大阪から問う 安倍・維新政治
④消費税増税
増税強行しさらに10%に引き上げるのか
増税やめ大企業や富裕層に応分の負担か
税率は上がり福祉は下がり
「消費税は〝底引き網式〟だから、貧乏人が損をするに決まっている」
大阪市北区で40年以上、中華料理店を経営する男性(74)はそう話します。同店のメニューは「五目ラーメン400円」、「八宝菜450円」など50円刻み。価格は20年以上変えていないといいます。
「8%になったときは『参った』と思った。それが10%となると1割だからね。物価高も合わさって仕入れも高くなる。社会保障に使うというが、本当は使われてこなかった。消費税が必要と言っていた政治家はうそつきばっかりだ」
消費税廃止大阪連絡会などが今月、大阪市内で行った宣伝で、増税中止を求める署名をした60代の女性=大阪市西成区在住=は、「消費税は上がり福祉は下がって、首を絞められるようだ」と話ました。
女性は、暴力を振るい家にお金を入れなかった夫と離婚し、いまは生活保護を受けて暮らしています。「節約といえば食べ物ぐらい。それ以外で買い物なんてできない。電気釜が壊れたらもう買い換えられない」と語り、軽減税率の導入についても「口ではきれいなことを言っているが、国民の生活を分かっていない。消費税は下げてほしい」と訴えました
10%への引き上げ狙う政府
消費税8%、10%への増税は民主党政権時代に決まりました。成立した法律には、経済情勢次第で増税を停止できるという「景気条項」がありました。安倍政権は15年10月に予定されていた10%への増税を17年4月に延期した際、その景気条項を削除しました。
政府はまた消費税8%増税時、低所得者の負担軽減策として「簡素な給付措置」をとりましたが、飲食料品への「軽減税率」の導入に伴い、廃止するとしています。
改悪ばかりの社会保障制度
消費税収は1989年の導入以降、総額304兆円に上ります。一方で社会保障制度は国民負担が増え続けています。
消費税導入以前、医療機関窓口での自己負担はサラリーマンが1割でしたが、現在3割。高齢者の窓口負担(外来)は800円の定額が1〜3割に。国民健康保険(国保)料は1人平均約5万6千円から、2014年度は約9万3千円に増しています。
年金支給開始も、88年の60歳から現在65歳に引き上げられ、保険料は月額7700円から1万6260円へ引き上げ。
00年に介護保険が始まり、保険料は15年度平均5514円。障害者福祉の自己負担は、88年には応能負担で9割が無料でしたが、現在は1割負担を強いられています。
公立・公営保育所は約1万3600施設から約9500施設へ減りました。
法人税減税進める安倍政権
国の消費税収は導入当初約3・3兆円でしたが、15年度予算では約17・1兆円へ、主要税目の中でトップに躍り出ました。
しかし一般会計税収全体は、約54・9兆円あった89年度と15年度の54・5兆円を比べて伸びていません。その間の消費税収の総額は282兆円、法人3税の減収は255兆円です。
安倍政権は16年度の法人実効税率は29・97%に引き下げました。法人税の実効税率引き下げによる減税額は、今年度分だけでも2390億円となり、研究開発減税では巨大企業1社に1千億円以上も減税する優遇税制がとられます。所得税負担率も、年間所得が1億円を超えると負担率が低くなります。
消費税払わず還付を受ける
輸出大企業は消費税を税務署に1円も納めないばかりか、輸出先で消費税を価格に乗せていないとして還付されています。10社を試算で還付金が7837億円と8%になり、額は1・8倍になっています。
大阪ではシャープ本社のある阿倍野税務署など、全国で7つの税務署が、消費税の納付額より還付の多い「赤字」税務署になり、阿倍野税務署は49億円の「赤字」です。
同じく価格に乗せていないのが病院や診療所などの医療機関ですが、設備や備品購入時に消費税を負担するものの還付は受けられません。
不公平税制改め内需拡大を
改憲などで安倍政権を補完するおおさか維新の会代表の松井一郎府知事は、増税延期を言いながら、将来の増税は必要と主張。橋下徹氏はかつて自治体に住民サービス切り捨てと増税の二者択一を迫る消費税の地方財源化と地方交付税の廃止を主張していました。
日本共産党は「消費増税凍結法案」の野党共同提出を目指すとともに、①1年間320億円の政党助成金や原発推進関連費4188億円など無駄遣いをやめ、不公平な税制を改める、②社会保障は国民みんなで、その力に応じて支えてこそ、抜本的に改善できる、③暮らしと権利を守るルールをつくり、国民生活を安定させて健全な経済成長を――と訴え、「消費税に頼らず、大企業と富裕層優遇の税制を改めること、家計と中小企業への支援で内需拡大を進める経済政策へと転換すべきだ」と主張しています。
(大阪民主新報、2016年4月24日付より)