3・3府民大集合
万博は今からでも止められる
たつみ衆院近畿比例候補 問題の核心部を報告
明るい民主大阪府政をつくる会と大阪市をよくする会が3日、大阪市中央区内で開いた「万博ストップ!3・3府民大集合」で、日本共産党の、たつみコータロー元参院議員(衆院近畿比例候補)が、万博問題の核心について報告しました。
高まる不要論事業費は膨張
たつみ氏は、日本共産党府委員会が昨年8月30日に万博中止を求める声明を出した当時、メディアからは「今ごろ中止して大丈夫か」などの意見も少なくなかったものの、その後の世論調査では、万博開催そのものが不要だとする声が7割近くに上っていると指摘。万博への参加意向調査でも「行きたい」「できれば行きたい」の合計は、51・9%(21年)から33・8%(23年)と低下していることを紹介しました。
会場建設費は当初の1250億円から2350億円に膨張し、人件費などの運営費も当初の809億円から1160億円に増加。それ以外に、大阪パビリオン建設や夢洲のインフラ整備など、万博関連経費は計8594億円に。1人当たりの負担は国民2780円、府民9083円、大阪市民10万6878円に上ります。
パビリオンは間に合わない
「パビリオン建設は遅れに遅れている」と、たつみ氏。来年4月の開幕に向けて万博協会が出した工程表を紹介しました。ことし10月までに建設作業が、来年1月までに改装・内装工事がそれぞれ完了するというものです。
たつみ氏は、参加国自身が建設する「タイプA」の60カ国のうち、着工は7カ国しかなく、うち6カ国の完了予定は、ことし11月9日~来年3月31日となっていると指摘しました。中国は建設の完了予定が開幕日の4月13日となっているとし、「最も早いグループでこのスケジュール。絶対に間に合わない」と断じました。
万博をやめて能登の復興を
さらにこの間、2億円のデザイナーズトイレの計画も浮上。たつみ氏は「半年間の万博で2億円のトイレを造るなら、大阪府内・市内の公園のトイレをきれいにすべき。維新はコストカットでさまざまなものを壊してきた。半年で壊すトイレに『魂込めた』(吉村洋文知事)などと自慢する政治は間違っている」と批判しました。
能登半島地震が発生した石川県は、来年度予算案で「大阪・関西万博を見据えた国際文化交流の推進」の予算として、1千万円を計上していることを紹介。馳浩同県知事は「私は大阪維新の顧問であり、馬場代表や松井さん、吉村知事、また橋下さんとは古い友人だ」と正当化しているとし、「石川県民より維新が大事なのか。これが維新の政治なのか」と述べました。
たつみ氏は、熊本地震で下水の復旧に4年半かかり、能登半島地震でも難工事になる一方、万博のための夢洲の下水の工事は、ことし12月までに完成する計画だと指摘。「維新の馬場代表は、万博の成功が復興支援につながると述べている。万博をやめて、被災地の復興に尽くすべきだ」と力を込めました。
防災計画には避難計画なし
「万博の防災計画には、避難計画がない。後から作ると書いてある」と、たつみ氏。夢洲の外に出るには夢舞大橋と夢咲トンネルの2ルートしかない中で、災害時にどう避難するかは喫緊の課題だが、避難計画が作れないのが実態だとし、「そもそもこういうところ(夢洲で万博を)やるべきではない」と語りました。
また、仮に来年4月に万博が開幕しても、夢洲にたどり着けるのか。大阪市此花区のユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は、コロナ前の1年間の入場者数が1500万人なのに対し、半年間の万博は2820万人。この人数を運ぶために、地下鉄は2分30秒に1本、シャトルバスは45秒に1本走らせる計画で、たつみ氏は「荒唐無稽だ」と語りました。
カジノのため夢洲を会場に
夢洲は廃棄物の最終処分場で、PCBやダイオキシンなどの有毒物質も埋められ、地盤沈下や液状化の対策のための事業費も必要。「なぜ、こんな夢洲を会場にしたのか。それがカジノだ」と、たつみ氏。国策である万博を夢洲で開催すれば、税金でインフラ整備ができるからだったと指摘しました。
たつみ氏は、大阪カジノを運営するMGMが、米国で違法賭博の不正な収益から、日本円で6億1600万円もの現金を受け取ったことが明らかになっていることを紹介。「こんなMGMが、まともな依存症対策など、できるはずがない。こんな業者を日本で運営させてはならないし、カジノ免許の付与は許されない」と語りました。
4月13日以降だと835億円に
たつみ氏は、「万博は今からでも止められる」と強調しました。
ことしの4月12日までに中止を決断すれば、博覧会国際事務局(BIE)支払う補償金は約350億円だが、1日過ぎて4月13日以降になると835億円に跳ね上がるとし、「過去にシカゴやウィーン・ブタペストなど、中止した例もある。万博中止署名を集め切り、政府に突き付けよう」と語りました。
さらに、たつみ氏は、維新政治の下で大阪の実質賃金は全国以上に減少するなど、経済は落ち込んできたと指摘しました。大阪でこそ賃上げを進め、省エネ・再エネの活用で経済に好循環を生む「グリーン革命」など、ハコモノや大型開発に頼らない経済再生の展望を語りました。
たつみ氏は、維新は、湾岸開発を進めた「オール与党」の「古い政治」を批判して支持を集めたが、今やっているのは湾岸開発や万博・カジノなど、「古い政治」そのものであることが府民に見えやすくなっていると強調。「市民、府民の力は、維新の一丁目一番地である『都』構想を許さないたたかいに結実している。共同の力で万博・カジノをストップし、維新政治を終わらせよう」と語りました。
(大阪民主新報、2024年3月10・17日号より)