「共同親権」に重大な懸念
仁比聡平参院議員迎え討論
日本共産党近畿ブロック事務所
離婚後「共同親権」を導入する民法改定案が、4月16日の衆院本会議で、自民、公明、立民、維新の4党などの賛成多数で可決され、参院で19日から審議が始まっています。これまでの国会論戦などで浮き彫りになった改定法案の問題点を伝えようと、日本共産党近畿ブロック事務所が19日夜、参院での論戦の先頭に立っている仁比聡平議員を迎えた緊急企画を、ユーチューブで配信しました。
裁判所により不本意な強制
企画には衆院近畿比例候補の、たつみコータロー、堀川あきこ(京都2区重複)、こむら潤(兵庫8区重複)の各氏が参加。たつみ氏が進行しました。
改定案は、離婚時には父母のどちらか一方を親権者と決めなければならなかった民法を変え、父母の両方に親権を認める「共同親権」を導入しようというもの。改定法案では、離婚時に父母が協議して共同親権か単独親権かを決め、合意できないときは家庭裁判所が判断します。
仁比氏は、夫婦間が破綻し、離婚後の子どもの養育について心から合意できない父母間にも、裁判所が「共同親権」を定めることができる仕組みになっていると指摘。「不本意な『共同親権』が強制されることで、別居親による干渉や支配が復活・継続し、リーガル・アビューズ(法的な虐待)で、子どもの利益や福祉が損なわれる恐れがある」と語りました。
DV被害者を非難する質問
参院法務委員会(3月22日)で質問した仁比氏に、小泉龍司法相が「両親が離婚をせずに、その家庭の中で子どもが育つのが、子どもの一番の利益」と答えたことを紹介。「戦前の家制度を引きずるかのような家族観が、無意識に出てきた答弁だ」と述べました。
たつみ氏は、5日の衆院法務委員会で、自民党谷川とむ議員(同党大阪府連会長)が「離婚しづらい社会になる方が健全だ」などと発言したことに触れ、この考えが離婚後「共同親権」導入の本音だと思うと語りました。
仁比氏は、2月の衆院予算委員会で、維新の市村浩一郎議員(兵庫6区)が、DV(配偶者などからの暴力)や虐待から逃れた人々に対し、裁判所の保護命令が出されたもの以外は「虚偽DV」などと非難する質問を行ったことも紹介しました。
一方で、「#STOP共同親権オンライン署名」に、1週間で十数万人が賛同し、23万人に迫っていることを紹介。DVなどの被害を受けた当事者が声を上げ始めていると語りました。
収入の合算で支援の除外も
仁比氏は、離婚後「共同親権」が導入されると、離婚後も父母の収入が合算され、高校無償化や幼児教育等の無償化、就学援助など所得制限のある28件(18日時点)の公的支援から除外されるという、重大な疑念が浮上していると強調。「別居親が養育費や授業料を払わない場合は、子の利益に反する」と述べました。
たつみ氏は、「離婚後『共同親権』を導入すれば、問題が起こることは明らか。改定法案が成立すれば、法施行後に離婚した人たちだけでなく、すでに離婚している人たちにも適用される」と指摘。堀川氏は「当事者が、これでいいのかと声を上げ始めている。連帯して、近畿でも声を上げたい」、こむら氏は「子どもが主体なのに、後におかれている。子どもの権利条約、人権が尊重される社会をつくりたい」と語りました。
ユーチューブで視聴できます
配信の録画は、日本共産党近畿ブロック事務所のホームページ(「日本共産党近畿ブロック」で検索)か、たつみコータロー氏のユーチューブチャンネルで視聴できます。
懸念に応えない修正案
4月16日の衆院本会議で可決された民法改定案は、自民、公明、維新の4党が修正したもの。日本共産党、れいわは反対しました。
討論に立った日本共産党の本村伸子議員は、離婚後「共同親権」の導入で、DV・虐待から逃げられなくなるなど、重大な懸念が浮き彫りになったと指摘しました。これに対し、立民から「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」などの修正項目案が示され、日本共産党は積極的に評価したと表明。ところが4党の修正には盛り込まれず、懸念に応えていないと批判しました。
法案に反対する理由として、「親権」の用語をそのまま使うことや、子どもの意見表明権を明記していないことなど4点を挙げ、「反対署名は22万人を超えて急速に広がっている。この声に応えるべき」と主張しました。
(大阪民主新報、2024年4月28日・5月5日号より)