2016年12月25日
宮本岳志の国会レポート
奨学金、世界の常識に近づけよう
国民の声と国会論戦に押されて、ついに政府が来年度予算で導入するとしてきた返済の必要がない「給付型奨学金」の内容が明らかになりました。
制度案によると、給付の対象となるのは、低所得世帯の学生のうち、高校が推薦し一定の成績を収めた学生などおよそ2万人に2〜4万円を給付するとしています。
しかし、これでは全く不十分。そもそも非課税世帯の大学進学者は、毎年6万人あまりと推計されています。これを成績要件で2万人に絞りこむというのでは、成績の良い学生に対する「ご褒美」奨学金みたいなもので、経済的困難を抱えるすべて子どもたちには行き渡りません。
日本共産党は学費・奨学金問題について、①少なくとも月3万円、70万人規模の給付制奨学金を創設すること、②有利子奨学金を無利子に切りかえること、③学費を10年間で半額程度に引き下げることを求めてきました。70万人は、全学生の約25%にあたり、これなら、奨学金を利用する学生の約半数をカバーできます。
経済協力開発機構(OECD)諸国で見ると、米国で35%、学費無償のドイツで27%、フランスで35%の学生が給付制奨学金をうけています。日本と同様に高学費の韓国では、世論が高まるなか、2011年に給付制が創設され、現在、学生の36%にあたる約130万人にまで広がりました。わが党の提案こそ、日本の貧困な奨学金制度を、世界の常識に近づけてゆく、確かな一歩となるものです。(みやもと・たけし 日本共産党衆院議員 毎月第4週に掲載)
(大阪民主新報、2016年12月25日付より)