インボイス 中止になるまで
360人が御堂筋をデモ
〝ポップカルチャー死なせない〟
岸田政権が10月1日から消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入を強行しようとしている中、「STOP! インボイス――ポップカルチャーしなせないデモ」が17日、大阪市内のメーンストリート、御堂筋で行われました。「STOP! インボイス大阪デモ有志の会」が主催したもので、X(旧ツイッター)などを通じた呼び掛けに応えた若者など、360人を超える市民が参加。音楽に合わせて「インボイス制度は今すぐやめろ」「インボイスで文化を壊すな」と沿道にアピールしました。
大阪市西区の新阿波座公園で開かれた出発前集会で、デザイナーのトムさんが主催者あいさつ。ライターやアニメーター、声優、漫画家など日本のポップカルチャー(大衆文化)の担い手が、インボイス制度の影響で廃業すれば、それを享受する側も日々の潤いや楽しみを失うことになるとし、「ポップカルチャーの担い手の暮らしを支える中小業者、個人事業主、一人親方もインボイス制度から守ろう。中止になるまで声を上げ続けよう」と呼び掛けました。
インボイスで1月分の稼ぎ消失
3人の当事者が訴え。フリーのITエンジニアの、らいだぁさんは、「課税(事業者)に転換すれば1カ月分の稼ぎが削られる。インボイス制度には持続的に仕事をできる保証はない。(当事者に)周知されていない。いったん立ち止まるべきだ」と語りました。
フリーライターの合田享史さんは「私は障害がある家族を支えながら生活している。インボイスは、私たちのささやかな生活を壊すもの。反対運動している人と出会えず孤独だったが、きょう一緒に怒りの声を上げる皆さんとつながれて、とても心強い」と話しました。
未来の漫画家らのためにも力を
漫画家の、ましろまろさんは、「私はたぶん廃業にはならないが、背景を描いてくれているアシスタントはどうかと思ってしまう。アシスタントのためにも、いま専門学校で漫画家になりたいと思っている人のためにも、どうか力を貸して下さい」と訴えました。
全ての国民に関わる問題
4野党の代表が連帯あいさつ
出発前集会では、日本共産党の清水ただし前衆院議員(衆院近畿比例候補・大阪4区重複)、立憲民主党の森山浩行衆院議員、れいわ新選組の大石晃子衆院議員、社民党の大椿裕子参院議員が、それぞれ連帯あいさつしました。
清水氏は、政府が近い将来に狙う消費税20%への増税の布石がインボイス制度だと指摘。「大阪の大衆文化の担い手だけでなく、すべての国民の暮らしに関わる問題として、このデモでアピールしよう」と語りました。
森山氏は「インボイス廃止法案を出している。社会の豊かさの基本は文化、芸術」、大石氏は「全員が当事者、インボイスは増税だと署名やデモで訴えよう」、大椿氏は「(大企業の)内部留保は500兆円。税金はお金のあるところから取れと声を上げよう」などと話しました。
デモには、日本共産党の竹内よしのり衆院大阪1区候補、小川陽太同大阪2区候補も参加しました。
免税業者に重い税負担 インボイス制度
売上高1千万円以下の小規模事業者やフリーランス(雇用によらない働き方)は、これまで消費税非課税となっていました。
消費税は、売り上げにかかる消費税から仕入れにかかる消費税を差し引いて(仕入れ税額控除)、その差額を納付。インボイス制度は、登録番号や税率・税率などを記載したインボイス(適格請求書)がなければ、仕入れ税額控除を認めないやり方です。
インボイスを発行できるのは課税業者だけ。いまは課税事業者が免税事業者から仕入れた場合、消費税がかかっているとみなして控除できます。
インボイス制度が導入されると、インボイスのない仕入れでは控除は認められないので、免税事業者は取引から排除されたり、消費税分の値引きを求められる恐れがあります。取引先から迫られて免税事業者が課税事業者に転換すれば、重い税負担が発生します。
(大阪民主新報、2023年9月24日号より)