大阪から問う 安倍・維新政治
①戦争法・明文改憲
戦争法廃止と立憲主義回復の道か
解釈・明文改憲で戦争・独裁国家か
首相の執念と維新のエール
3月29日午前0時、安保法制=戦争法が施行され、日本の自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出すという危険が現実のものになっています。安倍政権は「憲法9条の下では集団的自衛権は行使できない」という歴代政府の憲法解釈を180度覆して戦争法を強行、権力が憲法を無視する「独裁政治」に暴走すると同時に、明文改憲へ執念を燃やしています。
これまで安倍首相と改憲でエールを交わしていたおおさか維新の会。昨年12月に松井一郎代表(知事)は「憲法は改正しなければならないというのは、わが党の考え方の一つ。憲法改正(の発議)に必要な3分の2の勢力に入る」と発言。ことし1月のNHK番組で安倍首相は「(参院選は)与党だけで3分の2は大変難しい」「大阪維新もそうだが、改憲に前向きな党もある」などと語りました。
おおさか維新の会は3月26日に大阪市内で開いた党大会で、「統治機構改革」などを中心にした改憲草案を決定。松井氏は、安倍首相が「在任中の改憲」を公言していることに、「改憲は自民党の党是。自民党の誰が総理であってもやるべき話」と記者団に語りました。
また自民党改憲草案の「国防軍」=9条改定は「マッチョ(タカ派的)すぎる」としつつ、「衆参の憲法調査会で深堀りする」と発言。自民党が新設を狙う「緊急事態条項」についても「どんなことでも議論には参加する」と述べるなど、反対の姿勢はありません。
暴走に対し止まらない運動
昨年8月30日、戦争法案反対で12万人が国会を包囲したことに橋下徹氏(現おおさか維新の会法律政策顧問)は「こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザンのコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ」とツイッターで言い放ちました。
しかし強行可決後も戦争法廃止を求める2千万署名や、野党共闘を求める市民の運動は止まらず、関西でも3月、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める関西市民連合」が結成され、野党代表も参加する街頭演説を行っています。
堺市の青年グループ「ANTS(アンツ)」は、戦争法施行を前にした3月27日、同市堺区内でデモを行い、「戦争法はいますぐ廃案」「野党は共闘」「戦争したがる議員は(選挙で)落とそう」とコール。昨年9月から毎月1回取り組み、今回で7回目です。
「僕たちが続けてきたことや全国の運動が、野党の共闘を進め、後押ししていると実感します」と語るのは、メンバーの藤本憲さん(34)。「自衛隊が外国で人を殺せば、その国の人々は日本を憎み、僕たちもテロの対象になる。僕たちの税金も戦争に使われることになる。黙っていられません」と話します。
藤本さんは小学生のころ、中国人の転校生から「(侵略戦争で)日本は中国でひどいことをした。日本人は怖いと思っていた」と打ち明けられ、ショックを受けました。「戦争法が強行された時、その経験を思い出しました。戦争は二度と繰り返さないと誓った憲法9条を変えるのは絶対に許せない」と語ります。
共産躍進で改憲勢力に審判
「日本国憲法と絶対に両立できない戦争法を強行したことは、明文改憲への衝動をいっそう強めるものとなっている」――3月18日、大阪市中央体育館に1万人が参加した日本共産党演説会で、同党の志位和夫委員長は警告しました。
「戦争法廃止、立憲主義回復」の希望ある道に進むのか、それとも解釈改憲に続く明文改憲で戦争国家・独裁国家へと転落するのか、「日本の政治は文字通り歴史的な分岐点にあると強調した志位氏。戦争法廃止のたたかいと一体に、あらゆる明文改憲の企てを緩さないたたかいを強めようと呼び掛けました。
さらに志位氏は、「おおさか維新の会が安倍・自公政権の最悪の補完勢力、とりわけ憲法改定の最悪の突撃隊になっている」と批判。参院選での日本共産党と躍進、わたなべ結大阪選挙区候補の勝利で、自民党、公明党とおおさか維新の会に厳しい審判を下そうと力を込めました。
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参院選まで3カ月。安倍政治の暴走、安倍政権を補完するおおさか維新の会の危険な役割をシリーズで追います。
(大阪民主新報、2016年4月3日付より)