府議会環境産業労働常任委
賃上げ支援・奨学金返済支援・気候危機打開を
日本共産党 石川たえ府議が提案
日本共産党の石川たえ府議は17日に府議会環境産業労働常任委員会で吉村洋文知事に、大幅賃上げのため府内中小企業への支援策や教育費負担の軽減、気候危機打開のため住宅太陽光発電への補助金創設などを求めました。
事業主負担への補助で府独自の賃上げできる
大阪の最低賃金は時給1064円。10月から41円引き上げられたものの、物価高騰(グラフ1)には対応できていません。石川氏は「物価は上がり続けるのに給料は上がらない。野菜もカップ麺も高い」などの労働者の声を紹介し、府独自の賃上げ支援を求めました。
石川氏は、最低賃金の低さが男女の賃金格差を助長しているとの研究者の指摘を紹介。時給1500円未満で働く人の割合が女性正社員で49・8%にも上るとされています。
労働組合による最低生計費試算調査で、若者1人が人間らしく暮らすためには全国どこでも月額22万~24万円、時給1500~1600円程度が必要と明らかになっています。
石川氏は賃金引き上げに伴う社会保険料などの事業主負担を半額補助する制度を提案しました。「府内パートタイム労働者の平均時給は1343円。1500円に引き上げるために必要な経費は約200億円。やってできないことはない」と強く求めました。
しかし吉村知事は国や経済界に要望しているとし、「府の補助制度は考えていない」と拒否しました。
奨学金返済支援を強め府内企業の人材確保を
石川氏は今議会に提案されている、中小企業就職者の奨学金返済を支援する制度を拡充し、平均200~300万円もの奨学金返済を抱える若者を支援、府内企業の人材確保に繋げる施策を求めました。
府は今年度補正予算で、労働者の奨学金返済を支援する企業に、初期費用として最大50万円補助する予算を盛り込みました。しかし国の臨時交付金の範囲内で、今年度限り。導入企業は負担が増し、若者の奨学金本体の返済支援にまで至らず、不十分です。
他県では返済額の2分の1(上限250万円)や、特定業種への就労で年返済額全てを支援するなどの制度があります。
しかし吉村知事は「返済まで府が持つというのは、財源に限りがある」などと背を向けました。
再エネで電力の50%を賄えるよう制度創設を
石川氏は、気候危機の打開とエネルギー自給率向上のために、省エネや再生可能エネルギーを活用するとともに、温室効果ガスの削減目標引き上げや再エネで電力の50%を賄えるようにする取り組みを強めるよう求めました。また石川氏は、住宅用太陽光発電の設置補助制度の創設を提案しました。
吉村知事は、府費を投入しない事業などで、住宅用太陽光発電の導入量が2022年度までの10年間で2倍以上になっていると述べ、提案に応じませんでした。
しかし全国と比べると、設置普及率は大阪は2・9%で全国42位、伸び率も全国41位にとどまります(グラフ2)。
ものづくりの人材育成してきた工科高存続を
知事質問に先立つ11日、同委員会で石川氏は、中小・小規模事業所への支援策や、ものづくり人材の確保などを求めました。
大阪のものづくり人材を育ててきた府立工科高校がいま、統廃合の対象に上がっています。石川氏は「ものづくりの技術継承や人材確保のため、必要な教育の場を確保すべき」と指摘しました。
府商工労働部の担当者は、所管ではないとしながら、「工科高校に対する企業からのニーズは高い。引き続き、企業ニーズに合う人材を排出し続けてくれることを望む」と述べました。
(大阪民主新報、2023年10月22日号より)