おおさかナウ

2024年07月13日

日本経済の困難 打開の道探る
大門さんとたつみさんが対談

 「物価上昇はなぜ起きる?」「為替レートと円安の関係は?」「日本経済立て直しの道は?」。暮らしの中で感じる疑問や、あるべき政治の姿について、党衆院近畿比例候補のたつみコータロー氏と、党政策委員で前参院議員の大門実紀史氏が縦横に語り合う対談動画が公開されました。たつみコータローYouTubeチャンネルで視聴できます。

YouTubeで公開中
賃上げ・社会保障拡充・自給率上昇を

 「なぜこんなに物価が高いのか? 主な原因である円安の問題を、私たち生活者の肌感覚から考えてみたい」。大門氏はそう述べて、37年ぶりの円安ドル高となった1ドル=160円台での為替相場(日本円と外国通貨との交換比率=為替レート)の動向を取り上げました。

異常な円安と金利差が物価高の原因

 「為替レートが3年前の1ドル110円台から現在の1ドル160円になった結果、3年前には110円で1ドルを手に入れることができたのに、現在は50円多く160円払わなければ、1ドルを手にいれられない」。円安とはドルに対して円の価値が下がることだと説明し、「円安が進むと、同じ商品を輸入するのにも多く支払うことになる。日本の物価の約4割は輸入物価で決まると言われており、これが円安で物価全体が上がる理由」と語りました。
 なぜ異常な円安になったのか。大門氏は、まず日米金利差の問題点を語りました。
 アメリカがこの間、政策金利(短期金利の上限)を5・5%に引き上げたのに対し、アベノミクスの「異次元の金融緩和」でゼロ金利政策が取られた日本では、現在も政策金利は0・1%でほぼゼロ金利が続いていると指摘。「これだけ金利差があると、多くの人は金利のつかない円を売り、金利の高いドルを買おうとする。日米金利差が異常な円安を加速させる一因となった」と述べ、さらに為替取引の8~9割を占めるといわれる海外ヘッジファンドなど、投機筋による円売りが円安の動きを左右していると語りました。

ゼロ金利数十兆円の富奪う

 大門氏は、海外諸国が金利を上げる傾向にある一方、ゼロ金利や円安誘導につながる「異次元の金融緩和」によって、「日本の輸出大企業は巨額の利益を上げ、大株主など富裕層が大もうけした。その一方で、円安による物価高は国民生活を圧迫し、実質賃金の低下と中小企業の〝物価高倒産〟を招いている」と告発しました。
 大門氏は、安倍政権によるアベノミクスの真の狙いは、経済界の強力な支持を得て長期安定政権を実現し、憲法改正をすることだったという自民党関係者の証言を紹介。2013年に始まったアベノミクスは、16年以降にマイナス金利政策によってさらに加速させられたとし、「現在も継続しているゼロ金利によって、国民が得られたはずの利息収入は吹き飛び、格差と貧困を拡大する結果となった。まさに〝後は野となれ山となれ〟のゆがんだ政策によって、数十兆円規模で私たち国民の富が、ごく一部の企業や富裕層に移転した」と告発しました。

日銀の仕事は物価の安定

日本経済の現状、国民の立場で再生を目指す方向を語り合う(左から)大門、たつみの両氏

日本経済の現状、国民の立場で再生を目指す方向を語り合う(左から)大門、たつみの両氏

 大門氏は、日本銀行が保有する国債が発行残高の53・25%(23年3月末時点)に達し、過去最大を更新したことについて、12年12月に11・48%だった国債保有比率が「異次元金融緩和」政策によって異常に膨張したとし、FRB(米国の中央銀行)の国債保有比率20%と比べても異常さが際立っていると指摘しました。
 国家財政の赤字補填のために日銀が政府の資金調達を支える「財政ファイナンス」は、財政法第5条で禁止されていると述べ、「国債保有比率が5割を超えるような国は、世界のどこにもない。事実上、財政ファイナンスに当たり、いずれ国の財政、国債の信用失墜を招き、悪性インフレや金利急上昇など、経済パニックを引き起こしかねない」と強調しました。
 大門氏は「日銀本来の仕事は物価安定を図ること。以前は公定歩合によって、現在は公開市場操作(オペレーション=国債の売り買い)を通じて金利を調整している。財政ファイナンスで政府言いなりに国債を買い続けるだけになれば、金利調節ができず物価コントロールもできず、悪性インフレを止めることもできない」と指摘。政界の一部にある「積極財政」論を批判し、「政府が『異次元金融緩和』の誤りを認めて反省し、政府の責任で正常化に取り組む必要がある」とし、日銀の国債保有を減少させ、金利を経済の実態に合わせて適正化していくべきだと語りました。
 「そもそも経済の弱い国の通貨は、安くなる傾向にある」と述べ、貿易赤字や長期低迷を続ける日本経済の実態そのものが、円安を進める要因にもなっていると指摘しました。
 日本共産党が昨年発表した「経済再生プラン」について、▽賃金を上げること▽社会保障を拡充し、国民の負担を減らす▽エネルギーと食料の自給率を上げる――を通して、日本経済そのものの再生を目指す立場だと語りました。
 たつみ氏は「非常に分かりやすく、現場での対話に役立つ内容。実体経済に光を当て、暮らしを支え、賃金の上がる社会を実現する道筋が見えてくる。自民党政治を終わらせ、新しい政治を実現するために、あらゆる機会を通じて語り広げていきたい」と話しました。

(大阪民主新報、2024年7月14日号より)

 

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