いつでも歯に衣着せず維新政治に物申してきた日本城タクシー社長の坂本篤紀さんと、ユーモアあふれる語り口で難しい政治を分かりやすく伝えようと、府内を駆け巡る日本共産党の清水ただし元衆院議員（参院大阪選挙区候補）が対談しました。ライドシェアなど市場主義一辺倒で規制緩和を進める日本の政治の問題点、大阪万博や地域経済再生の展望にも話が広がって……

政治とは分配。民慈しむ夢のある社会に
日本城タクシー社長　坂本篤紀さん

お金の心配なく暮らせる社会つくりたい
日本共産党参院大阪選挙区候補　清水ただしさん

公共交通を巡る政策課題や経済再生の視点など縦横に語り合う清水ただしさん（左）と坂本篤紀さん

ライドシェアは「白タク」と同じ

清水　今日はライドシェアや万博・カジノ問題について、坂本さんとお話しできると楽しみに参りました。
坂本　好きなようにしゃべっているだけやで。
清水　そうそう、そんな調子でお願いします。まず「日本版ライドシェア」ですが、二種免許（旅客運送業の免許）を持たない一般ドライバーが自家用車で客を運ぶライドシェアって、「白タク」と同じでしょ。
坂本　一緒やね。
清水　外国では犯罪が多発しています。逆に日本のタクシーは深夜に１人で乗っても安心だと言われます。政令市では特に強い規制があるのに、もうけのために白タク認めてもええんかと国会でも追及してきました。
坂本　ええ質問してくれてるよね。
清水　坂本さんは、安全と労働というライドシェアの２つの問題を訴えていらっしゃいます。

安全神話で次々と規制緩和して

坂本　安全性で、例えば任意保険未加入のライドシェアで事故が起きたら、いったい誰が補償するのか悲惨なことになる。こう発言すると、「乗らなきゃいいじゃん」と返ってくる。
清水　「乗るな」って言い方がおかしいですよね。
坂本　ウーバーはちゃんと発表してる。アメリカのライドシェア事故の被害者は３分の１が歩行者やと。乗ってない人だって被害に遭うし、ドライバーが〝金おまへんねん〟と言えばそれまでやで。
清水　日本の安全基準とは大違いです。
坂本　ＥＵ加盟国ではライドシェアやってるとこないからね。
清水　禁止されているんですよね。
坂本　ライドシェア解禁は紅麹事件にもつながると思うよ。大阪府と大阪市が連名で国の規制改革会議に「早う解禁せえ」と。体にええもんいちいち検査してたら間に合わへんと、厚生労働省の担当から外してしまった。
清水　そして事故が起きた。
坂本　同じことを車でやろうとしている。吉村知事と横山市長が連名で「ライドシェアいかせえ」と要望した。国土交通省の管轄から外したいと。
清水　紅麹事件で言えば、機能性表示食品の時も、共産党は国会で最後まで反対しました。
坂本　２０１３年やったよね。
　福島第一原発のことも、津波対策を共産党が追及してたよね。
清水　安全神話、そして想定外っていう責任逃れの言い訳は、絶対に許されないですよ。

何でもかんでも自由化では駄目

坂本　日本のライドシェアには、事故や犯罪が起きても報告義務がないけど、アメリカではあのウーバーでさえ、事故や事件を発表せなあかん。犯罪目的でライドシェアに登録する人間だっているからね。
清水　何でもかんでも自由化では駄目ですよ。
坂本　〝アメリカ型〟を礼賛する人もいるけど、カリフォルニア州全般で言えば、保険料が普通のタクシーの３倍とか、自家用者の10倍とかになってる。
清水　事故や事件への規制がかかっているからですよね。
坂本　ニューヨークなんか、渋滞がひどくなって台数制限を始めている。自浄作用を果たせるかも問われてくるね。
　２つめの労働問題で言うと、「ｎｅｗｍｏ」というＩＴ企業が１７８億集めてライドシェア始めますと。タクシー会社しかできへんならタクシー会社買ってやりますと。
清水　多くのタクシー会社は経営が大変ですよね。

そもそも公平な競争とは言えぬ

坂本　既得権を守るためかと言う人もおるけど、僕ら赤字企業やから既得権なんてなんもない。
清水　そもそも公平な競争ではないのが問題です。
坂本　コロナの時に損を出しながら耐え抜いたわけやけど、ベンチャー企業には補助金を出し、府知事がその会社に行って全力で応援しますって。
清水　人の命を運ぶという点で、当然の規制とルールが必要だと思います。
坂本　規制をなくして誰が得するのか。国鉄で分かったやん。全国に張り巡らした鉄道網がどれだけ廃線されたのか。
清水　当時、自民党は在来線はなくさないと広告出してましたよ。
坂本　郵便もそうやね。反対したら抵抗勢力やと。こんなんでええのかということが問われるね。一体どんな社会を目指しているのかと。
清水　坂本さんは、従業員と家族の生活と健康を守ることを使命に、経営と事業開拓にも取り組んでいらっしゃいます。
坂本　京丹後にウーバーが来るとなった時、「おかしいな」と思ってうちの営業所を出して、２台で始めて今６台。一方、ウーバーは登録者21人いても実際にはあまり稼働しない。タクシー会社では全員健康保険も所得税も払って、消費税まで納めるように。持続可能ってことを考えなあかんのちゃうかなと思うね。

移動手段である公共交通を守る

清水　一極集中という日本の国土政策や、経済政策のあり方も問われます。鉄道廃線で代替バスも撤退し、病院や学校もなくなった町もあります。いかに住民の移動手段である公共交通を守ることが大事かを感じます。
坂本　いまの大阪の政治もひどいよね。トランプと同じ〝お友達資本主義〟で、金持ちが群がって公金を分け合うようなやり方や。
清水　お友達資本主義で言えば、大阪万博は維新のパーティー券を買った企業がらみの問題もあります。チケット販売１８６０万枚が分岐点ですが、目標の半分ほどで、多くが企業購入分にすぎません。
坂本　黒字にする努力してないね。赤字どうすんねん言うてたら、また「都」構想言い出して、大阪市の財布に手を突っ込もういうことか。「都」構想の目的は財政と権限でしょ。
清水　そうですよ。住民投票を２回失敗したのに、府市一体になって万博へ突き進んでいます。
坂本　大阪市民黙ってたらあかんよね。

愚直に日本共産党らしいことを

清水　日本共産党についてどう見ていらっしゃいますか。
坂本　政策は正しいのに共産党が言うからあかんとか言う人がおるね。教育無償化とか、共産党が以前言うてたことが、そういう流れになってるよね。共産党らしいことを愚直に言い続けてほしいよね。
清水　筋を通して発言し続けます。
坂本　ほんまに生活が厳しいし、年収１千万以下の人はみんな共産党でええんちゃうかと思うわ。今のまま中間所得層をたたき落としていたら、景気良くならんのにな。
清水　近所のみんな誰もが笑顔で暮らせるように、お金の心配なく暮らせるよう、必ず国会へ駆け戻って頑張りたいと思います。
坂本　そうやね。政治はつまり分配のため。持ってるやつから取って、少ないところへ分ける。その志は民を慈しむこと。万博が象徴なんやけど、今の大阪の政治には夢がないねん。みんな夢を持てるような社会にしたいね。
清水　全力で頑張ります。今日は本当にありがとうございました。

(大阪民主新報、2025年2月9日号より）