おおさかナウ

2015年10月18日

維新政治で大阪どん底/
 宮原府議が一般質問 基金取り崩し暮らし応援を

松井知事に質問する宮原威府議=8日、府庁内

松井知事に質問する宮原威府議=8日、府庁内

 日本共産党の宮原威府議は8日の府議会本会議で一般質問に立ち、橋下前知事、松井知事による維新府政7年間で、大阪の困難が増大したと告発。「府民の暮らしは極めて危機的状況だ」と強調し、府の基金を一部取り崩して子どもや高齢者への支援や安心・安全のまちづくりに取り組むことなど活性化への提案を行いました。

全国より〝特別な困難〟

家計消費の落ち込み   

 宮原府議は、府内の勤労者の収入や家計消費、府内総生産の減り方は、兵庫県や京都府など近隣府県と比べても特別だと指摘。議場のスクリーンで経済指標などの表やグラフなどを示しながら質しました。
 維新府政下の2007年度から12年度まで5年間に、家計最終消費の落ち込みは大阪が10・4%で、全国の6・7%や、兵庫県の6・1%や京都府の4・5%など近隣他府県と比べても、突出して悪化が目立ちます。

校内暴力、不登校、虐待対応件数も

 同じ期間の学校内の暴力発生は全国は8%増なのに対し、大阪は47%増です。不登校の子どもは、小学校では全国が14%増なのに対し、大阪は31%増。中学校では減少しているものの、全国の11%減に対し大阪は4%減にとどまります。虐待対応件数も、13年までの6年間で大阪は2・4倍になり、全国の1・8倍を大きく上回っています。

特養待機者多く、介護保険料高い   

 特別養護老人ホームの入所待機者は7年間で40%増。介護保険料の基準額は07年と比べ28%増で、全国平均より年間約6千円高くなっています。


暮らし予算を1551億円も削減

数々の暮らし応援施策などを削減・廃止

 宮原府議は「暮らしの困難は、府民の命や暮らしに関わる予算が『維新プログラム』や『財政構造改革プラン』などで、1551億円削られた事も一因だ」と指摘しました。
 維新府政下で高齢者住宅改造助成を廃止、特養ホーム建設補助を1床あたり371万円から270万円に削減、障害者・福祉団体への補助を廃止(大阪障害者団体連合会など8団体)、府営住宅の戸数削減などが行われました。

大きく膨らむ府の借金  

 府財政では、国が出す国庫支出金と地方交付税の決定額は、橋下知事誕生前7年間の4兆7557億円からその後の7年間は、5兆5181億円と増えています。
 しかし府債残高は07年度に5兆8288億円だったものが、14年度には6兆3751億円へ膨らんでいます。7年間の伸びは約9%で、そのうち臨時財政対策債が78%を占めるまでに急増しています。
 一方で財政調整基金は13億円から1613億円に、減債基金は2114億円から4125億円へ積み上げています。
 宮原府議が、「知事は、暮らしと経済、教育と福祉、財政など、困難を増した大阪の課題とどう向き合うのか」と見解を求めたのに対し、松井一郎知事は、「成長戦略に基づく取り組みを進めていく」などと旧来の答弁を繰り返し、府民の暮らしや経済の悪化と向き合う姿勢は見られませんでした。

 

維新府政が削減・廃止した施策の一例

高齢者住宅改造助成を廃止             
特養ホーム建設補助を1床371万円→270万円に    
障害者・福祉団体への補助を廃止
府営住宅の戸数を削減
学校警備員補助を廃止
センチュリー交響楽団への補助を廃止
千里、大阪赤十字病院救命救急センターへの補助を廃止
青少年会館を廃止し跡地をマンション業者に売却


大阪沈下させた維新政治
宮原府議 府民応援へ具体的施策提案
大阪活性化への提案

 宮原府議は、大阪の活性化のために、子どもや高齢者への支援や安心・安全のまちづくりを提案しました。

子ども・高齢者への支援 

 財政調整基金の約2割を活用するとともに、市町村と協力しつつ、子どもの医療費助成を府が小学卒業まで拡充し、中学校給食を就学援助の対象にしつつ全員喫食に近づけることなどを求めました。
学力向上やいじめの減少などの効果を上げている35人以下学級を府が中学1年まで実施、高校統廃合計画の中止などを進めれば、「貧困化がいわれる大阪の子どもをある程度救うことができる」と力説しました。
 高齢者については定員30人以上対象の特養ホームが維新府政の7年間のペースでは、今後待機者が増えないと仮定しても解消までに10年近くかかると指摘しました。年30カ所ずつ建設し、4年間で待機者をなくすことを提案しました。

安全・安心のまちづくり 

 また河川改修では時間雨量50ミリの豪雨対策を完成させることを求めました。重症患者を受け入れる3次救急を担う済生会千里病院や大阪赤十字病院へ、維新府政が廃止した予算を復活させることなども求めました。

大阪産業の振興     

 また、ものづくりや小売り商工業振興予算を維新府政前の水準へ戻すことを求めました。07年度から13年度までに、商業振興予算は6億3千万円から2千万円に、ものづくり支援は8億7千万円が3億1千万円へ減りました。
 がん対策の府独自予算は、府内で最も介護保険料が低い高槻市、ただ1市の予算よりも少ないと宮原府議は述べ、「本格的な取り組みを」と求めました。

高い介護保険料     

 宮原府議は同市が、がん検診や70歳以上の市バス運賃の無料化など、介護予防と健康づくりに力を入れてきたことを紹介し、「府下で最も保険料の高い大阪市で、1人当たりの介護費用が高槻市並みになれば年間約708億円、府全体が同市並みになれば約1374億円余り減り、結果として府の財政負担も191億円余り減ることになる」と指摘しました。

開発は慎重に検討を   

 北大阪急行や大阪モノレールの延伸など開発事業について釘を刺しました。特に阪神高速淀川左岸線2期については、「大きな河川のすぐ近くに巨大な道路を造って、地震や津波、集中豪雨に耐えられるのか、慎重な検討が必要だ」と主張しました。「阪神高速は過去20年間で3割道路延長されたが、1日当たりの交通量の伸びは8%にとどまる」と指摘しました。
 府咲洲庁舎(旧WTCビル)の購入は「失敗だったことは明らかだ。咲洲地域の安全対策こそ力を入れるべき」と求めました。

退職金廃止でも収入増  

 また宮原府議は、松井知事が知事給与を値上げし、退職金を廃止した分を差し引いても収入は増えることを指摘し、「府政には公正な透明性が求められる」と批判しました。

「大阪都」で借金増    

 「大阪都」になれば、府の借金は約6兆3700億円から約11兆400億円へ増えることや、特別区の財源が減ることなどを指摘し、「こうした事実を隠した住民投票でも否決された。すでにこの4年間で住民投票の経費など32億円も使っている。事実を率直に府民に知らせることは、政治家として最低限のモラルだ」と批判しました。

(大阪民主新報、2015年10月18日付より)

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