岸和田・永野市長
〝説明責任果たさず〟〝大義なく議会解散〟〝不倫でなく性加害〟
再び不信任、市長失職 市長選は4月6日投票
岸和田市議会(定数24)は17日、昨年12月に続いて二度目の永野耕平市長(昨年12月8日に大阪維新の会を離党)への不信任決議を、出席議員23人全員の賛成で決議しました。これにより市長は失職し、市長選が行われます。岸和田市選挙管理委員会は18日、市長選挙を3月30日告示、4月6日投開票で行うことを発表しました。
不信任で辞職せず議会解散
永野市長は、政治活動を共にした女性から性的行為の強要を訴えられ、昨年11月、女性に謝罪し、500万円の解決金を払って和解しました。市議会からの追及に「秘匿」を繰り返す一方、所属していた大阪維新の会に除名されれば辞職すると表明していましたが、同党は除名せず離党勧告で済ませました。
市議会は12月20日、市民の代表である議会に説明責任を果たさず、市政に混乱を招いたとし、賛成20、反対4で不信任を決議。永野市長は「不信任決議には大義がない」とし、自ら辞職せずに議会を解散しました。2月2日に市議選が行われ、不信任案賛成派が得票を伸ばす一方、反対派は得票を減らしました。
改選で不信任賛成さらに増
選挙後初めて行われた17日の市議会本会議では、24人全員が出席し、不信任決議案には出席した23人全員が賛成。唯一、反対の立場だった永野市長の妻・永野紗代議員は、地方自治法の「(親族の)一身上に関する事件」の議事に参加できない規定により、審議中は議長から退場を命じられました。
不信任決議では改めて、市長が説明責任を果たしてこなかった問題を指摘した上で、「市政の混乱を招いた市長の責任は非常に重いにもかわらず」「辞職しないだけでなく、大義無く議会を解散し莫大な市民の血税を使ったことは言語道断」と指弾し、再度、即刻退陣を求めました。
共産党市議団長が賛成討論
決議案の賛成討論に立った日本共産党の岸田厚市議団長は、永野市長が、去年の不信任決議に対し、「自ら失職の道を選ばず、市議会を解散する大義のない選択を、1億円近い市民の血税を使い行った」と批判しました。
永野市長が、不倫を認めながら「性加害はなかった」と主張し続けてきたことに対しては、和解調書で「(市長と原告女性の間に)社会的な上下関係があった」「女性は性的関係が続く中で、精神的失調をきたした」と厳しく指摘していることを紹介し、「今の法律で言えば、『不同意性交等罪』にあたり、単なる不倫ではなく『性加害』だ」と厳しく指摘。「今回の一連の女性への行動を私的なことであるとしている。岸和田市長である公人としての資質に欠ける」と述べました。
〝民意明らか〟〝選挙出るな〟
議長が「賛成23票、反対0票」と報告すると傍聴席から拍手が起きました。本会議の閉会が告げられると、「これが民意だ」「永野市長落選」「出るなよ」などの声が飛び、再び拍手が起きました。
市役所前では市民約20人が、「民意は明らか さよなら永野市長! 選挙には出ないで」と訴えました。
市長選出馬の意向示す 永野氏
市議会議長から不信任決議文を受け取った永野市長は会見を行い、出席議員全員の賛成で不信任が決議されたことを「重く受け止める。民意だ」と認めながらも、市長選への立候補の意向を示しました。
選挙戦でも引き続き「性加害はなかった」と主張するかとの問いには、「聞かれれば答えるが、選挙は町の未来について市民と語り合うもの」と明言を避けました。「市政を混乱させたと思っているか」の問いには、「混乱というより、みんなが考える機会になった」などと答えました。
「NHKから国民を守る党」の立花代表が、岸和田市長選になれば、永野氏の応援のために2馬力立候補をすると発言していることに見解を問われた永野氏は、「法律上できることをやっていることについて、コメントすることはない」「それが彼らのたたかい方」と述べ、否定しませんでした。
(大阪民主新報、2025年2月23日号より)