命軽視の大阪万博止めよう
危険な夢洲 理念から逸脱
開催まで1年 日本共産党府委員会が声明
2025年大阪・関西万博の開催(来年4月13日)まで、1年を切りました。日本共産党大阪府委員会(駒井正男委員長)は12日、大阪市天王寺区内で記者会見し、「開催まで1年―大阪・関西万博の中止を求める声明」を発表。会場建設現場での爆発事故が発生するなど命の危険があらわになっているのに、開催に固執する岸田政権と維新を批判し、「命軽視の万博を止めよう」と呼び掛けています。(声明全文はこちらをクリックしてください)
万博口実にカジノ関連整備
会見には駒井氏、党府カジノ・万博問題プロジェクトチーム責任者の、たつみコータロー衆院近畿比例候補が出席し、党府副委員長の、わたなべ結・衆院大阪3区候補が進行しました。
危険な土壌で避難計画なし
たつみ氏が声明の内容を説明し、爆発事故が起きた夢洲1区は万博開催中に入場者の半数以上が利用する駐車場などがある区域だと指摘。メタンガスが排出し、ダイオキシンなどの有害物質を含むごみの焼却灰や下水汚泥も持ち込まれた廃棄物最終処分場で、「夢洲の危険性について警鐘を鳴らし続けてきた」と述べました。
夢洲1区以外でも、地下鉄延伸工事でメタンガス対策工事を行い、夢洲2区・3区はしゅんせつ土砂や建設残土などで埋め立てられ、地盤沈下も進んでいると指摘。夢洲へのルートは夢舞大橋と夢咲トンネルの2つだけだとし、「避難計画もできていない。ガス爆発が起こりうる、安全・安心とは程遠い夢洲に、児童・生徒は連れて行けない」と力説しました。
たつみ氏は、事業費や運営費の膨張も終わる保証がないとし、「万博を開催することによる赤字で、さらに国民負担を増やないためにも、万博は中止するしかない」と強調。政府と維新が夢洲での開催に固執するのは、「国策」として進める万博を口実に、カジノのインフラ整備を進めるためだと指摘しました。
イスラエルの参加を認めた
日本政府が、ガザへのジェノサイド(集団殺害)を続けるイスラエルの万博参加を認めたことに触れ、「もはや『いのち輝く』という理念から最もかけ離れた、命軽視のイベントが、大阪・関西万博であると言って過言ではない」と断じました。
駒井氏は、「声明の内容を多くの府民に届け、語り合って、万博を中止に追い込みたい」と表明。田村智子委員長を迎えて5月19日に開く街頭演説でも、万博中止を大きくアピールしたいと語りました。
記者団からは「中止した場合、跡地はどう活用するのか」との質問も。たつみ氏は「夢洲は万博・カジノ推進派がいうような『負の遺産』ではなく、廃棄物の最終処分場。延命させて市民の財産として使うべきだ」と答えました。
府市出展館で機能性表示食品提供
規制緩和の危険な実験場に
たつみ氏は会見で、「万博が企業のもうけのために利用されている」と、パネルも示しながら指摘しました。万博に出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」の総合プロデューサーの森下竜一氏は、政府の規制改革会議の委員で、機能性食品制度の創設を主導した人物。府市医療戦略会議の委員として、維新政治と一体に、医療分野での規制緩和を求めてきたと語りました。
府市は2021年11月の国家戦略特区ワーキンググループで、大阪パビリオンでは来館者の個人情報を取得し、個人データに基づいて機能性表示食品を提供する計画を明らかにしてきたと指摘しました。
さらに2013年5月には、松井一郎知事(当時)と橋下徹大阪市長(同)が、機能性表示の解禁を政府に求めていたことも示し、「規制緩和の実験場として、万博が利用されようとしてきた」と批判しました。
(大阪民主新報、2024年4月21日号より)