おおさかナウ

2016年11月20日

ホーム転落事故1年半で20件
JR鴫野駅 それでも混雑時以外要員廃止へ
清水衆院議員ら現地調査

安全確保のため常駐を

 大阪市城東区のJR学研都市線鴫野駅で、ホームと電車の隙間に乗降客が転落する事故が相次いでいるのを受け、日本共産党の清水忠史衆院議員と同党衆院大阪4区事務所は14日、JR西日本担当者の案内で現場を調査しました。

「転落しないか不安」視覚障害者

ホームと電車の隙間20㌢に

JR鴫野駅を調査する清水衆院議員と山中大阪市議ら=14日、大阪市城東区内

JR鴫野駅を調査する清水衆院議員と山中大阪市議ら=14日、大阪市城東区内

 “電車との隙間にご注意ください”。転落事故の予防標識が設置された鴫野駅ホームで、アナウンスが響きます。西明石行き普通列車が到着すると、乗客たちは車両との間に開いた約20㌢の隙間に注意しながら、電車に乗り込んでいきます。

 鴫野駅の1日当たり乗降客は約1万9千人。ホームには子連れの母親や、両手に買い物袋を持った高齢者の姿も見かけます。

 白杖を持った視覚障害の男性は、「ホームは大きくカーブしているので、真っすぐ歩いていても転落しないか不安で緊張します。乗車時も、隙間に細心の注意を払っています」と話していました。

 転落事故が相次いでいるのは、15年に完成した京橋方面行きの4番下りホーム。急曲線区間にあり、ホーム全体が大きくカーブしており、府内で「最もカーブのきついホームの1つ」(JR西)です。

7両中6両が車掌の死角に

 2019年春の全線開業目指す「おおさか東線」(新大阪―久宝寺)計画に伴う鴫野―放出間の複々線化で、同駅では新たに2つの乗降ホームを建設するなど、大規模改修が進められています。

 停車する普通列車は7両編成ですが、4番ホームでは、車掌の位置から目視できるのは最後尾1両のみ。先頭車両から6両目までは死角です。ホーム完成から1年半で、隙間転落事故は報告されただけでも20件に上り、幼稚園児が胸のあたりまで落ちた事故も起きています。

モニターで安全確保可能と

車両とホームの間に大きな隙間があるJR鴫野駅=14日、大阪市城東区内

車両とホームの間に大きな隙間があるJR鴫野駅=14日、大阪市城東区内

 JR西はこれまで、ホーム中央部に乗降客の安全確認を行う要員を配置し、要員の合図で車掌が扉を閉めるなど対策してきました。ところが3台新設したモニターカメラで安全が確保できるとして、11月21日以降、朝夕の混雑時を除いてホーム要員の廃止を決定しました。
 これに地元の町会役員が連名で、安全対策を要望する事態になっています。

 この日の調査には清水議員の他、山中智子大阪市議らが参加。車掌から死角となるホームの現状や、ホームと車両の間の隙間を確認。ホーム要員が行う安全確認作業について説明を受けました。
 JR側の説明では、約20件の転落事故のうち、2割が朝夕の混雑時以外で起きています。

 清水議員は「隙間転落は重大事故につながる大変危険な問題」とし、視認性の低い同駅のリスクを指摘。「ラッシュ時間帯以外にも、通院目的や親子の利用者は多い。安全確保のためにホーム要員の常駐を続ける必要がある」と述べました。



車両とホームの間に大きな隙間があるJR鴫野駅=14日、大阪市城東区内



(大阪民主新報、2016年11月20日付より)

 

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