2024年06月08日
大阪市議会本会議
問題多い「こども誰でも通園制度」
公的保育の拡充こそ
意見書採択 山中議員が反対討論
大阪市議会の本会議が5月28日に開かれ、維新、公明、自民が提出した「地域における『こども誰でも通園制度』の制度拡充等を求める意見書」を賛成多数で可決しました。日本共産党だけが反対し、山中智子議員は討論で、同制度には多くの問題点があり、保育関係者は「制度導入ありき」で進められていることを危惧していると述べました。
同制度は、子育て支援の拡充策の一つとして政府が2026年度から本格実施しようとしています。親が就労しておらず、保育所などに通っていない生後6カ月から2歳の子どもを対象に、月一定時間(当面10時間)までの利用枠の中で、時間単位で預けられるというもの。大阪市でも試行的事業が始まります。
山中氏は、同制度は保育現場の実態をあまりにも無視するなど、「拡充」でカバーできないほどの不備があると指摘。人見知りの時期の乳幼児を、事前面談もなく単発的に数時間預けることは、子どもにとって大きなストレスになり、保育事故が起きる危険もあると警告しました。
政府は「柔軟」「簡単」「タイムリー」に予約できることが新制度の利点というが、「子どもは荷物ではない。心も体も一人一人違う個性を持つ命だ」と強調。保護者と事業者との直接契約にすることで、公的な責任を限りなく後景に追いやるものだと批判しました。
山中氏は、「すべての子どもは家庭の就労状況に関係なく保育を受ける権利を持ち、その権利は社会的に保障すべきだというのが、世界の大きな流れだ」と力説。保育士の処遇改善と配置基準の抜本的改善、公的保育の拡充で、「誰でも通園」の土台をつくることこそ、国に求めるべきだと主張しました。
(大阪民主新報、2024年6月9日・16日合併号より)