おおさかナウ

2023年10月07日

府内の河川から高濃度PFAS
有機フッ素汚染広がる
長岡ゆりこ前大阪市議が報告
東淀川社保協が学習会

 発がん性などが指摘されている有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」が、府内各地の河川でも、国の暫定目標値を超える濃度で検出されています。日本共産党の長岡ゆりこ前大阪市議が、府の水質調査結果を分析。1日、東淀川社会保障推進協議会が大阪市東淀川区内で開いたPFAS問題の学習会で、その内容を報告しました。

学習会が開かれた瑞光寺では、手水鉢に使う地下水から高濃度のPFOAが検出されています。説明する遠山明文住職(右端)と、長岡前大阪市議(その左)=1日、大阪市東淀川区内

18の調査点で暫定目標値超

 府は毎年度、府内の河川などの水質調査を実施しています。2021年度に初めて、PFASのうちPFOA(ピーフォア)とPFOS(ピーフォス)を「要監視項目」に追加。同年度の調査結果を、ことし3月に公表しました。
 長岡氏が結果報告書を分析したところ、139の調査地点のうち、18地点で国の暫定目標値を上回っていることが分かりました。
 河川や地下水の暫定目標値は、1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)です。上回っていたのは、正雀川(吹田市)180ナノグラム、船橋川(枚方市)150ナノグラム、天野川(同)140ナノグラム、穂谷川(同)130ナノグラム、百済川(堺市)100ナノグラムなど。また、地下水質調査では茨木市豊原町で200ナノグラム(21年度)、四條畷市上田原で73ナノグラム(20年度)となっています(図)。

地下水の汚染だけではない

 PFOAを12年まで製造していた空調大手のダイキン工業淀川製作所がある摂津市の地下水で、府の調査(22年)で2万ナノグラム(暫定目標値の400倍)、全国一の高濃度のPFOAを検出。同市に隣接する大阪市東淀川区の地下水からは、市の調査(21年)で5500ナノグラム(同110倍)を検出しています。
 長岡氏は、20年から大阪市議会環境対策特別委員会でPFAS問題を繰り返し取り上げ、土壌や大気の調査や住民の血液検査などを求めてきました。
 学習会で「東淀川区や摂津市では地下水の汚染が問題ですが、川の水でも暫定目標値を上回る値が検出されたのは、衝撃的です。汚染が府内全体に広がっていることを示すもの」と語りました。

1千人規模の検査を実施

 学習会で長岡氏は、PFASについての基本的な知識や健康への影響、国などの調査で明らかになっている汚染の状況などを詳しく説明。「大阪PFAS汚染と健康を守る会」(準備会)がこの秋、摂津市・東淀川区はじめ大阪民医連の医療機関で、住民の血液中のPFAS濃度を1千人規模で調査する取り組みを紹介。調査は京都大学と共同で実施します。
 同会の専門委員会事務局の一員でもある長岡氏は、「血中濃度が高い人を診療し、調査結果を基に行政やダイキン工業に環境調査や健康調査の実施などを求めるとともに、大阪民医連の医療機関で、値の高い方への健康管理を進める方針です。汚染が深刻な東淀川区でも、取り組みを成功させましょう」と呼び掛けました。

PFASとは

 PFASは4700種を超える有機フッ素化合物の総称。テフロン加工のフライパンや防水スプレー、泡消火剤など身近なものに使われおり、分解されにくいので「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」とも呼ばれます。「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」で国際的に製造・使用・輸出が禁止されています。20年に厚労省が水道水の「目標値」、環境省が河川・地下水の「暫定目標値」を定めました。

(大阪民主新報、2023年10月8日号より)

 

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