大阪市営バス削減 地域住民の足守ろう
路線復活へ区ぐるみで運動
橋下・維新市政が2014年度から廃止・縮小した大阪市バス路線を復活させようという運動が粘り強く続けられています。区西部地域と区役所をつなぐ東西方向のバス系統(通称=市バス東西線)が変更された大阪市淀川区では、「大阪市営交通を守る淀川連絡会」が路線復活を目指す運動を展開。同区選出の5市議全員が連名で改善を求める要望書を市交通局に提出するなど、市議との連携も生まれています。11日には連絡会が主催した懇談会には、共産、自民、公明に加え、維新の同区選出の市議が出席。大勢の住民が詰めかけ、要望・意見を交わしました。
淀川区で市議招き懇談会
大阪市は昨年4月、市バス路線を突然変更。西淀川・淀川・東淀川の3区を結ぶ東西線がなくなり、淀川区塚本地域から区役所までバスを乗り継がなければ行けなくなりました。しかも同じ停留所で乗り継げず、次のバス停まで270㍍を歩かなければならない上、20㍍以上ある十三筋、狭い歩道を自転車も行き交う阪急電車の地下道を通らなければなりません(記者メモ参照)。
区内選出の5市議全員が連名で
同連絡会は住民の苦情を受け、市バス東西線の復活を求める署名に取り組み、昨年9月に2千筆分、ことし2月に5千筆分を市に提出。ことし7月には、区内選出の5市議全員が連名で、「淀川区十三における東西方向の移動利便の改善について」とした要望書を市交通局に提出しました。
塚本福祉会館で開かれた懇談会には、町会や老人会役員も含め約60人と、寺戸月美(共産党)、北野妙子(自民党)、杉田忠裕(公明党)、山下昌彦(維新)の4市議が出席。
杖をついた女性は「1カ月に1、2度区役所に行くが、支えがなければ歩けない。阪急の地下道は怖い。路線を復活してほしい」と訴えました。他にも次々手が上がり、「区役所までの行き帰り、タクシーで行っているが負担」「せめて同じ停留所で乗り継げるようにできないのか」など意見や要望が相次ぎ、涙で声をつまらせて阪急地下道の危険性を語る男性もいました。
住民の要求が政治を変える
市交通局元職員で、大阪市内にコミュニティバスを走らせる運動をしている男性も参加し、93系統路線の開通時、地元に喜ばれ、連合会長が花束を持ってきた話も紹介、「必ず復活できる」と励ましました。
寺戸市議は、「市バスを守る立場で区選出議員が団結して、区民のために頑張ろうと一致して要望書を出した。住民の要求が政治を変えていく」と語り、「経済合理性だけでなく、公共としての役割を果たしていかなければならない」(北野市議)、「工夫して前に進め、交通の足を確保したいきたい」(杉田市議)、「意見をしっかり聞き、維新の会の中で議論していきたい」(山下市議)と述べました。
記者メモ
不便、危険、不合理
実際に区役所までバスに乗ってみました。
午後4時23分、淀川通の「新北野中学校前」から乗車。2つ目の「十三」でいったん降り、乗り継ぎの「十三駅東口」へ。多くの車が行き交う十三筋をわたった後、阪急電車高架下の道をくぐりますが、乗ったまま通行する自転車をよけながら通って、坂道を歩きました。
途中、信号も待ちながら、十三駅東口まで歩くこと数分。次のバスが来るまで10分以上待ち、乗り込んで1つ目の「淀川区役所前」で降りたのは同4時50分。新北野中学校前から区役所まで距離にすると1・1キロを市バスを利用して移動するのに、27分かかりました。
健康な人なら歩いたほうが早い道のりですが、高齢者や体が不自由な人など、バスが唯一の移動手段の人には、不便、危険、不合理極まりありません。
懇談会に参加した80代の女性が、「区役所に行くのが不便になり、毎年区役所にがん検診を受けに行ってたけど、今年はもうやめた」と話していたことも思い、区民の足を奪った維新政治への怒りがあらためて湧きました。(さ)
(大阪民主新報、2015年10月25日付より)