憲法いかす政治へ転換を
大阪で総がかり集会
中央公会堂に1200人
「輝け憲法!平和といのちと人権を おおさか総がかり集会」(同実行委員会主催)が3日、大阪市北区の大阪市中央公会堂で開かれ1200人以上が参加しました。
改憲勢力は2/3割る
集会実行委員会を代表してあいさつした「戦争をさせない1000人委員会・大阪」の近藤美登志事務局長は、衆院選の結果、自民・公明与党の大敗は「政治とカネ」や統一協会の問題に有権者が突きつけた結果だと指摘。自公与党に加え、維新、国民民主など憲法改悪を目指す「改憲勢力」の議席が、国会発議に必要な「3分の2」である310議席を割り込んだ新しい政治局面の下、憲法審査会の動きなど、今後の政治動向を注視しながら平和憲法を守る運動をさらに広げていこうと呼び掛けました。
日本体育大学の清水雅彦教授とフリーライターの小川たまかさんが講演しました。オープニングで川口真由美さんとカオリンズが演奏。大阪憲法会議の丹羽徹幹事長が、閉会あいさつしました。
集会後、参加者は「憲法生かす政治を」などとコールしながら、西梅田までパレードしました。
おおさか総がかり集会に1200人
憲法通りの国目指そう
清水雅彦氏・小川たまか氏が講演
3日のおおさか総がかり集会で、九条の会世話人で日本体育大学教授の清水雅彦氏(憲法学)は「憲法入門~その歴史・意義と改憲論議を考える」と題して講演しました。
清水氏は、侵略戦争を禁止した不戦条約(1928年)や国連憲章(45年)など、20世紀以降、戦争を規制してきた人類の取り組みを紹介。広島・長崎への原爆投下を経て制定された日本国憲法は、徹底して非軍事の立場に立ったものだと強調しました。世界にはすでに26カ国の軍隊のない国家があるとし、「日本は憲法通り、27カ国目の軍隊のない国家を目指すべきだ」と語りました。
続けて清水氏は、日本国憲法には前文と9条という「2つの平和主義」の考え方があると述べ、軍隊を放棄し、戦争しないことによって得られる消極的平和、貧困・飢餓・抑圧・阻害・差別などの構造的暴力もなくそうとする積極的平和の考え方を説明。さらに憲法前文に書かれた平和的生存権の権利主体が、日本国ではなく「全世界の国民」であることが重要とし、「憲法の立場は一国平和主義ではなくて、世界から戦争と貧困をなくそうというもの。日本政府は、9条は当然のこととして、前文の観点から平和政策を取らなければならない」と述べました。
自衛隊明記で9条は死文化
清水氏は、防衛費の増大と自衛隊海外派兵の拡大、武器輸出解禁、「安保3文書」に基づく反撃能力保有など、9条の形骸化が進められたと批判。憲法9条に自衛隊を明記する改憲案について、「憲法に『加憲』されれば自衛隊は違憲でなくなり、これまでの歯止めがなくなって、9条2項は空文化、死文化する」と語りました。
清水氏は、「安保3文書」具体化で防衛費がGDP比2%になれば、日本の防衛費は世界第3位の高額になると指摘。いま必要なことは大学無償化(1・8兆円)、給食無償化(5千億円)、健康保険負担ゼロ(5・2兆円)など、教育や福祉に回すことだと強調し、「改憲を拒むために、『安保3文書』の具体化阻止の運動が大事。衆院選で改憲勢力を3分の2以下に追い込んだ力を、さらに広げ憲法を守る取り組みを進めよう」と呼び掛けました。
ミソジニーが蔓延する社会
フリーライターの小川たまか氏は「〝ミソジニー〟は家父長制に抗う女性への征服欲」と題して講演しました。
小川氏は、男性社会に抗議する女性を排除する欲望を表すワードが「ミソジニー(女性嫌悪、女性蔑視)」だと述べました。ミソジニーを感じる事例として、「女性がたくさん入っている会議は、時間がかかる」、「そんなに美しい方とは思わないけど、このおばさん、やるねえ」「常に選挙を考えて政治活動を実行できる女性は、かなり少ない」「女性はいくらでもうそをつく」など、政治家の暴言を紹介しました。
東京都知事選で「女性の敵は女性」「女のたたかい」などと取り上げたメディアの責任も大きいとし、「メディア側は『男性の敵は男性』とは絶対に言わない。女性を性別でくくって判断して偏見を浴びせ、『男社会』に女性が存在できない理由を、まるで真実かのように作り上げていく」と批判。法の下の平等を定めた14条をはじめ、憲法の理念が生きる社会を目指そうと呼び掛けました。
(大阪民主新報、2024年11月10日号より)