大阪市議会決算特別委員会
開催地の市長として「万博中止」の決断を
日本共産党 山中智子議員が追及
開催に固執する横山市長
2022年度大阪市一般会計決算報告を審議する市議会決算特別委員会が9日開かれ、日本共産党の山中智子議員が、横山英幸市長(大阪維新の会幹事長)に2025年大阪・関西万博を中止するよう求めました。
山中氏は、海外パビリオンの建設工事が間に合わない問題を巡り、万博協会が来年4月から始まる建設労働者の残業規制を例外扱いにするよう求めたことに言及。「開催都市の市長として、決して認めてはならない」とただしましたが、横山氏は「労働基準法に関することで、国の動きや推移を見守る」と述べるにとどまりました。
山中氏は、建設業界の働き方改革は全社会的な問題であり、東京オリンピックの工事で起きた過労死などは絶対にあってはならないと強調。「市長として認められないと言ってほしいと市民は思っている」と主張しました。
共同通信の世論調査(3~5日)で、68・6%が万博は「不要」と回答するなど批判が高まっていると指摘。夢洲での開催計画を見直さないのは、夢洲にカジノを核とする統合型リゾート(IR)を誘致するために万博が発案されたためであり、「動機が不純」とした新聞社説(「朝日」)もあると述べました。
山中氏は、「こういう状況では来場者数も推して知るべし。入場料で賄う運営費が赤字になれば、また(市民や国民の)負担になる。こんなことになってまで開催する意義はない。今止めることが、一番傷が少なくて済む」とし、開催地の市長として中止を決断するよう求めました。
横山氏は、「万博は一大国家プロジェクト。大阪・関西と日本全体の成長の起爆剤になる」などと開催に固執しました。
山中氏は「関係者や職員のためにも、早く見切りを付けて、違うことに時間やお金、エネルギーを使うべきだ」と反論しました。
大阪カジノは破綻きっぱりと中止を
この日の委員会で山中氏は、夢洲へのIR・カジノ誘致問題でも質問しました。国による大阪のカジノ誘致計画の認定は昨年秋の予定でしたが、ことし4月に遅れ、IR事業者と大阪府市が9月に結んだ「実施協定」では、開業時期は2030年秋ごろに延びています。
山中氏は国の審査委員会が認定のハードルを下げ、1千点満点で600点以上を認定の条件にしたが、大阪の誘致計画は657・9点で「赤点すれすれ」だと指摘。しかも審査委員会は年間2千万人(うち外国人600万人)という集客見積もりも「過大な見積もり」と評価し、「観光への効果」は50点満点で29・3点と、「もう赤点だ」と述べました。
IR推進局が「推計は合理的なもの。実現性ある計画」と答弁したのに対し、山中氏は「問題は、とくに外国人観光客が増えるかどうか。それが赤点では、大阪IRに意味がない」と反論。大阪IRのスロットマシン数が6400台と異常に多いのは、パチンコに慣れ親しんだ日本人を誘導するためだと指摘ました。
山中氏は、IR事業者が「最終的な事業実施判断に至っていない」とし、事業を実施するかどうか分からないのに、「実施協定」を結ぶのはおかしいと強調。しかも、違約金なしでIR事業者が撤退できる解除権を2026年9月まで認めているのは「余りに法外、異常だ」と批判しました。
世界経済フォーラムが発表した21年版「旅行・観光開発指数」で日本は初めて世界一となったことを示し、「カジノなど造らなくても日本の良さ、大阪の良さを大事にすべき」と主張。破綻が明らかなカジノ・IRは、傷が浅いうちにきっぱりと中止するよう求めました。
(大阪民主新報、2023年11月19日号より)