、軽症者487人。住宅被害は全壊約28棟、半壊約436棟、一部損壊は約6万5棟と全国最大の被害でした(内閣府『防災白書』19年版)。
 泉州沖の関西空港では高潮の影響で第1ターミナルビルや隣接する滑走路のほぼ全域が浸水。空港島と対岸を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突して通行止めになり、約8千人が孤立しました。
 夢洲ではコンテナターミナルに積んであったコンテナが多数吹き飛ばされて崩れました。護岸の一部が高潮で倒壊し、護岸の内側に並んでいた大きな石も高潮の波で押し流されました。

災害を想定せず

台風21号の強風で、夢洲ではコンテナターミナルに積んであったコンテナが強風で多数吹き飛ばされました=2018年9月5日撮影

 災害時に夢洲へのルートとなるのは、北東にある埋立地、舞洲(まいしま)から通じる「夢舞大橋」と、対岸の咲洲(さきしま)から通じる「夢咲トンネル」だけ。これらが閉鎖されれば夢洲は孤立し、万博の来場者などが避難できない恐れもあります。
 大阪のカジノ計画を審査した国の審査委員会の報告書は、防災面で重大な指摘を行っています。
 「夢洲外へ避難が必要となる場合のルート(夢舞大橋・夢咲トンネル)は耐震対策がとられるものの、災害発生時にどちらも使用できなくなる想定がされておらず、今後、想定外の事象が起きた場合の対応について幅広で厚みのある検討を求める」
 誘致計画の認定に合わせて報告書が公表されたのはことし4月14日。6月2日の大雨の影響で夢咲トンネルが冠水し、午前11時過ぎから通行止めに。解除されたのは午後6時半過ぎでした。こうした災害が大阪のカジノ計画では想定されていません。
 そもそも夢洲は、しゅんせつ土砂や建設残土、産業廃棄物の最終処分場として埋め立てられてきました。多数の観光客を呼び込む場所として相応しいのかどうか、改めて問われています。

(大阪民主新報、2023年9月3日号より)

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