暮らしそっちのけで万博・カジノへ暴走
物価高から府民守る府政に
石川府議 府民団体懇談会での報告から㊤
9月21日に開会した9月府議会では、総額148億円の補正予算案などが審議されます。日本共産党の石川たえ府議は11日に環境産業労働常任委員会で、「府民生活と大阪経済を守る府政に」との立場で質問に立ちます。9月14日に開かれた府民団体懇談会での石川議員の報告を、2回に分けて紹介します。
物価高対策に独自上乗せを
大阪府が9月府議会に出した補正予算案のうち、物価高騰の支援策と説明している事業は、奨学金返還支援制度(約5億円)、中小企業LED促進(約6億円)、中小企業新事業展開(約3億円)などです。奨学金返還支援制度は、学生の奨学金返済を肩代わりする企業を支援する内容で、これ自体良いことですが、内容は貧弱で、抜本拡充を求めていきたいと思います。
しかも、これらの物価対策事業は国のコロナ対応地方創生臨時交付金を活用するもので、大阪府が独自に持ち出すお金はほぼありません。
日本共産党が繰り返し質問・要求してきた▽暮らし応援の緊急給付金▽事業所を応援する家賃支援など固定費補助制度▽商店街支援策などは、一切盛り込まれていません。
すでに予算化され9月以降に始まるもので、子育て世帯への食費支援(お米クーポンか給付物品)や、社会福祉施設物価高騰対策一時金の第2弾がありますが、どちらも国交付金活用です。
物価高騰で府民生活は深刻で、「物価高騰が生活に影響あると答えた人」は9割に上り、物価対策を延長してほしいとの声は8割を超えています。
食料品値上げが顕著で、ミルクやおしめなど子育ての必需品が買えないという悲鳴が出ています。高齢者を中心に、エアコンの使用控えも広がりました。
5類移行後もコロナ対策を
物価高騰の影響を受けて、「受診回数を減らした」「熱があってもコロナ検査を受けられない」など医療抑制も起きています。
コロナは5類に移行しましたが、クラスターによる学級閉鎖や医療機関の面会制限も広がっており、障害者施設では、〝大量検査をしてもらわないと、閉鎖に追い込まれる〟と悲鳴の声が聞かれています。
コロナ対策で介護・保育施設等へのギフトカード支給(第2弾、2万円)として、約86億円が補正予算に計上されています。府が9月に出した「感染症予防計画素案」には、「病床確保」や「減収補填」の文言はあるものの、府独自の財政支援策はありません。
万博会場建設次々と上振れ
物価高騰やコロナへの対策は、ほとんど取り組まれていない一方、「万博IR中心の府政運営をする」と府知事が述べた通り、万博カジノへ暴走しているのが、もう一つの特徴です。
大阪万博の会場建設費は、当初の1250億円から1850億円に膨れ上がりました。2200億円とか3千億円まで上がるとも報道されています。
海外パビリオンが建たないと報道され、国は推進本部会議を2週連続で開き、「政府が積極的にサポート」すると大風呂敷を広げました。
プレハブ工法のパビリオン「建売」が検討され、府・市も多くの規制緩和を提案しています。ひどい内容で、本来は申請から許可まで3カ月かかる仮設建築物許可を1・5カ月に縮め、35日かかる建築確認申請もわずか10日に緩和します。
海外からの資材持ち込みについても、JIS規格適合の要件緩和が検討され、建設工事を滞りなく進めるために残業時間の上限規制を万博に限って除外することも検討されており、労働者、府民の命が危険にさらされかねません。
万博無料招待経費に14億円
世論調査では、60%以上が万博に関心がないと答えています。なんとか人を集めようと、経済界と自治体と万博協会で前売券を700万枚割り当てし、9月補正予算では府内の小中高生(対象者87・9万人)を万博に無料招待する予算が盛り込まれました。無料招待の経費は総額14・1億円に上りますが、14億円あれば、子ども医療費の窓口負担を1年間ゼロにすることができます。
(大阪民主新報、2023年10月1日号より)