日本共産党府委の政府交渉
暮らし・福祉・まちづくり
大阪の願いを国政に
本紙4月24日付で既報の通り、日本共産党大阪府委員会が4月18日、政府交渉を行いました。わたなべ結参院大阪選挙区候補が大阪の若者の実態も示してブラック企業根絶(厚生労働省)、給付制奨学金の創設(文部科学省)を求めたほか、安倍晋三首相あての消費税増税の中止と負担能力に応じた税制改革を求める要請書を提出。各省庁との交渉では、暮らし・福祉・教育・まちづくり・防災など数多くの要求や実情に基づいて、施策の充実や予算の拡充を求めました。
文科省 府大・市大統合問題
「二重行政ではない」
拙速な統合を認可せぬよう
文部科学省では維新の会が「二重行政解消」の名で強引に進めようとしている府立大学と大阪市立大学の統合問題を取り上げました。昨年12月の府議会、ことし1月の大阪市議会で両大学の統合を準備する議案を強行可決。同時に、結論ありきで統合の検討を急がず、関係者の意見を柔軟に取り入れることや、議会の意見を十分踏まえることとする付帯決議が全会一致で採択されています。
要望では、両大学は歴史と伝統、得意とする分野も異なり、学生に広く学ぶ機会を提供し、人材を育て広く社会に送り出しており、「『二重行政』など何ら存在しない」と指摘。大学統合・新大学と公立大学法人の設置には総務相と文科相の認可が必要なことから、府市両議会の付帯決議にあるように拙速に統合を認可しないよう、慎重に対応することを求めました。
文科省側は、「設置者である地方公共団体が大学のミッション(使命)を定めているので、府立大学と大阪市立大学の存在ということが二重行政だとの認識は持っていない」と明確に答弁。石川府議は4者間で付帯決議に則った話し合いがされたのかどうか、繰り返し確認するよう求めました。
学校施設改善交付金増額を
国は、学校施設は子どもたちの学習・生活とともに、災害時には地域住民の避難所となることから、学校施設改善交付金を含む公立学校施設整備は2015年度補正予算で388億円、16年度予算では709億円を計上しています。
豊中市は15年度、小中2校のトイレの環境改善へ1億4千万円を計上し、国には4千万円の学校施設改善交付金を要望しましたが、全国的に要望が多く超過したため、ゼロ査定となり、同市は一般財源でまかなって事業を実施しています。
交付金の増額を求める要望に対し文科省は、耐震化事業などを優先しており、トイレ改修や空調設置などは採択が困難なものが生じていると説明。あらい8区候補は、豊中市でも耐震化を一気に進めると同時に、汚いトイレの改善にも取り組んできたことを示し、耐震化の終了で交付金を減らすのではなく、維持・拡大するよう求めました。
2019年のラグビー・ワールドカップの開催地の一つに東大阪市・花園ラグビー場が選ばれていますが、施設改善などの事業負担は自治体の財政規模では対応し切れないことから、財政支援の増額を求めました(現状は市計画36億円に対して1億円)。
花園ラグビー整備に10億円
文科省はスポーツ振興くじ・TOTOの助成制度を新たに設けて対応すると説明。朽原府議は、国際大会であることから国としての支援を強めるよう重ねて要望し、助成の規模などを確認。文科省は「10億円程度が出せるように制度設計している」と回答、要望が実現しました。
国交省 島本町内の土砂置き場
「巡視し対策講じる」
淀川の防災で対策の強化を
国土交通省には、淀川左岸線延伸の中止や、南海トラフ巨大地震などに備えた淀川の防災対策の強化、河川改修などを要望。この中で淀川水防用緊急備蓄土砂置き場(国交省所管・島本町大字大東寺)の問題で質疑がありました。
台風などの降雨により敷地内の沈砂地が満杯になっていることが常態化し、昨年の台風では敷地の門扉から多量の出水と土砂流出が発生。近隣の中学校の通学路で、災害時に地元住民が同中学校に避難するさいの避難路にもなっています。
佐藤和子・島本町議は現場の写真も示して、再発防止策を要望。国交省は「雨季の前に定期的な巡視をしながら、必要な対策を講じたい」と回答し、要望実現へ一歩前進しました。
大和川の対策前倒しが必要
また、大和川の堤防浸透・浸水対策が30年間の長期計画になっていることについて、いつ発生してもおかしくない自然災害に備えるため、整備計画を前倒しして早急に対策を講じることを要望しました。
国交省が「必要なところから優先的に予算を付けていきたい」との答弁に終始。井上大阪市議は、13年9月の台風で大和川が危険水域に達し、史上初めて避難勧告が出され、あと10㌢で川が氾濫するまでになったことを紹介し、早急に進めるよう迫りました。
厚労省 子ども医療費助成
ペナルティーやめよ
厚生労働省(厚生関係)へは国民健康保険(国保)、介護保険、生活保護などで要望。福祉医療費助成制度を行う自治体の国保会計に対する補助金(調整交付金)の減額(ペナルティ)を廃止し、当面、子ども医療費助成への減額措置は来年度から廃止するよう求めました。
厚労省側は検討会のとりまとめ(ことし3月)で、減額措置を見直すべきとの意見が多数を占め、今後の仕組みや財源を検討中だと報告。北山5区候補は、調整交付金は自治体間の格差を是正するのが目的で、「圧倒的多数の自治体がやっており、国が調整のために減額するのは理屈に合わない。一日も早く減額措置はやめるべき」と主張しました。
就学援助で国の補助復活を
また、就学援助への国補助が「三位一体の改革」で、05年度以降、一般財源化され、府内市町村では基準引き下げの動きが広がっていることをめぐり、「松原市は入学学用品の準備金も全廃し、制服やかばんが買えない状況が、現実に起きている」(森田夏江・松原市議)、「泉南市は給食費が7割、修学旅行費が8割の援助で、府内で最低の現状。子どもを守ってほしい」(和気信子・泉南市議)と実態を示し、国の補助を復活し、市町村を支援するよう求めました。
各省庁 児童虐待・支援学校…
個別の交渉でも要請
国保の減免は市町村の判断
このほか各省庁との個別交渉では、林道施設災害復旧事業の改善、雇用促進住宅廃止の閣議決定撤回、南海トラフ巨大地震に備えた阪神なんば線のかさ上げ、児童虐対対策の強化へ「子ども家庭センター(児童相談所)」の体制充実、特別支援学校の教職員・看護職員の配置拡充、泉南アスベスト被害者の全面救済などを各議員団が求めました。
国民健康保険が2018年度から「都道府県単位化」される問題に関連して、保険料抑制のために各市町村が独自に行っている一般会計からの法定外繰入について、厚労省は朽原府議に「各自治体の裁量であり、ペナルティなどは考えてない」と説明。「都道府県単位化」後に減免制度は「都道府県が方針を定めることになる」としながら「十分に意見交換をした上で認識を一致させることが必要」と述べ、「最終的には市町村が判断するものであり、市町村が条例で定めることができる」との見解を示しました。
(大阪民主新報、2016年5月1、8日付合併号より)