〝ものづくりのまち〟壊しかねない
府立4工業系高校の募集停止案
「高校つぶしやめろ」
市民の存続運動広がる
大阪府教育委員会が、府内4つの工業系高校の募集停止案を発表したことに対し、撤回を求める運動が広がっています。9月30日には大阪市内で、大阪の高校を守る会が「子どもたちの学ぶ権利を守れ!」と高校つぶしに反対する決起集会を開催。当該校教員、卒業生、保護者、市民らが集まり、「ものづくりのまち、大阪の産業をつぶすな」と訴えました。
高校を守る会が集会
府教委は8月28日の教育委員会会議で、2025年度に、①西野田工科高校(全日制・定時制)を廃校にし、今宮工科高校に統合、②布施工科・城東工科高校を統廃合し、城東工科の校地に新校を設置、③2020年に大阪市立から府立に移管された生野工業高校を募集停止――の案を発表。「さまざまな意見を踏まえ、11月の教育委員会会議で最終決定する」としました。
府立学校条例などが背景に
背景にあるのは、①「3年連続定員に満たなければ再編整備」とした府立学校条例(2012年3月施行)、②23年度から27年度の間に9校程度を募集停止するとした府立高校再編整備計画、③大阪市立高校の府立への移管計画での再編整備です。
生野工業高校は当初、28年度(予定)に東淀工業と泉尾工業と統廃合し、新校設置する方針が示されていましたが、他の2校に先行して募集停止するというものです。
大阪の高校を守る会は、案が発表された8月28日に、「道理のない高校つぶしをやめ、教育条件の改善を!」とした見解を発表し、対象校の最寄り駅などで署名に取り組むとともに、府内各団体にも署名への協力を要請。経済団体との懇談、府議会各会派への要請なども行ってきました。
9月30日の集会では、守る会の奥野喜久夫会長が主催者あいさつ。「工業高校を1校でもつぶすということは、大阪の産業を軽視しているとしか思えない。支援して育てていくのが行政のあり方だ。おかしいことには声を上げていく」と述べました。
定員にゆとりがあって当然
全体報告を行った同会事務局長の志摩毅・府高教委員長は、「学ぶ権利を保障するために設置されている府立高校の定員にはゆとりがあって当然だ」とし、「定員」を理由にした廃校は不当だと批判。1学年6学級以上、1学級40人という大阪の配置基準に対し、全国平均の1学年4学級以上、1学級30人~35人と比べても過大・過密だと指摘しました。
全日制進学率低下する大阪
また、「ものづくりのまち大阪の産業を支える担い手を育てている工業系高校をつぶすことは、大阪の産業をつぶすことだ」と強調。府の周辺部の高校が次々に廃校になる中、大阪の全日制高校進学率が、全国にも増して低下していることも報告し、「少子化をチャンスと捉えて、少人数学級など教育条件の改善こそ行うべきだ」と述べました。
社会的認知ある学校なのに
募集停止の対象校案として発表された当該校の教職員は、9月に入り、多くの企業が求人で学校訪問をしていることも紹介。「社会的に認められている学校を募集停止する案が、なぜ出てくるのか」と問い掛け、「11月の最終決定まで、できる限りのことをしていきたい」と決意を述べました。
当該校の地元教組や、大私教、大教組の代表らも激励あいさつ。「中小企業の町を支えてきた学校がなくなるのは、東大阪全体が衰退していく。撤回まで頑張ろう」(東大阪教組)、「大阪の高校教育を充実発展させるために、公私立で連携していきたい」(大私教)と語りました。
日本共産党の石川たえ府議も参加し、連帯あいさつ。民主ネット府議団の野々上愛、山田けんたの両議員もメッセージを寄せました。
(大阪民主新報、2023年10月8日号より)