おおさかナウ

2023年09月16日

カジノ・万博は中止を
カジノに反対する大阪連絡会
署名・要望書を提出 関係省庁と懇談も

 カジノに反対する大阪連絡会の代表団が6日、東京都千代田区の衆院第1議員会館で、岸田文雄首相と斉藤鉄夫国交相宛ての「大阪のカジノ(賭博場)誘致計画の『認定』取り消しを求める要望書」など4万2655人分の署名と、岡田直樹国際博覧会担当相宛ての「大阪・関西万博の中止決定を求める要望書」をそれぞれ提出しました。関係省庁との懇談で、カジノ誘致や大阪・関西万博の問題点がさらに浮き彫りになっています。

署名を提出する(右から)中山、宮本、荒田、たつみ、桜田、藤永のぶよ、嘉満智子の各氏=6日、東京・衆院第1議員会館

カジノ収益を検証せず認定

カジノ・万博問題で関係省庁と懇談する大阪連絡会のメンバー=6日、東京・衆院第1議員会館内

 署名などの提出と懇談には、連絡会の荒田功事務局長、中山直和事務局次長、日本共産党の宮本たけし衆院議員(衆院大阪5区候補)、たつみコータロー元参院議員(衆院近畿比例候補・党府カジノ万博PT責任者)らが参加しました。
 大阪府・市は5日、カジノを核とする統合型リゾート(IR)誘致のための「実施協定案」(別項)を公表。誘致計画の認定時(ことし4月)は開業時期を2029年秋から冬頃としていましたが、30年秋ごろに先送りし、IR事業者が事業から撤退できる「解除権」を3年延長することを盛り込んでいます。
 荒田氏は、「開業後に新たな施設を造る場合は、土壌改良費を大阪市が持つと伝えられている。誘致計画を認定した国として、妥当と考えるのか」と質問。国交省は「実施協定案の認可人申請が出た場合は、法律上の手続きを進める」と述べるにとどまりました。
 阪南大学の桜田照雄教授は、誘致計画の認定に当たって必ず適合しなければならない「要求基準」に、カジノ施設そのものが含まれていないと指摘。カジノで年4933億円の粗利を出し、大阪府・市に年740億円を納付する計画だが、国は肝心のカジノ事業の収益性を検証していないことを明らかにしました。

地盤沈下を低く見積もり?

 カジノ予定地の大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)の地盤沈下について大阪市は、「50年間で2㍍」と予測し、沈下は洪積層だけだと説明しています。
 中山氏は、万博協会の説明資料では洪積層以外も沈下するとしており、両者に矛盾があるのは問題だと指摘。たつみ氏は「カジノ用地の地盤沈下は低めに見積もり、それを上回れば対策費用は市民の負担になってしまう」と述べました。

目的成功せず中止の決断を

 大阪・関西万博について荒田氏は、万博協会が24年からの建設労働者の残業規制の除外を要請するなど、労働者の命をないがしろにし、府民負担増も膨れ上がる恐れがあるとし、「『いのち輝く未来社会のデザイン』という万博の目的が達成できない」と強調。国として中止を決断するよう求めました。
 連絡会側からは、夢洲へのアクセスは夢舞大橋と夢咲トンネルの2つしかない中、夢洲のコンテナヤードを稼働させながら万博の工事を進めることの無謀さや、万博の上下水道計画は1日8万人分で、来場者計画15~20万人にとても足らないことなどの問題点をただしましたが、経産省や内閣官房の担当者はまともに答えられませんでした。

府市実施協定案 拡張整備で新たな市負担も

 

 大阪府・市が5日の第10回副首都推進本部会議で公表した「実施協定案」は、IR事業について「最終的な事業実施判断を行うことができる状況にない」という事業者側の見解を明記しており、府・市はそのことについて、「相応の合理性がある」として、事業者が事業から撤退できる「解除権」を3年延長しました。

 事業の前提条件は、税務上の取り扱い、国際競争力の確保、資金調達、土地・土壌に関する市における適切な措置の実施、観光需要の回復見込みなど。吉村洋文知事(大阪維新の会代表)は会議後の記者会見で、「適切な条件設定だ。リスクを両者(府市と事業者)で分担しながら、IR成功に結び付けたい」と述べました。

 「実施協定案」では、開業後10年以内に整備を判断する「拡張予定地」(6㌶)を新たに設定しました。大阪市はすでに現在のIR予定地の液状化対策などに788億円の公金投入を決めていますが、横山英幸市長(大阪維新の会幹事長)は5日、「拡張予定地」の土壌対策でも同様の手続きを取ると表明。対策費は市の想定で最大257億円に上ります。

 また夢洲へのアクセスとして、「鉄道北ルート」(1700億円)も盛り込まれています。 

(大阪民主新報、2023年9月17日号より)

 

月別アーカイブ