大阪府大・市大「統合」 民意に背く計画 撤回を 存続・発展、学費軽減策こそ必要
大阪府大・市大「統合」 民意に背く計画 撤回を 存続・発展、学費軽減策こそ必要
大阪府と大阪市は19日、第3回副首都推進本部会議(本部長・松井一郎府知事、副本部長・吉村洋文市長)を開き、府大・市大統合に向けた検討体制や進め方について議論しました。同本部は所掌事項として「新たな大都市制度の再検討」とともに「二重行政の解消」をあげ、大学統合を検討対象としています。
会議では、大学法人の統合を経て大学を統合し、2022年4月に新大学の開学をめざす方針を確認。府と市の両大学への運営費交付金は現行水準を維持するとしました。今後、府と市、府大と市大の4者による検討部会を設置、統合の基本事項について議会に説明し議論した上で、来年度にも関連議案を提出するとしています。
大学の自治侵す
松井一郎府知事は「政治主導で大学統合の旗を振ってきた。スピード感を持って決めたい」と述べ、これまでと同様、統合を大学に押し付ける姿勢を示しました。大学関係者からは大学統合について、「上の方で一方的に決めて押し付けていいのか」と独裁的な手法への批判の声が上がっています。
両大学の卒業生らでつくる大阪府立大学問題を考える会と大阪市立大学の統合問題を考える会は18日、文部科学大臣と総務大臣に対して、「民意にそむく府大・市大『統合計画』に反対、両大学の存続と発展を求めます」と題する要望書を提出。政府交渉で文部科学省の担当者は、府大と市大はそれぞれ設立趣旨があり「二重行政とは認識していない」と答えました。
両大学は独自の建学の精神と伝統をもち、専門分野も独自に発展を遂げており、「二重行政」ではないことは明らかです。
大学統合は、教育・研究を充実させる立場から、学内合意を基礎にした大学間の自主的な話し合いと、地域の意見を尊重することが必要です。政治権力が大学の自治を蹂躙(じゅうりん)して統合を押し付けることは許されません。
背景に国の政策
背景には、憲法が保障する学問の自由を脅かし、大学の自治を破壊する学校教育法改悪などを強行してきた安倍政権による「大学改革」の問題があります。馳浩文部科学大臣は「国公私立大学の枠を超えた統廃合も視野」(『中央公論』2月号)に入れると強調。おおさか維新の会は同政権の補完勢力としての役割を大学問題でも果たしています。
日本共産党大阪府委員会学術文化委員会は今年2月に発表した提言で、府大・市大「統合」計画を撤回し、両大学の存続・発展へ力を合わせることを呼びかけました。いま府と市がやるべきは、学費負担の軽減や給付奨学金制度の創設、両大学への運営費交付金を増やし教育研究条件を拡充するなど府民・市民の大学教育への願いに応えることです。
(小林裕和・党大阪府委学術文化責任者) (「しんぶん赤旗」2016年4月27日付)