おおさかナウ

2024年08月10日

統一国保険料 抑制へ府も財政支出を
独自減免を認めるべき
市町村府に懸念・引き上げ要望

 国民健康保険料が今年度から完全統一化され、全国に先駆けて都道府県化に踏み出した大阪では、すべての自治体で保険料が値上げとなりました。
 それまで高すぎる保険料を軽減するため、各市町村の権限で、国保財政に基準以上の公費を独自に繰り入れる努力が行われてきましたが、大阪府は市町村の軽減策に圧力をかけてきました。
 昨年10月31日付で公表された「次期大阪府国民健康保険運営方針の策定に係る市町村意見に対する府の考え方」では、統一化による保険料引き上げが加入者への大きな負担となることへの懸念が表明され、「保険料率抑制へ府も財政支出を」「低所得者等への独自減免を認めるべき」などの意見が出されています。これに対する府の回答は、「府として財政措置を行うことは考えていない」「被保険者間の受益と負担の公平性の観点」の一点張りで、応える姿勢はありません。
 物価高騰に加え、さらなる負担増で府民が苦境に陥る今、大阪府はこれらの声に改めて真剣に応えることが求められています。市町村からの意見を一部紹介します。

各市町村の意見

□堺市

 昨今の物価高騰の状況や低所得者の比率が高いという国保特有の事情を踏まえると、令和6年度以降の統一保険料率についてもより一層の低減が必要であるため、国に対し更なる公費投入の拡充を求め、また大阪府においても被保険者の急激な負担増加のさらなる抑制のための方策や特段の財政支援措置を講じることを引き続き検討していただきたい。

□岸和田市

 基金の繰り出しについては、被保険者の負担軽減を目的として、「府及び市町村での国民健康保険特別における財政調整事業の実施のため」が新たに追加されたが、更なる負担軽減のため、①各種減免制度における共通基準の拡大、②新たな減免制度の創設、③多子世帯・低所得世帯に対する保険料軽減制度の創設、等への活用についても、今後検討を進めていただきたい。
 大阪府の示す市町村標準保険料率は全国的に見ても高い水準にある一方、大阪府における一人当たり医療費はそこまでの水準に達しておらず、結果として事業費納付金算定が高すぎるとの批判が寄せられており、大阪府としての見解を伺いたい。また、こうした批判を踏まえ、適正な推計に基づいたより精緻な算定の実施をお願いしたい。

□泉大津市

 府内で保険料減免を統一するにあたり、国主導で未就学児の均等割5割軽減制度はあるが、府として、多子世帯に対する保険料負担の軽減を講じていただきたい。また、低所得者に配慮した減免を講じ、低所得世帯の負担軽減に努めていただきたい。市が保有する財政調整基金の取扱いについては運営方針に記載されている場合に限られているが、市に一定の裁量を認めてほしい。

□寝屋川市

 被保険者の負担軽減を図るため、様々な財源・施策をもって府内統一保険料の引き下げを行っていただきたい。
 他の都道府県の保険料水準を踏まえ、負担の公平性・平準化を図るとともに、激変緩和期間について、再度、検討していただきたい。
 これまで各市町村が独自で行ってきた経過を踏まえ、被保険者の負担軽減となるよう、柔軟な対応を可能とするとともに、府内統一基準についても拡充を検討していただきたい。

□河内長野市

 府内統一保険料率については、大阪府標準保険料率の推移から平成30年度からみると6年間で大きく上昇している。特に令和4年度と令和5年度の料率については、各市町村の想定外以上の上昇になっているかと考える。
 今回の財政調整事業における一人当たりの抑制額は、近年の府の激変緩和における減額幅よりも小さく、被保険者の負担への影響大きいものになると考えられる。
 被保険者においては、新型コロナ、近年の物価高騰等により経済的な余裕はない状態である。その中で、国民健康保険料の負担が大きくなり、納付できない方が増えることは、統一の目的である持続可能な国民健康保険制度の構築及び国民健康保険の安定的な財政運営が危うくなる可能性もあることから、府が示す市町村標準保険料率については、大阪府における社会経済状況等を踏まえ柔軟に考えることが必要と考える。
 保険料の減免については、府内統一基準とされるが、それまでの独自減免における被保険者の状況を加味したきめ細かいサービスが行えなくなる。府内統一にされることにより「別に定める基準」についてもそれに合った変更も必要と考える。
 また、「別に定める基準」においては、障がい者、多子世帯などに対する配慮を含めた検討が必要と考える。

□大東市

 低所得世帯及び多子世帯の減免について。国保加入者は相対的に所得水準が低いという構造的な課題があり、保険料においては法定軽減等一定の配慮がなされているものの、基準を少し超えた軽減等非該当の低所得世帯の負担は大きい。また、このような世帯は恒常的に所得水準が一定である場合が多く、現行の減免(災害、所得減少、拘禁、旧被扶養者)では対応できないことから、府内統一基準において低所得者に対する減免を検討すべきである。
 子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、未就学児の均等割軽減が導入されたが、軽減期間が短く充分なものとは言えない。均等割は多子世帯になるほど負担が増える制度であり、子育て世帯の更なる負担軽減を図るためにも多子世帯に対する保険料の減免について検討していただきたい。

□門真市

 各市町村がこれまで被保険者の生活状況に配慮し、とりわけ低所得者に対する保険料負担の軽減を目的とした独自減免基準を設けて運営してきた経過がある。これらの減免を廃止することは、低所得者層の生活困窮に拍車をかけることになりかねない。国民健康保険制度の府内統一化を進めることに対しては異論無く、各種制度についても統一基準で運用していく必要性は認識していることから、低所得者に対する減免を府内統一基準の1つに組み込まれたい。

(大阪民主新報、2024年8月11日・18日合併号より)

 

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