万博関連予算 昨年度の4倍以上に
大阪府が当初予算案を発表
大阪府は14日、総額3兆1972億円の2024年度一般会計当初予算案を発表しました。来年4月開幕予定の大阪・関西万博の「総仕上げ」と位置付け、万博関連予算が膨れ上がっているのが最大の特徴です。21日開会の2月定例会で審議されます。
一般会計当初予算は、前年度比4449億円(12・2%)減の3兆1972億円で、2年連続の減少。府税収入は前年度当初0・3%増の1兆4608億円を見込むものの、収支不足額を680億円とし、府の貯金に当たる財政調整基金を取り崩します。
予算配分で大きく減ったのは、新型コロナウイルス関連など公衆衛生費で、3455億円減。一方、万博予算は昨年度比で4倍以上の341億9081万円に増えました。
これでもかと万博関連費が
万博関連予算で目を引くのが会場建設費です。巨大木製リング(大屋根)など、建設費の府負担金は前年度比222億円増の269億円。さらに大阪府・市の地元館「大阪ヘルスパビリオン」整備に40億円、大阪メトロ中央線の輸送力増強などに6億4500万円、機運醸成のため、自治体・企業と連携するイベント開催などに4億500万円が盛り込まれています。
万博予算を計上するのは、万博推進局だけではありません。〝万博のインパクトを生かした大阪の成長に重点配分〟するとし、民生・教育、商工・産業・まちづくりなど、各部局が関連予算を組んでいます。
▽万博を契機に〝ヒト・モノ・カネ〟を集める(都市計画局)▽万博の円滑な開催に努める(健康医療部)▽万博来場で将来に夢を(福祉部)▽万博で〝競争力〟を推進(商工労働部)――など各部局がテーマを掲げ、「空飛ぶクルマ」の離着陸場整備と関連ビジネス支援に3億9千万円、ライドシェア導入促進社会実験3900万円、大阪土産販路拡大支援に900万円などが計画されています。
小中高生を授業の一環として万博に招待する事業は、教育予算で1億1千万円を計上。さらに福祉予算を使って4歳と5歳の子どもや府外通学者を万博に招待するとし、入場券1億5600万円の2倍以上の外部委託費(3・9億円)を盛り込みました。
少人数学級などに背向ける
高校授業料無償化(24年度は3年生のみ)に228億6千万円を盛り込む一方で、存続を求める強い声がある府立工業系4高校は、廃止条例案を提出します。長年保護者や教育関係者が要求してきた35人学級や、小中学校給食費無償化の実施には、背を向けたままです。
府が推進する国民健康保険の府内統一保険料の激変緩和期間が3月末に終了し、4月以降の国保料が全市町村で値上げされる恐れがあります。
コロナ禍で業務が逼迫した保健所の増設はなく、人口100万人当たり全国最低の保健所数(2カ所)は改善されません。
病床削減に伴う改修補助を設けるなど、コロナ禍で全国最多の死者(人口比)を出した反省もなく、医療機能低下が懸念されます。子ども医療助成は、市町村が独自に18歳まで拡充する中で、府の制度は6歳のままです。
支援学校設置などで前進が
府民の運動と連携し日本共産党が繰り返し議会で求め続けてきた支援学校の新設では、出来島支援学校(大阪市西淀川区)が4月開校されるほか、府内4地域で設置が検討されています。
また、日本育英会や日本学生支援機構の奨学金返済を支援する事業所への支援事業を、引き続き盛り込みました。
当初予算案では、万博後のIR(カジノを核とする統合型リゾート)開業に向け、投資マネーを呼び込む関連事業に2・3億円、統合型リゾートの立地推進に1・1億円を計上。ギャンブル依存症対策予算は前年度比2千万円の微増です。
府民施策犠牲に万博へ暴走
日本共産党の石川たえ府議
万博会場建設費が最大2350億円へと2倍に上振れし、大阪府の万博経費も膨れ上がりました。能登半島地震復興を優先すべきだとの府民の批判は強く、若い世代を中心に万博来場意向が急下降しているのも当然です。
4億円もの機運醸成予算を計上したり、関西全体を〝仮想パビリオン〟に見立て、根拠の乏しい3兆円の経済効果を主張し出したりするのも、〝暴走〟ぶりの特徴だと思います。
府予算案で犠牲になっているのが、子どもからお年寄りまで府民の暮らしを支える施策です。商売も工業も産業もすべて万博推進へ利用されています。
物価高で苦しむ府民の暮らしを守るため、各分野?の府民運動としっかり結び、〝万博を中止し、府民の命と暮らしを守る府政〟をと頑張りたい。
(大阪民主新報、2024年2月25日号より)