歴史的事実に基づく展示に ピースおおさかリニューアル 共産府議団が申し入れ
日本共産党大阪府議団(宮原威団長)は8日、国際平和センター(ピースおおさか)のリニューアルにあたり、「設置理念」と歴史的事実に基づく施設・展示とするよう、松井一郎知事に申し入れしました。
ピースおおさかの設立(1991年)は、立命館大学国際平和ミュージアム(92年)や「軍都広島」を展示に加えた広島平和祈念資料館の改築(94年)、沖縄戦での国内外を問わず全ての犠牲者を刻む平和の礎(95年)など、加害と被害の両面から戦争を取り上げる取り組みの先駆けとなりました。
橋下徹大阪市長は08年の知事就任後、府市から出していた職員全員を引き上げ、事業費を大幅カット。大阪維新の会の府議や大阪市議らは、「偏向展示」「反日教育」「歴史をねつ造した」などと、ピースおおさかへの批判を繰り返しました。
府市統合本部で「近現代史教育施設」づくりが示されたことと併せ、ピースおおさかの展示内容を大阪大空襲に特化する方針が出され、リニューアルが進められています。
申し入れは展示内容について、戦後50周年の1995年8月、村山富市首相(当時)が日本の植民地支配を公式に認め、謝罪した「村山談話」を踏まえるとともに、ピース大阪の設置理念である「中国をはじめアジア・太平洋地域の人々、また植民地下の朝鮮・台湾の人々にも多大の危害を与えたことを私たちは忘れません」、「世界の平和と繁栄に積極的に貢献する」に基づき、専門家の最新の研究成果を踏まえる努力を最後まで行うことなど5項目にわたって求めています。
宮原団長は「(リニューアルで検討されているように)大阪空襲を基礎にする場合でも、設置理念を生かすことが大切だ」と指摘し、「戦争被害者の証言は、10年先には聞くことが難しくなる。伝える努力を」と求めました。
小西禎一副知事と担当職員らが応対。小西副知事は「大阪空襲の実相を理解するためには、それに至った背景に触れる必要はある」と述べ、「(リニューアルの)基本的な考え方は(申し入れ内容と)齟齬(そご)はない」と応じました。
ピースおおさか展示リニューアルについての
日本共産党大阪府議会議員団の提案(大要)
1、「村山談話」と「ピースおおさか」の設置理念に基づき、専門家の最新の研究成果を踏まえる努力を行う
2、事実が確定している展示内容は削除しない
3、大阪空襲による犠牲者に寄り添い、追悼の場にふさわしい施設・展示とする。(1)「模擬原爆」や証言などにより戦争の悲惨さを訴える、(2)道路を素掘りして板と土を乗せただけの防空壕があったことや防空壕が「墓場」になった例、市民が都市防衛の役割を担わされていた実態を伝える。
4、第二次世界大戦に至る経過や実相を全体として伝える展示とする。(1)「世界中が戦争をしていた時代」という時代認識に解消せず、アジア・太平洋地域などでの日本の戦争の実相を伝える、(2)住民が総力戦体制下の「銃後」として行政や軍に動員され、朝鮮の人々も多く含まれていたことや、アジア最大規模の軍需工場といわれた大阪砲兵工廠をはじめ「軍都大阪」について言及し、府民の徴兵・戦死など犠牲を伝える、(3)戦争末期に戦況や東京大空襲などが府民に知らされなかった事実を伝える、(4)アメリカによる大阪・東京への大空襲とともに、日本による中国・重慶への無差別爆撃など、市民を無差別に殺害した事実を紹介する。
5、リニューアル終了後も、「ピースおおさか」のよりよいあり方について、専門家や戦争被害者・幅広い府民を交えて検討を続け、必要な充実・改正をする―など。
(2014年7月20日付「大阪民主新報」より)