おおさかナウ

2025年01月11日

万博 関心度は過去最低に
開幕まで3カ月 入場券売れず
赤字のツケは市民・国民に

 2025年大阪・関西万博の開幕まで、13日であと3カ月です。パビリオンやイベントの抽選申し込みなどが始まるものの、万博への来場意向は低下し、前売り券の販売も低迷。メタンガスが爆発する危険性はなくならず、大規模災害時の防災対策や避難計画は見えないままです。このまま開催に突き進めばどうなるのか――日本共産党は国会や大阪市議会で、夢洲での万博開催の危険性などを正面から取り上げ、論戦を続けています。

メタンガスを放出するためのガス抜き管。「火気厳禁/車内禁煙」との警告があります=2024年11月22日撮影、夢洲1区の第2交通ターミナル内

メタンガスを放出するためのガス抜き管。「火気厳禁/車内禁煙」との警告があります=2024年11月22日撮影、夢洲1区の第2交通ターミナル内

 三菱総合研究所が昨年12月23日、万博に関する意識調査結果を公表しました。それによると「万博に関心がある」と答えた人は24%で、21年の調査開始以来最低。「行きたい」と答えた人も24%で、これも調査開始以来最低となっています。
 万博協会は入場券の販売目標を2300万枚と想定し、うち1400万枚前売り券で販売する計画です。ところが前売り券の販売実績(昨年12月27日現在)は746万枚で、目標の半分程度。開幕までに1日当たり約6万枚売れなければ、目標を達成できません。
 万博の運営費は当初の809億円から1160億円に上振れ。万博協会は運営費の約8割をチケット収入で賄う予定ですが、チケットが売れなければ、赤字に直結。穴埋めのために、負担が国民・市民に転化される危険があります。
 また会場建設費が2350億円に上振れしている中、1970年の大阪万博の収益金で作られた基金190億円のうち、半分に当たる約95億円を取り崩して活用するよう、経済界や大阪府が基金を管理する団体に求めていることも、問題になっています。

 

世界の流れに逆行
万博・夢洲開発 環境保護団体が評価

 公益社団法人・大阪自然環境保全協会などが2024年12月23日、万博会場の夢洲で確認されてきた貴重な動植物の生息・生育環境の保全を巡り、万博協会の工程表はまったく不十分だとする評価を発表しました。
 夢洲は大阪湾の廃棄物最終処分場ですが、コアジサシはじめ多様な鳥類や、ハマボウなど希少植物が確認されたことから、14年に大阪府「生物多様性ホットスポット」の最高ランクAに指定されています。
 万博開催に伴う環境影響評価・準備書に対して22年2月、松井一郎大阪市長(当時)が万博協会に出した意見でも、工事を着手するまでに鳥類や植物の生息・生育環境に配慮した整備内容などの工程表を作り、環境保全するよう求めました。
 大阪自然環境保全協会や日本野鳥の会大阪支部などの環境保護団体は、市長意見に基づいて、万博協会との「共同検討」の場で保全策を提案してきました。
 万博協会は昨年12月13日に工程表を示しましたが、鳥類や植物に対する不十分な措置のみで、市長意見で保全が求められていた環境は万博の土地造成で損なわれていると指摘。万博後も「夢洲まちづくり構想」でさらに開発が進められるなど、世界的に求められているネイチャーポジティブ(自然再興)に逆行するものだと強調しています。

 

(大阪民主新報、2025年1月12日号より)

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