おおさかナウ

2015年11月15日

「ブラック・デモクラシー」
橋下・維新の政治手法を検証・告発
「豊かな大阪を」学者・研究者がシンポ

 学者・研究者が学問分野や立場の違いを超えて橋下・維新政治や「大阪都」構想の問題を専門的に解明し、大阪の新しい街づくりや自治のあり方を討論・発信しようと続けているシンポジウム「豊かな大阪をつくる」(同実行委員会主催)の第5回目が8日、大阪市住吉区の大阪市立大学で開かれました。


真実を届けて詐欺を破ろう――藤井氏

橋下・維新の政治手法を「ブラック・デモクラシー」と特徴付け、その危険な狙いや乗り越える方向を討論したシンポジウム=8日、大阪市住吉区内

橋下・維新の政治手法を「ブラック・デモクラシー」と特徴付け、その危険な狙いや乗り越える方向を討論したシンポジウム=8日、大阪市住吉区内

 今回のシンポジウムでは、橋下・維新の会の政治手法を「ブラック・デモクラシー」と規定し、その危険な狙いを解明。京都大学大学院の藤井聡教授(内閣官房参与)と帝塚山学院大学の薬師院仁志教授、東京から駆け付けた哲学者の適菜収さんが報告しました。
 趣旨説明を兼ねて発言した藤井氏は、「ブラック・デモクラシー」は、詭弁(きべん)とうそを全て肯定した「多数決至上主義」と、「デモクラシー」が結託したものだとし、「邪悪なことをしている『ブラック企業』と同じように、邪悪な民主主義だ」と指摘。「真実や善、正義が踏みにじられ、うそと悪が徹底的に正当化されてしまう」とし、その典型が橋下・維新の会のやり方だと述べました。
 橋下・維新の会の宣伝はうそと詭弁に満ちていると強調した藤井氏は、「大阪都」と言いながら、実際には「都」にならず単なる大阪市の廃止・解体でしかない(「大阪都」構想詐欺)などの実例を示し、「デマで政治が動かされる世の中で、真実を見極め、それに基づいて政治を行うための営みが学問。だからこそ橋下・維新の会は学問におびえている」としました。
 藤井氏は、自らの研究室で住民投票の前後に実施したアンケート調査から、「大阪都」構想で反対になった人々の多くは、賛否を両論併記した一般のテレビや新聞ではなく、危険性を指摘したチラシや学者・専門家の意見を参考にしたとし、「真実さえ届ければ、有権者は彼らが詐欺師であること発見する」と語りました。


社会の土壌を破壊した維新――薬師院氏

 薬師院氏は、民主主義を実現するには、基本的人権や法治国家などの価値を根付かせる社会的な土壌が不可欠と指摘。橋下氏らが自分と対立する政治家を「あんぽんたん」と攻撃したり、「バカ学者」「クソ教育委員会」などと言い募ったりしてきたことは、「人間の心を暗くし、社会的な土壌を破壊してきた」と批判しました。
 その上で「一筋の光明が見えた」と述べた薬師院氏。住民投票で自民党・共産党・公明党・民主党が大同団結したことは、「個別政策よりも、大阪市という土台を守るための共同を示した」と強調しました。
 維新の会が市民の間に対立と分断をあおり、「最後のチャンス」「二度目の住民投票の予定はありません」などとデマを流していた中で、市民が自主的に「大阪都」構想の問題点を考え、手作りのビラをつくるなどした草の根の反対運動が起きたことを振り返り、「大阪の人々の心を腐らせることはできなかった」と語りました。


維新の暴走止めるチャンス――適菜氏

 「私は東京なのに、なぜ大阪に口出しするのか。理由は簡単だ」と切り出した適菜氏は、橋下・維新の会のやり方を「放置すると、日本が滅びてしまうからだ」と語りました。
 橋下徹大阪市長がタレント弁護士時代に出版した本で、「ウソをつかない奴は人間じゃねえよ」などと書いていることを示し、「それをそのまま政治に応用している」と告発しました。
 橋下氏らは当初、「二重行政の解消」で4千億円の財源が浮くと言っていましたが、実際の「効果額」は1〜数億円にすぎず、逆に大阪市を廃止して特別区を設置すると600億円の初期投資や毎年20億円のコストがかかることが明らかに。「それでも橋下氏は『財政効果は無限』などと言う。こんなことでは政治自体が破壊されてしまう」と適菜氏。「(ダブル選は)橋下・維新の会の暴走を止めるチャンス。自民党から共産党まで一体となってたたかわないといけない」と力を込めました。

シンポジウム「豊かな大阪をつくる」

「都」構想否決踏まえ
〝新しい大阪〟を討論

 5月の住民投票を前に「大阪都」構想を巡りイメージ論が先行する中、京都大学大学院の藤井聡教授や立命館大学の森裕之教授らが、市民が理性的な判断を下せるよう支援しようと多様な分野の専門家に所見を募ったところ、約130人の学者・研究者が賛同。学者記者会見(5月5日)や学者説明会が行われました。
 シンポジウム「豊かな大阪をつくる」は、住民投票で「大阪都」構想が否決され、大阪市の存続が決まった下で、引き続き将来の大阪のあり方や課題について討論していこうと、ことし6月から開かれています。

 

(大阪民主新報、2015年11月15日付より)

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