全国一高い介護保険料
負担軽減へ府は独自支援を
日本共産党 石川府議が知事質問
日本共産党の石川たえ大阪府議は10月31日の府議会健康福祉常任委員会で、全国一高い介護保険料を府独自に引き下げるよう吉村洋文知事に迫りました。
府議会健康福祉常任委員会
介護保険の第9期(2024~26年度)の65歳以上の保険料(基準額)は、全国平均6225円に対し、大阪府は全国最高額の月7486円、第8期からの値上げ幅(9・7%)ともに全国一の高額となっています。
苦しむ高齢者生み出す
大阪の介護保険料が高い要因について、吉村知事が5月の記者会見で「介護サービスを受けている人が多い」などと述べたのに対し、石川府議は、▽介護サービスの利用者1人当たり給付費は、47都道府県の真ん中程度▽65歳以上の高齢化率は決して高くない――の2点を示し、「高い保険料に加え、サービス利用料が発生する制度設計が、〝サービスが受けられない〟と苦しむ多くの高齢者を生み出している」と述べ、府が財政投入して保険料を引き下げるよう求めました。
吉村知事は、要介護認定率が全国一高いことなどが、全国に比べて介護保険料が高い要因と答弁し、「受益と負担の公平性の観点から、被保険者以外に負担を転嫁することは適当ではない」と述べました。
石川議員は、私立高校授業料無償化に税金投入しているのに、介護保険料はなぜ適当ではないのかと反論。「介護サービスを受けられない高齢者を生み出しておいて、介護予防になるのか。介護予防が給付費を抑える鍵だからこそ、早い段階でサービスを受けられるようにするために、介護保険料引き下げに府として取り組むべきだ」と、保険料引き下げに取り組むよう重ねて求めました。
府にできることがある
石川府議は、介護報酬マイナス改定の影響などで、在宅介護を支える訪問介護事業所の閉鎖や倒産が続出している問題を取り上げ、大阪府の介護事業者の倒産は全国最多の11件(今年上半期)に上ると指摘。「報酬が下げられ雑務が増えたため、ヘルパー離職率が高くなった」「人手不足で新規利用者の受け入れが難しくなった」などの現場の声を紹介し、「このまま介護事業所がつぶれるような事態を、府として放置していいのか」と知事の見解を問いました。
吉村知事は、介護保険制度には国のルールが決められているとし、「訪問介護の基本報酬はマイナス改定だが、処遇改善加算が講じられた。国の予算措置を踏まえて取り組む」と述べるにとどまりました。
石川府議は、国が実施した処遇加算は〝焼け石に水〟と言われるほど少額だと指摘。「コロナ補助金打ち切りと物価高騰が続く中、処遇改善を含めて、大阪府にできることはたくさんあるはずだ」、「世代間格差の是正だとして高齢者の医療・介護の負担を増やすのではなく、高い保険料の引き下げと事業所の事業継続のために、府の独自施策を行うべきだ」と求めました。
依存症対策に逆行 カジノはやめよ
大阪府が昨年3月に策定した「ギャンブル等依存症対策推進計画」(23年度~25年度の3年間)は、▽ギャンブル依存症の実態調査の実施▽予防啓発の強化▽治療可能な医療機関の拡充―など9つの重点施策と目標達成率を定めており、府は今年3月、23年度目標を「おおむね達成した」との評価を出しました。
石川府議は、23年度の府調査で、ギャンブル依存症が疑われる人の割合が前年比0・5㌽増の3・9%で、単純計算で3万8千人増加したと指摘し、「横ばい」との府評価について、知事の見解を聞きました。
吉村知事は「統計的に確認し、22年度から横ばいだと認識している。継続的に実態把握し、推移を注視する」と答弁。石川府議は「3万8千人増えても〝横ばい〟とは驚くべき認識だ。本気で依存症対策を行おうとしているとは、到底思えない」と批判しました。
石川府議は、大阪にカジノがつくられれば、来場者の2%が依存症患者になるると、カジノ事業者が認めた問題を示し、「カジノができていないのに、ギャンブル依存症患者は増えている。ギャンブル依存症対策の強化というなら、カジノはつくらないことだ。万博カジノによる経済対策ではなく、暮らしを守り、社会保障を充実させることに力を入れるべきだ」と求めました。
(大阪民主新報、2024年11月10日号より)