おおさかナウ

2024年01月20日

高学費で借金・バイト・親負担
教育アンケに反響次々

 高等教育(大学・短大・専門学校)無償化実現を目指すキャンペーンに取り組んできた日本共産党大阪府委員会が、インターネットで呼び掛けた高等教育アンケートには、400通を超える回答が寄せられ、切実な実態が浮き彫りになっています。府委員会では、青年・学生はじめすべての世代の声と実態を集め、来月7日に予定している文部科学省交渉で、国会請願署名「高等教育の無償化へ緊急の対策を求めます」と共に提出します。(ぜひアンケートにはこちらからご協力下さい)

切実な実態浮き彫りに
日本共産党大阪府委員会無償化目指しキャンペーン

学費「負担」に感じる93・3%

 アンケートでは、「高等教育に関わる費用(授業料・入学金)についてどう感じるか」との問いに、「とても高い」が76・4%で、「高い」16・9%と合わせると93・3%に上りました。

子どもに借金背負わせたくない

 4歳と2歳の子を育てる父親は、「いまの収入状況では、将来子どもたちに奨学金を借りて高等教育を受けてもらわないといけない。子どもたちに借金をしてほしくないし、お金の心配なく勉学に集中してほしい。未来の若者に借金を背負わせて勉強させるいまの日本社会は間違っている」と意見を寄せました。
 小学生の子の親は「金銭面を考えると不安」と回答。3人の子の親は、「大学と高校の入学が2度重なる予定で、学費負担が不安。子どもたちに借金を背負わせたくはない」と書きました。

学習や睡眠削りバイト掛け持ち

高等教育無償化についてアンケートに取り組む、堀川あきこ衆院近畿比例候補(左)と、わたなべ結衆院大阪3区予定候補ら=2023年11月、大阪市住吉区内

 「学費・奨学金の負担や返済で生活に影響していること」については、「アルバイトを掛け持ちし、学習時間や睡眠時間を削っている」「学業に集中したいが、アルバイトにかなり力を入れないと苦しい」「大学近くに1人で自活。新聞配達をしていて長期休暇がとれない」「勉強するために進学したのに、アルバイトをしなければならない」などの声がありました。
 卒業後の奨学金返済については、「総額600万円を15年で返済」「総額700万円。毎月3万円を20年間返済」「総額380万円。月額1万5千円を16年間返済」などの現状が数多く寄せられました。「学費と生活費合計で800万円を借りた」「夫婦で総額500万円を借りた」という声もありました。

祖父母の援助で学費をまかなう

 学費のやりくりについては、「学資保険や教育ローンを利用した」「福祉生活金を借りたり、授業料減免を申請して乗り切った」などの切実な声が、多数寄せられました。
 奨学金を借りられないという世帯から、「奨学金の利息が高いので、銀行の教育ローンを借り入れた」「奨学金を借りられないので、貯金を取り崩した」「祖父母が援助してくれた」「祖父母が学費を支援してくれ、私自身も貯金を取り崩してまかなった」などの声がありました。

50年で国立50倍、私立10倍に
全世代から「負担軽減を」の声

 日本の大学授業料は現在、国立大学の学費は年間約55万円、入学金は約29万円で、私立大学の初年度納付金は平均140万円近くと高額になっています。この50年間で国立大で50倍、私立大では10倍になっています。負担能力を超えた高額な学費と貸与中心の奨学金制度の下、学生の3人に1人が平均300万円の借金(奨学金返済)を背負い、総額は10兆円近くになっています。
 非正規雇用拡大などで保護者の収入も減る下で、学生の7割以上が、学費を払うため日常的にアルバイトを強いられています。
 今回の高等教育アンケートでは、世代間での学費負担の違いも浮き彫りになり、現在の学費負担の異常な状態について、幅広い年代から「いまの子どもたちに自己責任を押し付けてはならない」「政治の力で解決すべきだ」との声が多く寄せられました。
 特徴的なのが、大学の学費が異常に高騰している問題で、「自分が大学生だった頃と比べて平均賃金はほとんど変わっていないのに、大学の学費は倍近くまで跳ね上がり、非常に高いハードルになっている」「自分の時と比べて、給与は私が新卒の時と大差ないのに、学費が高くなりすぎていることに本当に驚く」などの声がありました。
 「私の学生時代は学費が上がり始めた頃で、アルバイト代で支払うことができた。今はあまりに高い学費で、順調に返済できても完済は40代になってから。家庭を持つ気になれないと思う」との意見や、「90年代と比べても学費の上がり方はおかしいと感じる。入学金や授業料を払えるかだけではなく、準備のための塾代を負担できるかのように、経済的格差が広がっていると思う」との意見もありました。

緊急対策を提案 日本共産党

 日本共産党は昨年6月に政策「高等教育の無償化へ――ただちに学費・奨学金を半額にし、計画的に無償化をすすめていく」を発表しました。
 学費無償化は国際社会の流れであると同時に、OECD(経済協力開発機構)加盟国で最低水準の高等教育の公的財政支出にとどまってきた日本の教育政策を大本から転換し、①学費無償化を目指し、ただちに学費半額、入学しないのに負担する入学金の廃止、②自宅4万円、自宅外8万円(月額)を75万人に支給する給付奨学金の創設、③貸与奨学金の返済の半額免除――を緊急に提案しています。

(大阪民主新報、2024年1月21日号より)

 

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