憲法守ろう 大軍拡やめろ
人々の連帯で平和つくろう
総がかり集会に5千人
日本国憲法公布77年目の3日、憲法を生かした社会の実現をと、「輝け憲法! 平和といのちと人権を! おおさか総がかり憲法集会」(実行委員会主催)が大阪市北区の扇町公園で開かれ5千人が参加。「憲法守れ」「大軍拡やめろ」とコールし、集会後、2コースでパレードを行いました。
ガザの虐殺やめろ
開会あいさつで「戦争をさせない1000人委員会・大阪」の米田彰夫共同代表は「ガザで起きている虐殺をみんなの声で止めよう。平和的生存権を明記した日本国憲法を守り、世界の人々と連帯して反戦平和を実現しよう」と呼び掛けました。
清末愛砂・室蘭工業大学大学院教授が、「人権に基づく平和な社会を」と題してスピーチしました(別項)。
沖縄県の「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子さんは、九州から南西諸島にかけて大軍拡・戦争準備が急ピッチで進んでいるとし、▽陸自戦車を高気温に対応できるよう南国仕様に改造▽サンゴ礁の島々への着弾被害を検証する琉球石灰岩の破砕実験▽自衛隊員の血液採取と輸血用製剤の備蓄――などを挙げ「一触即発の事態ともなれば、宮古島からいつでもミサイルを発射できる体制が整っている。政府が進める戦争準備は最終段階に入っている」と告発しました。
島民の暮らしへの影響では、宮古島の公民館には遺体収容袋を配備、石垣島では住民の遺体収容訓練が行われたと報告。政府が計画する避難用シェルターは、宮古島の人口5万5千のうち4400人が3日間避難できるに過ぎず、与那国島では離島者に金銭補償する条例案が示され、集落ごとの説明会が始まっていると紹介。「自衛隊新基地建設と要塞化で、住民の人権侵害が続いている」と訴えました。
「沖縄は戦後ずっと憲法の平和的生存権が脅かされてきた」と強調した清水さんは、「私たちが暮らす島々は四方を海に囲まれ、戦争になれば逃げ場のないガザと同じ事態になる」とし、「戦争推進の政権を変えるたたかいに立ち上がって下さい」と訴えました。
立憲野党の各代表が登壇しました。日本共産党は宮本たけし衆院議員・衆院大阪5区候補、清水ただし衆院近畿比例・大阪4区候補、たつみコータロー衆院近畿比例候補・元参院議員が参加。宮本氏はイスラエル軍による無差別殺りくを絶対に許すことはできないと強調し、国連総会の人道的休戦決議への棄権など日本政府の対応を批判。「憲法9条を掲げた平和外交前進へ全力で頑張る」と訴えました。
立憲民主党の森山浩行衆院議員は、「縮小中止の声が広がる万博に突き進むのか、大阪からたたかっていこう」、社会民主党の大椿裕子衆院議員は、「大軍拡に税金をつぎ込む岸田政権に憲法守れ!の声を一緒に挙げよう」と訴え。れいわ新選組の大石晃子衆院議員は、「戦争推進の動きを止めるため自公政権を倒そう」と呼び掛けました。
集会のオープニング・コンサートでは、「五つの赤い風船」元メンバーの長野たかしさんと森川あやこさんが出演しました。
平和に生きる権利の保障を
清末愛砂氏のスピーチ(要旨)
違法なガザ封鎖を許さない
日本国憲法には格調高い前文が置かれ、平和的生存権が明記されています。前文の主語は私たち国民であり、日本国は全世界の人々に対し平和的生存権があるとうたっているのです。
この憲法の下で生活し、憲法を研究し、学生たちに憲法を教える一人の人間として、私は平和的生存権の実現を目指し、23年間パレスチナ連帯活動を続け、ガザという閉鎖された空間になんとか入ろうとしてきました。憲法研究者としての矜持でもあり、違法なガザ封鎖を絶対に許さないという抵抗でもあります。
昨年、ガザ北部のジャバリヤ難民キャンプを訪れ、子どもの絵の教室を行った時、ある女の子が「また会えてうれしい。数年前に違うキャンプで、絵の教室をしたことを覚えているの」と話し掛けてくれました。
ジャバリヤ難民キャンプは、世界で最も人口密度が高いといわれる難民キャンプです。イスラエル軍は11月2日もその前の1日も、ミサイル攻撃を続けました。空爆によって、私が知り合った子どもが、今もがれきの下に埋もれているかもしれないし、死んだ子もいるかもしれません。ガザを思う時いつも涙が出ます。でも泣きたいのは私じゃない。見捨てられてきたガザの人々です。
行きつく先はジェノサイド
ガザの人たちは東西5~8㌔南北50㌔という365㌔平方㍍の空間に押し込められ、220万人もの人々がフェンスと壁に囲まれて生きることを強いられてきました。「野外監獄」と批判されるような非人間的な扱いは国際法上絶対に許されてはなりません。
イスラエルはガザの人々に「南部へ避難しろ。北部に残る人はハマスとみなす」と言いますが、南部も空爆を受けており、ガザに安全な所などありません。
イスラエルの国防大臣は、ハマスの戦闘員を「人間の面をした野獣」と表現しました。人間を非人間化する考えの行きつくところはジェノサイドです。最も恐れていることは、ガザの破壊が進み、パレスチナ人が住む場所さえなくなってしまうことです。
恐怖と欠乏から免れる権利
私は平和的生存権という考え方を非常に重視しています。「等しく恐怖と欠乏から免れる」ことが全世界の国民の権利だとうたっていることに大きな意義があると思っています。単に「恐怖と欠乏から免れる」だけじゃない。ガザの人びとであろうとも、ミャンマーの人々であろうとも、アフガニスタンの人であろうとも、「等しく恐怖と欠乏から免れる」権利があるのです。
〝自衛のため〟と言う理由で
この23年間、私が聞き飽きている言葉は「自衛」です。〝自衛のため〟という理由でたくさんのパレスチナ人が殺され負傷するのを見てきました。
日本国憲法の98条2項は日本が国際法を順守することをうたっており、平和的生存権を銘記した憲法前文の解釈は、ある程度国際法に基づいたものでなければなりません。それを否定して自衛の名の下で軍拡を進め、命を奪うやり方はイスラエルだけではなく、日本もやってはなりません。
ガザで起きている出来事に対し、停戦を求めるのは当たり前のことです。忘れないでほしいのは、仮に停戦になっても封鎖が続けば全く意味はないのです。
停戦になってもパレスチナの人々と共にいるという気持ちを忘れないことが重要です。それがまさに「恐怖と欠乏から免れる」という平和的生存権を保障する活動の一環になるはずです。
(大阪民主新報、2023年11月12日号より)