戦後80年 空襲被害者救済法を早く
みんなの願いを国会へ
清水ただしのいきいきトーク
被害責任認め国が賠償を
参院大阪選挙区候補 清水ただしさん
元大阪空襲訴訟弁護団員 大前治さん
惨禍を二度と繰り返すな
アジア太平洋戦争末期、1945年3月13日深夜に始まった米軍による最初の大阪大空襲から間もなく80年を迎えます。空襲被災者と遺族らが国に賠償を求めた空襲訴訟の判決が「立法を通じて解決すべき問題」と書いて以降、議員立法の動きが進んだものの、いまだ救済法案の国会提出は実現していません。空襲被害者救済法成立を目指し尽力してきた日本共産党の清水ただし元衆院議員(参院大阪選挙区候補)と、大阪空襲訴訟弁護団員だった大前治さんが、裁判の意義や国による補償の必要性、平和実現への思いについて語り合いました。
大前 戦争で多くの命が奪われ、子どもたちが孤児となり、心身に深い傷を負った人がたくさんいます。元軍人や軍属には恩給や遺族年金が支給されるのに、被災した民間人に補償がないのは「法の下の平等」を定めた憲法に反するとして、大阪で20人以上が国に損害賠償を求めたのが空襲訴訟です。
清水 日本政府が始めた戦争によって被害を受けた人々に対して、謝罪も1円の補償もないのは間違っていると思いますよね。
大前 提訴したのが2008年の12月8日。その前年に清水さんが大阪市議に初当選されました。その後国会に挑戦される時に、清水さんのラジオ番組に出演させていただき、空襲訴訟についてお話したことを今も覚えています。
清水 国会議員になる前から、空襲被害者の救済を図りたいと強い思いがありました。原告の命懸けの訴えや弁護団の皆さんの奮闘で、画期的な裁判になりましたよね。
大前 そうなんです。空襲で多数の犠牲者を出した大きな要因が、防空法という戦時法制です。空襲下で避難することを禁じ、消火活動を行うよう罰則を伴う法的義務を課しました。
裁判所が下した画期的判断
清水 焼夷弾の火の海に飛び込んで消せという、人命ではなく戦争遂行を優先させる法律ですよね。
大前 〝命を守るため逃げなさい〟。そう言ってくれる当たり前の優しい国だったら、犠牲者を減らせたはず。私たち弁護団は、国の責任を立証するため古い記録を調べ尽くして、裁判で主張しました。大阪地裁と大阪高裁はこの防空法の問題を認定してくれました。
清水 弁護団の皆さんの力だったと思います。
大前 一審二審の判決では、原告の請求は棄却され、2014年に敗訴が確定しました。
清水 裁判所を追い詰め、あと一歩のところだったのではないでしょうか。敗訴だけれども次につながる内容でしたね。
大前 そうなんです。裁判所はただ「請求棄却」と書くだけでよかったはずですが、そうはしませんでした。判決は、戦後補償を受けた人と受けられなかった人がいたことを認め、「憲法上の平等原則の問題を全く生じさせないと即断はできない」とし、民間被害者の救済は「立法を通じて解決すべき問題」だと書きました。
清水 司法は救済しないとする一方、三権分立を担う国会と議員にボールを預けた形ですね。
大前 そして上告棄却(14年9月)の3カ月後に、清水さんが衆院議員に当選されました。
国会が立法の責任を果たせ
清水 裁判所が〝法律を作って解決を〟とお墨付きを与えてくれたのですから、国会議員が責任を果たさなければ立法不作為になってしまいます。
大前 超党派の空襲議連に清水さんが加わって、実務者チームメンバーとして走り回っていただきました。本当に心強かったです。
清水 日弁連側のアドバイザーとして法案作りに協力された大前さんとご一緒に、やりがいのある仕事に携わることができたと思います。
大前 超党派での法案作りは難しさもありました。
清水 被害者の認定方法や賠償金額の算定も、なかなか折り合いませんでした。「被害者が死ぬのを待っているのか」と訴えた原告たちの思いを受け止めて頑張ってきました。
大前 法案とりまとめに果たした清水さんの役割は大きかったです。政局の動きの中で、いまだに法案提出はされていませんが、与党過半数割れという国会状況で、なんとか救済法を実現したいと思います。
清水 今年は戦後80年。大阪は終戦前日の8月14日に最後の大空襲を受け、多数の1㌧爆弾が落とされました。京橋駅は甚大な被害を受け、多くの死傷者が出ました。
大前 毎年、暑い8月14日に宮本岳志(当時、衆院議員)さんと一緒に京橋空襲慰霊祭に参列されている姿を目にしてきました。
清水 あと1日経てば敗戦を迎えたはずだったのに、犠牲者と遺族の心情は察するに余りあります。無謀な侵略戦争を長引かせ、広島・長崎への原爆投下を招き、多数の犠牲者を出した責任を国が認め、謝罪してほしいと思います。
9条を持つ国の人間として
大前 原告の皆さんは、再び戦争の惨禍を繰り返さないでと、今も訴え続けています。
清水 戦争放棄を誓った憲法9条を持つ国の人間として、日本が同じ過ちを繰り返さないために、戦争を体験した人たちの声を胸に刻みたいと思います。
大前 2月24日にロシアによるウクライナ侵略から3年目を迎えます。ガザへの攻撃など、終わりの見えない戦争が続いています。地球の裏側で起きている問題も自分事と考えて、戦争のない平和な社会の実現に向けて頑張りたいと思います。
清水 安倍政権から続く「戦争する国づくり」を許さず、大軍拡の暴走を止めるために全力で頑張ります。国会に戻ったら、空襲被害救済法とともに法務委員会で取り上げてきた冤罪事件の根絶にも取り組みたいと思っています。
大前 うれしいです。刑事訴訟法改正の審議では、参考人の堀江貴文さんにも質問していましたね。
清水 はい。長期間身柄拘束して自白を迫る人質司法と言われる捜査手法は、大問題だと思います。
大前 刑事事件では〝疑わしきは罰せず〟という推定無罪の原則があり、憲法には適正手続きを保障するとの条文があります。それを守るため清水さんたち議員の皆さんが頑張ってくれるのは、弁護士としても励まされる思いです。
清水 政治の貧困を正して、苦しんでいる人、困っている人を支えていく、そんな温かい政治が必要だと思いますよね。
大前 清水さんのパワーにこちらも勇気が湧いてきます。弱い立場の人のために頑張る日本共産党の議員が、本当に増えてほしいと思います。
清水 多くの人と力を合わせ、道理の力で政治と社会を前向きに動かしていくために、必ず国会へ戻り、宿題となっている空襲被害者救済法を実現します。今日はありがとうございました。
(大阪民主新報、2025年2月23日号より)